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生きているうちにこの作者のこんなに長い長編を読めるとは思わなかった。本当に生きていて良かったと思った。。最高に幸せだ。
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芥川賞作家 絲山秋子さんの長編。
以前読んだ作品は、もっとトゲトゲしていた。
これは最初から淡々としていた。
主人公が 掴み所のないイマドキの草食系男子だからなのか…
淡々と仕事をして これと言った望みもなく 毎日を過ごす。平凡というにはあまりにも何もない日々
そんな彼の元に 女優を探して欲しいと黒人が現れる。
女優と呼ばれたのは元カノ。
偶然が重なりフランスに転勤、文盲の妹とフランスとイスラエル映画
そして。
日本人ならきっとつけないだろう
ブツゾウという名前の元カノの息子…
全体に靄がかかったような話でしたが
それは最後まで消えなくて
でも、読むのをやめられない
結局元カノの不可思議な部分は解決しなかったし
サトーサトーは歳を重ね、職も変わったけれど
物語の最初と同じように淡々と毎日を過ごしている
改めて振り返ると 凄い人生なのに、淡々としている。
読了後も不思議な気持ちは消えなくて
他の絲山秋子さんも読んでみようと思った
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すごく不思議で、物語も謎が残ったままなのに、なぜか読了後すっきりする作品。
役所勤めの主人公が、過去に付き合っていた女性の所在を訪ねに来たフランス神と出会い、彼女の過去の謎に迫る、っていう大筋ではあるのだけど、タイムスリップとかでてくるし、よくわからない感じで友達が殺されたりとか、人のつながりがあるようではっきりしないのが続く。
それらの何一つに答えはでないまま終わるんだけど、それがむしろいい。タイムスリップや殺人に引っ張られずにいくのがいいのだ。
さまよっているようでひたすら目の前を進んでいくような物語。
不思議な感覚でした。おもしろい!!ではないけどページをめくる手は止まらなかった。
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淡々とした青年の半生を抑制した筆致で描いた作品。
恋人の死までも受け入れざるを得ない流れの最後の、「離陸」という言葉の感触がことさら力強い。
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謎の暗号文書に導かれて「女優」を探すうち、主人公は幾つもの大切な命を失っていく-。人生を襲う不意打ちの死と向き合い、透徹した目で寄る辺なき生を見つめた長篇小説。
読み応えはあった。純文学と大衆文学の境目を漂っているというのが私の絲山作品の印象だが、本作もまさにそんな感じだった。村上春樹作品に似ている(ハルキ臭が強い)、というのが私の友人たちの感想だったけど、確かに…。
(A)
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★★☆☆☆
すっきりしないお話
【内容】
ダム管理人の佐藤のもとに、フランス人がやってきた。彼は佐藤の元恋人ノオを探していた。
【感想】
伊坂幸太郎さんの「絲山さんのスパイものが読みたい」から作成されたようです。
スパイじゃないよね。これ。
てか全体的にスッキリしません。
僕らの人生にはすっきりしなことだらけだからまぁ現実に即しているといえば即してるんだけど、
数々の謎がなぞのまま終わるのは小説としてどうなんだろうか。。。。
【引用】
人間には想像力があるといっても、結局のところ思い浮かべることができるのは、現在とその僅かな周辺だけだ。
なくなった人を偲ぶことと面影に振り回されることとは別物。
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はっきりしたオチのない長い物語なのに、不思議と引き込まれて読めてしまった。オチがないことに特に腹立ちもしなかった。主人公の佐藤さんの人柄に魅力を感じたからかもしれない。ただ一生懸命暮らしている人に突然降りかかり、人生を左右してしまうような不思議な物語の一部を見させてもらったような読後感があった。
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みんな最後には飛行機みたいにこの世から離陸していく。
つまり、離陸したあとどこにいっても、誰のそばにいても、おかしくない。
スパイもの、という先入観を裏切るお話。
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いっぱい、詰まっている‼︎って。
普段気にせずに過ごしている日常に…
耳の不自由な妹。女優の元カノ。
あの震災…
フランス。
五島列島、唐津。
女子と靴を買いに行く。
点字。
『ブツゾウ』と言う名の少年と母、乃緒。
タイトルの離陸
やっぱり、好き絲山秋子。
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突如職場のダムに現れたイルベールという謎の黒人。かれは何故か主人公の元恋人を知っていて、彼女を探して欲しいと依頼をしてくる。
謎は解けるようで解けない。喪失だけが積み重なる。この不可思議な設定と、大切な人の喪失という小説のテーマとして普遍的な要素がこんなにシンプルに交錯するなんて。絲山さんは圧倒的に短編のほうが好きなんだけど、この作品の文体はすごく心地よかった。よくよく考えれば悲しいだけの物語なのに、どことなく澄み切った雰囲気が漂っていた。
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2016.06.09
真ん中あたりまで、いったいこれは推理小説?
