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通勤と仕事の移動時間を使って1日半くらいで読んだ。
ダンサーインザダークみたいという感想に納得はするのだけど、描き方からか私は有吉佐和子の悪女を思い出した。いろんな角度からいろんな時代に幸乃を描写しているのだけど、幸乃本人の口から語られることが少ないので、飲み込めない感覚が残った。
それでも、仲間内の、あるいは親子、恋人同士、
夫婦の間の、おかしな力関係や理不尽な役割、こういうムードにはまってしまうことがあるなぁとよく知った日常をなぞられるような感触をところどころに感じた。
出会いとは悲しみの種子を胸に抱くこと、悲しみの花をいつか刈り取ることになるという、今朝のバスの中で反芻した言葉を思い出す。
誰かに必要とされること、そのことの持つ力を、美しい夕焼けを眺めながら想った。
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小説を読んで、笑ったり泣いたり、ということはよくあるけれど、怒りを感じることはあまりないような気がする。
もちろん自分勝手な登場人物に対して許せない!叩きのめしてやりたい!と思うことはあっても、なんというか、漠然とした、けれど確たる怒りにここまで包まれることはめったにない。
もやもやとしているのに的確に自分の心のどこかを刺す、そんな怒りをもって読了しました。
なぜ、幸乃は死刑になったのか。いや、死刑にならざるを得なかったのか。
なぜ彼女はいつも誰かから必要とされ、そしていつか必要とされなくなってしまうのか。
必要とされなくなるまえの、たくさんのもしものどれかを選んでいたなら、彼女の世界は変わっていたのかもしれない。
けれど、もう遅いのだ。誰も彼も、何もかも、遅いのだ。
誰も救えず、誰も救われない。希望の光にすがることさえ許さないこの結末こそが彼女の世界に対する復讐なのか。
イノセントの対義語は「保身」、なんだろう、きっと。
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その人の人生に関わった人だけが知る真実。人を必要とすること、人を信じること。人を助けたいと思うことと、その責任感。なんか、いろいろ考えさせられる小説だった。
初めて買ったハードカバー。初めて1日で読破した。次々と読み進め没頭した1日だった。
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帯とプロローグですでに結末は分かっているのに、重いストーリーだと分かっているのに、今の自分の心身状態に妙にシンクロして半日で一気読み。
最後の最後で、どんでん返しを期待したのだが、やっぱり無理だった。バッドエンド好きな私も、今回は無意識に救いのある結末を求めていた。
中学時代と敬介とつきあってた時代は、読むのしんどかった。
冤罪死刑モノの読後感って本当にもやもやするのだけど、幸乃にとって死より怖いものがある。だから、死は最後の救いだったのだろう。
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タイトルの「イノセント」に込められた2つの意味を、読み終わってもう一度考える。
恋人にフラれてストーカーと化し、あげくにはその彼の妻と双子の赤ちゃんのいる家に火を放って死なせるという大罪を犯した主人公、幸乃。彼女のイメージはマスコミによって増幅され、死刑の判決も世間には当然のものとして受け止められる。
だが、はたして彼女は本当に、死刑にされなければならなかったのだろうか? 彼女に関わった複数の人物を語り手とすることで、次第にその経緯と事情とが解き明かされていく。
物語にグイグイ引きこまれ、あっという間に読んでしまった。早見和真を読むのははじめてだったが、ほかにも彼の著書をいろいろ読みたいと感じた。
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壮絶な人生を過ごし、放火で確定死刑囚となった女が、死ぬことよりも怖かったこと。
もう一度読みたい。
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本当に、悲しい物語です。幸乃さんこれでよかったのか。「たった一人からでも大きな愛を受けていれば、子供は道を踏み外さないということだ。本当に愛し続けられるのか。その覚悟が君にあるのか」イノセントは純粋、無実。
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母親を事故で亡くしてからは幸薄だったようだ。
もう誰から何を言われても心が揺らぐことがない
ほどに、死を望んだ幸乃。気の毒だと思う。
境遇が一変してしまったのだから。
そんな人生、生きていることが嫌になって
しまったけど自分では死ねないから死刑を望む。
アリなのか、ナシなのか・・・。
「人の納めた税金使って自殺するのか
(だよね?死にたくて死刑を望むんだから)」
とも思った。意地悪な言い方で申し訳ないけど。
一方的に敬介に支配され、都合良く扱われていた幸乃。
普通ならそんな男とはさっさと分かれてしまうところ
だけど、そこまでされても誰かが自分の傍にいること
の方が幸せだったのかな。
報道のされ方かな?「可哀想な被害者の夫」という
空気の中、逆に幸乃は悪魔や鬼のように仕立てられて
しまって。幸乃と付き合っていた頃の敬介と同じ人物
とは思えない。
メディア側の思惑や伝え方によって、背景や
人物像が事実と全く違う方向に誘導されていくんだね。
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物語の展開を裏切るような、なんとも残酷な結末。
映画「ダンサー・イン・ザ・ダーク」に近い後味。
それと同時にある出来事の真実に辿り着くことのむずかしさや、
そうはいっても、単純化しないと理解できないわれわれの限界を突きつけられるような想いがする。
作中人物(産科医)のある言葉がとても重みがある。
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付き合っていた男の家族の命を奪い、
死刑判決を受けた田中幸乃。
彼女はその日を静かに待つ。
望んでいた心からの安らぎは得られるのだろうか。
いつの時も人から必要とされることを欲した幸乃。
彼女を見守る人々の葛藤、その苦しみがリアルに伝わってくる。
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ミステリーに分類されるんだろうけど、読んでみると別の感触が残る。
何故か「必要」とされる悪と、「必要」とされる事に飢え続ける弱き者。
その歪み、不合理が苦しい。
静かな絶叫の物語。
じわわと残る物語。
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内容も面白く、グイグイ読み進めることができた。ただ、あまりに切なく、整形シンデレラの生涯に救いがないのが悲しかった。
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重く暗いストーリーでどんよりしました。元恋人の家に放火して母子を殺害した罪で死刑判決を受ける女の物語。
マスコミが作り上げたイメージとは違う本来の幸乃の人物像が描かれるのですがイマイチピンときませんでした。信じ続け彼女を必要とする幼馴染の存在も謎。ヒロインに共感できませんでした。
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久々にこんなに救いのない話を読んだ気がする。
最後、あぁここであれが出て・・・、回避されて・・・、物語だし・・・とか思ってたら、そうはならず。
最後まで読んでも「整形」って別にいらない気がした。
ものすごーくハマって読んだ。ものすごく暗い気持ちになるけど、こういうの、とても好きな本。
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何でこれを借りたのか、さっぱり覚えてない。なかなか面白かった。不幸な女の人生って感じ。しかし、いくら自殺願望が強いからって、死刑を自主的に受け入れるもんかね。しかも、逆転劇はなく、刑が執行されるってね。敬介みたいな人間とどうして別れないのか。もうDVじゃん。容疑者と分かると一斉に過去のことから全てを叩く、マスコミのひどさ。いじめのひどさ。幼少期は良かったのに、こんなに辛い人生になるなんて。幸乃は被虐待児なのだ。ミステリじゃなく、そういう話だった。