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2008年の5月ころ読んだのですが、昨日DVD版「マリー・アントワネット」(出演: キルスティン・ダンスト, ジェイソン・シュワルツマン 監督: ソフィア・コッポラ)見て、この本の面白さを思い出しました。
DVD版へのAmazonの口コミはかなりボロかす書かれていましたが、私個人としては「マリー・アントワネットの心象を適切に描いた作品」(ほけんがかりさんの口コミ)という印象でした。それもこのシュテファン・ツヴァイク版「マリー・アントワネット」を読んでいたからと言えます。
DVD版はセリフが極端に少なくて、その分見る側がそのシーンにおけるマリー・アントワネットの気持ちを理解できるかどうかで映画の印象が全然違って来ちゃうんじゃないかと感じました。私はいちいち切なくなってしまって、大いに共感してしまいました。
そんなわけで書評というよりDVD評になっちゃってますが、書籍版「マリー・アントワネット(シュテファン・ツヴァイク)」もとっても面白いです。特に下巻の革命後の変転の中でのマリー・アントワネットに圧倒されます。
books123
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どうせ説教臭い昔のインテリ野郎が書いた伝記物だろうと、期待0で読み始めたのに、「はじめに」で示された視点/観点に吸い込まれてしまった。ツヴァイクは「こうとらえ てこのように描写する」と丁寧に、ほどよくあらかじめ断って進める。読み手はそれにたいしてみずからの態度をその都度決定することを意識化できるので、読みやすい。ファルゼンに愛されることに救いを見いだすのを、許してあげよう。
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創作資料としてのレビューです。
ツヴァイクのマリー・アントワネットは、マリーアントワネットの人生を俯瞰しながら一つ一つの事件を取り上げてゆくという形です。そのため、小説形式に慣れている人は、最初面食らうかもしれません。
何より、根拠となる資料についての言及が多く、しっかりと足に着いた記述という感触が得られます。マリーアントワネットの平凡性や、事件一つ一つの原因と結果の結びつけが明確で、読んでいて小気味良いです。
創作の資料としては、やはり参照した資料が単なる参照に留まらず、引用が多いなど、時代を肌で感じられる点でとてもお薦めです。
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歴史書と物語の中間の書き方。歴史書よりは面白く、物語よりは退屈。革命の始まりまでが上巻。下巻は暗いのがわかっているので読み始める気がしない…
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上下巻、前半。
とはいえ上巻までで彼女の人生のうちかなりの部分を描いている。
ヴァレンヌ逃亡事件の前までが上巻。
岩波文庫の訳で読んだときはルイ16世との結婚が本当の意味でなかなか成立しないというあたりで挫折したのだが、
中野京子氏の訳は大変読みやすく、最後まで読むことができた。
自身もマリー・アントワネットに関する本を出版しているだけあり、
装飾的な文体をきちんと訳しつつも、肝心な事はすっと頭に入るよう訳されている。
むろん、ツヴァイクの書いたものにそれだけの内容が詰まっていることを抜きにして名訳は成り立たない。
上巻ではアントワネットがなぜ浪費に走ったのか、また、国民の反感をかうようになった具体的な行動、フェルゼンに惹かれてゆきつつも心の中だけにそれを留めているところ、母とのやりとりなど、
1人の女性としての苦悩と王妃としての生活がアンバランスに展開されていたことが語られる。
小説のようでもあり、史料のようでもあり、中途半端といえばその限りだが、
「歴史好き」レベルには最適だと思う。
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子どものままフランス王妃となった彼女。たしなめることのできる大人も周囲にいない中で、その贅沢を責めることはできるでしょうか。
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文章を読む喜びを感じた作品。
登場人物が動き出す、まるで目の前に現れるように。映画を見ているような感覚になる位引き込まれる。
アントワネットと、母マリアテレジアとの手紙のやり取りは、時代と国境を越えても変わらない母親の心配性を垣間見ることができる。
シュテファンツウ゛ァイクはもちろん、翻訳の中野京子さんの素晴らしい訳にも感動した。
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「マリー・アントワネットは王党派の崇める気高い聖女でもないし、革命派が罵る娼婦でもない。平凡な正確の、ごくありふれた人間であり、特に賢いわけでも、ひどく愚かなわけでもなく、火でもなければ氷でもない」出自によっては、ツヴァイクのいう「強烈な英雄、天才」とはほど遠い「風の当たらない日陰で、おだやかな運命のぬくもりを感じ」る生活もあったかもしれない。歴史の歯車を逆に回すことのできるほど、華奢な腕を支えられる男性(あるいは権力)がいれば違ったのでしょうが…。
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後輩ちゃんとの読書サークルにて、シュテファン・ツヴァイクがお題になったので、迷わずこの一作を選びました。とはいえ後輩ちゃんに教えてもらって初めてシュテファン・ツヴァイクを知ったんだけど。
女性の生き方を描いた作品は好きなのですが、どんな女性の物語でも好きなわけではないなあと思ってて。マリー・アントワネットは中でもすごく好きな歴史人物なので上巻だけでもすごく面白かったです。
傲慢な女王ではなく、純粋な王妃。分別とか自制心とか必要ないろんなものが足りなかったのは確かだけど、そうではなく、意志の強さや純粋さや気を許した相手への無邪気な優しさや、彼女の美点のいくつかがもうすこし足りなければ、こんなに大きな悲劇に祭り上げられなかったのに、と思います。擬人化しないと気づかないっていう下りはすごく染みた。社会や時代や民衆や、そういう漠然としたものが間違った方向に進んでても、中の人間は気づかない。マリー・アントワネットという、あの時代そのものが宿った美しい人形が、人々の熱狂の明確な対象になったんだなと思いました。
シュテファン・ツヴァイクも、訳者の方もすごいなあ。現代の日本のわたしたちが読んでもぐさっとくるような、社会への批判や解釈や、人間関係の描写に引き込まれます。下巻も単なる伝記みたいにはならないだろうから楽しみ。
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高校の頃、夢中で読んだS.ツヴァイク。およそ10年ぶりにこの機会が来た。
マリー・アントワネット。のっけから著者自身が指摘しているように、彼女の裁判は今も続いている。
軽薄で世間知らずで傾国の戦犯と非難すべき?いやいや、それは革命派の創り上げたプロパガンダで、一切の責任を押し付けられた悲劇のヒロイン?最期まで王妃であり続けた高貴の人?それともやはり、歴史の転換期を耐え抜くには平凡過ぎたごく普通の女性?
