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中級以上で避けては通れない数学的な証明が出てきますが、他の中級書を読んでいて感じる「だから何?」という素朴な疑問に先回りして答えてくれているため、とても学習のモチベーションが保ちやすい教科書だと思います。
また、数式だけでなく言葉による直感的な説明もふんだんに盛り込まれているため、数式を多少読み飛ばしてもそれぞれの定理や証明のニュアンスは理解できます。
ただ、この本の真骨頂は、一般均衡理論について上級への橋渡しのためさらりと重要な留保条件や仮定、定理に触れてくれているところだと思います。初学者に気配りしつつも、発展的な内容も盛り込んであり、読み返すたびに新しい発見がある素晴らしい教科書です。
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ミクロ経済学の基盤ともいえる一般均衡理論に加え、比較的新しい学説であるゲーム理論や情報の経済学等も記載、幅広く網羅しており、この一冊だけで中級程度のミクロ経済学をカバーすることが出来るのではないだろうかと感じました。実例も多数紹介されており、抽象的な理論でも把握しやすい構成となっています。
難点を挙げるとすればページ数の関係等で仕方ないのかもしれないが練習問題が少ない(殆ど皆無に近い)ことです。経済学だけでなくあらゆる学問は練習問題を解いてくことで理解が捗るものだと思われるため、この練習問題の少なさはこの本一冊だけでミクロ経済学を学ぶということを難しくさせているのではないかと思いました。
折角、内容も丁寧で分かりやすい構成にしていたのに、この点は非常に勿体ないように感じました。
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東京大学の教授が学部生に行う科目を一般の方へ向けて説明する本。多数の実践的例を出しながら、いかにミクロ経済学が様々な分析や調査に役立つかも述べている。経済学の考え方を知ることができるが、根気のいる1冊である。しかし、経営には必須の、利潤最大化や工場規模最適化、人件費率等の分析方法が説明されているので非常に有益な本でもある。
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ミクロ経済学入門には最適。
数式はもちろんあるが、言葉による説明が丁寧なので、直感的に理解できるようになっている。
・生産関数
・限界代替率
・需要供給曲線
・所得効果、代替効果
・一般市場均衡
・ゲーム理論
・ナッシュ均衡
・外部性、公共性
・独占寡占
などなど、網羅的にカバーしており包括的な理解ができる。
一年ぶりに再読したが、読み込めば読み込むほど良い教材と言える。
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[関連リンク]
わくわく読めるミクロ経済学の教科書 - hiroyukikojimaの日記: http://d.hatena.ne.jp/hiroyukikojima/touch/20150427/1430107947
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ミクロ経済学の中級レベルの定番。読みやすいとはいえ前半の価格理論では数式の説明が多い。一方で後半のゲーム理論は言葉による説明が多い。問題集があるのがありがたい。
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数年前に読了だが放置していた演習書『ミクロ経済学の技』をやるために再読。
いや素晴らしいが『ミクロ経済学の技』の方がなかなか解けない。
繰り返すしかないか
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中級クラスの経済学となると使う数式も増えてくるので直観的な理解が難しくなるが、本書では数式も高校レベルの数学の範囲に収め繰り返し読めば数学を苦手にしている読者でも理解出来るものになっている。
巷に溢れるミクロ経済学の教科書と同様に価格理論を中心に著者の専門であるゲーム理論の触りまで範囲にしているが、価格理論の記述に対して感想を述べたい。
本書が価格理論の説明において特に強調してるのは、一般均衡理論においてあきらかになった厚生経済学の基本定理に関してである。だが、そこに至るまでに供給に関する理論で重要な記載がされているのでそれを先に触れておく必要がある。
所得分配に関する基本的な定理(完全分配定理)の解説に置いて市場で高い所得を得る方法を理論的に明らかにしている。以下にそれを転記するがこれは直感的で皆が共感できるだろう。
市場経済で高い所得を得るのは
①市場で高い価格がつくものを生産するのに役立つ生産要素(土地や専門知識?)を持ち
②その生産要素を持っている人が少ない
ような人たちであるということである。
以上のことから導くことが出来るのは市場経済を突き詰めると金持ちになることが出来る人は必然少なくなり、所得が低い人が過半を占めることになるということである。
それでは市場主義経済の採用は多くの人にとって不利益になるのであろうか?
それに対する答えが厚生経済学の基本定理にある。
基本定理には2つある。詳しい説明は本書を読んで理解してもらうとして、その定理の概略を説明すると、第1基本定理は完全競争市場均衡は常にパレート効率的な資源配分(誰の効用も犠牲にすることなく誰かの効用を上げることができる)を達成するというものである。第2基本定理はいかなるパレート効率的な資源配分も適当な一括固定税と一括補助金を使って行えば、完全競争市場均衡を通じて達成できる…というものである。
専門用語が羅列して辟易とするが、要は市場経済を採用して格差が開いても、政府が税の徴収などを通じて(基本定理においての徴収方法は専門的であり困難であるが)金持ちから低所得層に所得を移転したら、市場は全体の効用を下げることなくいい状態に落ち着くことが出来るのである。
長い前置きだが以上を踏まえて現在の日本経済をネタに雑な考察をしてみよう。
小泉政権の聖域なき構造改革により市場を重視した経済政策が採用された。そのひとつに04年の派遣法改正がある。これにより低スキル(と考えられている)ワークを正社員から派遣へと代替が進み、当時の若手世代が浮上することができないきっかけを生み出すことになった。これに対して政策を主導した竹中氏はそれ以前から派遣社員は増加しており、またこの政策によって失業率を押し下げる効果があったと成果を強調している。
確かに竹中の当時の日本経済の認識は正しいものであるだろうし、政策はある程度、有効性のあるものだっただろう。しかし、その政策による潜在的な課題は放置され低賃金で専門性も得られない不安定な身分の労働者が量産された。彼らは当然低所得である。
一方、海外の税制に合わせるため、高所得者への段階的な所得税率の引き下げ、小泉政権以前の97年に行われた消費税増税により、政府の所得の分配機能が失われて、格差の拡大を招いたと言われている。
一連の政策は市場経済の採用をうたいながら第2基本定理である所得分配を行わなったことにより中間層の没落を招き既得権力者のますますの力の増大をもたらしたと言えるのだ(言える?)。
竹中等政策関係者はインサイダーとしての旨みを利用し多額の富を蓄財しただろう。彼らは経済学を自分たちの都合の良いように解釈して悪用し、自分たちへの利益誘導を行ったのである。経済学は金持ちがますます金持ちになるための学問では無い。適切な資源分配の方法を考える学問である。
小泉政権は熱狂的な期待によって迎えられマスコミも肯定的な報道を多くしていたと記憶している。昨今においてもインターネット空間に置いて、権力者に有利になるような扇動行為が益々盛んである。彼らは自分たちへの不満を逸らすため外敵など様々な不安、不満を煽って自分たちに批判を向かわさないようにするだろう(古典的である)。それが多くの市民にとって最終的に悲惨な結果を招くことがないように願う。
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かなり具体に沿った解説がなされており、理解し易い上、ミクロ経済の知識をどう扱えばいいのかが理解できる。良書。
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https://library.kansaigaidai.ac.jp/%E8%B3%87%E6%96%99%E3%82%92%E6%8E%A2%E3%81%99/%E9%9B%BB%E5%AD%90BOOK#!#tu
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