恋愛小説?もしかして戦争関連?
って感じでなかなか進まず 辞めようかと思い始めたら後に妻となる人が現れた頃からやっと面白くなってきたけど、パレスチナとか連続殺人とか何この本?と呆れてたらまたタイムスリップとかもう!なんなの!
とイライラしてるうちにやっと主人公がいきいきしてきたので、面白くなってきた
この若さで何人も短な人の死に直面すると あるところで立ち直るのは難しいと思う!
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本日読了。
絲山さんの描く「喪失」はいつも僕の内面の奥底にある何かを強く揺さぶる。孤独をこれほど客観的に描き切れる作家を僕は他に知らない。家族や仕事、地方都市の街並みといった、非ロマン的なものから決して目をそらさず、主人公や彼らをとりまく世界を冷静に突き放す。
本作では、スパイ、タイムスリップ、連続殺人などといった不条理な出来事が日常を蚕蝕していく様も描かれている。それでも僕には、「どこにいても、誰と過ごしても、何が起こっても、結局誰もが一人きりなのだ」、というシシンプルな命題を巡る物語であるように感じられた。
力強く、潔く、美しい文体は相変わらず。
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主人公が受け身で、目的地がわからないまま物語は低空飛行する。特に盛り上がりもなく最後は不時着した感じ。「ぼくらは滑走路に行列をつくって並んでいる。生きている者は皆、離陸を待っているのだ」
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人と出会いと別れと、旅立ちとそれぞれの出発。
公務員で転勤族の佐藤。
群馬にいた頃、イルベールという男が佐藤の元恋人の乃緒の行方をたずねて突然やってきた。
佐藤の元カノだった乃緒は、フランスで結婚し息子をイルベールに預けたまま、行方不明になってしまった。
その後偶然にもフランスに異動になった佐藤が
イルベールに見せてもらったのは、50年代の古い暗号書物で、
そこに書かれている女性は乃緒そのものだった。
乃緒の息子ブツゾウとの交流、病気の末に亡くなったイルベール、のちに妻となるリュシー。
佐藤はフランス勤務後に熊本に異動になり、
リュシーとお腹の子との死別、熊本で出会ったのは記憶も言葉も失った乃緒との再会と別れ。
「みんな最後には飛行機みたいにこの世から離陸していくんだ。」
「飛び立って、次の旅にいったんだね」
結局乃緒の正体は謎のままだけど、タイムスリップの人だこれね。
人の死を飛行機の離陸に例えるような悟りの境地に達する、最後の一言のためにあるようなお話。
どういうわけか読むのに尋常じゃないくらい時間を費やしたので、思い出に残るであろう一冊。
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いまここにいる私たちと、次々離陸していく人たち。目の前で起こることと過去に起こったかもしれないこと。それらの繋がり。
乱雑に張り巡らされた関わりと、どう向き合っていくのか。まさに私たちの人生そのものだと思った。
著者渾身の長編。だと思う。