わからない。ひとつのエピソードを読む度に評価が変わる。きっとこの先も、彼女に対して断固たる判決を下せる人はいないだろう。
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ちゃらんぽらんなアントワネットでしたが、息子を観察した手紙にはハッとさせられました。
父親である私ですが、ここまで深く息子を分析出来ているだろうか…?
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歴史上には、その人物には相応しくない役回りを演じることになるひとがいる。その中でも有名なひとりがマリー・アントワネットだろう。
マリー・アントワネットは偉大なオーストリア女帝マリア・テレジアの娘として生まれる。
愛らしく上品なマリー・アントワネットは未来のルイ16世と婚姻してフランス皇太子妃になる。
ルイ15世の崩御と共にアントワネットは、自分が一体何者なのか、自分にフランス国民の生活がかかっていることも自覚出来ず責任も持てないままフランス王妃となる。
上巻では不穏な空気に包まれはじめたヴェルサイユで、マリー・アントワネットよりも自らの生命を選んだ貴族たちがアントワネットの周りから離れ亡命する中、命を賭けてフェルゼンがアントワネットの前に現れるところまでが描かれている。
普段余り漫画を読まないわたしが夢中になって読んだ「ベルサイユのばら」。それ以来フランス革命やマリー・アントワネットに興味を持っている。
今回ツヴァイクの「マリー・アントワネット」を読み、「ベルサイユのばら」はこの本をかなり参考にして描かれていたと感じた。
何故、マリー・アントワネットはここまで興味を持たれ有名な歴史上の人物になったのか。
マリー・アントワネットの深く物事を考えず、その場の愉しみを優先してしまう軽薄さ、不真面目さ、高貴な生まれゆえの上品さ、気高さ、愛らしさや優しさ。
良いところも悪いところも併せ持つ当たり前な人間。
とても歴史上の人物として記憶されなければならないような要素の無い人間。
ただ、たまたまオーストリア皇女として生まれただけの普通の女性。
その普通な人間が歴史の渦に巻き込まれ、華やかな世界から堕ちて行ったそのこと自体が、普通のわたしたちには興味の対象になるのだろう。
歴史を扱う本ではあるが、特に難しい内容ではなく読みやすい。華やかなフランス王室と貴族の生活を堪能できる。
オスカルは出てこないけれど、フェルゼン頑張れと応援しつつ下巻へ。
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歴史の重み。この革命から、王制という個人が全ての責務を負う制度はリスクが高く、風評というのは恐ろしい威力を持つということがわかる。今もあんまり変わらないなあ。
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中野京子さんの訳ということで、かなり前に買ってあった本。
だけど最初の方の文章がどうしてもなじめなくて、読み進めなくて放置してありました。
でもそこを乗り切ったら後は一気読みです。
マリー・アントワネットのことは、ほかにも色んな本で読んで結構知ってるつもりだけど、さすがこの本はアントワネットの周りのこととかにも詳しく触れていて、おもしろかったです。
確かにフェルゼンの存在があったから、アントワネットはより魅力的に見えるのかも。
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池田理代子さんが『ベルサイユのばら』を描くきっかけ&参考にしたとされる本。
アントワネットに関する記述がメインなので、ルイ16世がどう思っていたか等はわからないけれど、非常に読みやすく、これを3回くらい読んでおけばフランス革命のベースの知識は身に付きそう。
生まれながらに自分は特別だと思うのが当然の地位にいて、多くの兄弟のなかでも末っ子的なポジションだと、どんなに親兄弟や周りがしっかりしろと言っても根本的に難しいのかも…。
しかし、彼女の愚鈍さがフランス国民も含めて周りの人にどれだけの被害を与えたかを考えると、彼女の結末は仕方ないようにも思いました。
途中からしつけようとしてもダメなんだろうね。
日本の「三つ子の魂百までも」というのは正しくて、幼い頃に礼儀作法や周りへの感謝や配慮の心を持たせないとダメで、小さいからって甘やかすとこうなっちゃうのかも。