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おいおい、ユービックといえばあごだろう。ア・ゴ。
どうみても髭を剃るのは不可能と思われるあばただらけの、しかも左右に割れたあご。
カバーからは絶対に内容を推し量ることは不可能だ。つい買っちゃうだろ。
なんでカバー絵を変えるのかな?
早川のなかでも最悪ともいえるカバーを変えるなよ。中西の苦労も分かってやれよ。こんな内容の小説でカバー絵なんて思い浮かばないよな、普通は。そこを無理やり書いているんだから、永く残してやれ。それが注文した側の義務だろ。
今回読み直したのは、当然、初版のあご表紙だ。新表紙じゃないからね。
あご表紙じゃない画像が表示されるから最低ランクとする。
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子供のころ読んだ電気羊以来のディック作品。
仮想現実という言葉すらなかったころにこのセンス、とても半世紀前の作家とは思えません。
シビレルわあ。
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この本はSF+ミステリーというジャンルとして認識できると思う。
ただ、一般的にミステリーというのは線形に物語が進んでいくと思うが、
この小説は線形とは言い難い物語の展開を見せる。
簡単に言うと途中から小説の中の世界同様、崩壊が始まっているように感じる。
それは悪くはないのだけど、注意深く読まないと流れを読みづらくなると思う。
読者にも「何が問題か」におびえるジョー・チップの心情がよく伝わるのではないか。
本書は書かれた年代が年代なので、現代のSFに比べると若干の古臭さを感じる点はある。
しかし、その点を含めたとしても十分に読み応えのある物語だ。
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書かれた年代にこの近未来感を想像できるセンスに脱帽。「バーチャルリアリティ」という言葉に珍しさを感じない今でも古びていない世界観。そこそこミステリータッチのストーリーも良かった。
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はじめて読んだディック作品がこれでした。映画的で読みやすいし、オチも古典SF風でわかりやすい。なんでヒロインがこんなに恐いの?とびくびくしながら読んだのも今では良い思い出です。
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今回は、時間退行現象。
やはり時間軸がおかしな事になり、
読んでいて気持ち悪く(気持ち良く?) なる。
全体として、珍しくストーリーがつながっており、
大きな破綻も無く読み易い傑作。
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超能力者による産業スパイ活動が日常茶飯事となっている近未来。超能力者集団の怪しい動きを阻止すべく集められた不活性者(超能力者の能力発現を阻止する能力を持つ者、いわば「反超能力者」)達を率いて月面に乗り込んだジョー・チップは、敵の返り討ちに遭って雇い主ランシターを失ってしまう。大きな痛手を受けて地球に帰還した彼らが見たものは、あらゆるものが古び朽ち果ててゆく恐るべき時間退行現象に見舞われた地球の姿だった。退行現象を止められるのはただ一つ、「ユービック」と呼ばれる謎の物質のみ。不活性者たちも一人、また一人と退行現象に巻き込まれて死んでゆく中、何とかこの現象を食い止めようと奔走するジョー。果たして時間退行現象の原因とは、そして「ユービック」とは?
うひゃー、やられた。面白いですわ。
冒頭の超能力者集団と不活性者集団の対決に至るストーリー展開で、これは手に汗握る超能力アクションが繰り広げられるのか!?と思いきや、この設定は途中からどうでもよくなりますヽ( ´ー`)ノいやホントにヽ( ´ー`)ノ。この「不活性者」というアイディアだけで充分SFが一本書けると思うんですけどね、ディックにはそんなことどうでもいいんですねぇ(笑)
それよりもキーポイントになるのが、同じく冒頭に登場する「半生者」というもの。事故や病気で死にかけている人間を冷凍棺桶にブチ込んで死期を引き延ばし、遺族や関係者が必要な時にだけ、脳を活性化させてマイクを通して会話できるようにする。生者の都合で脳を活性化させられるたびに死へと近づいて行く、死んだわけではないけど生きているとも言えない存在です。この何とも気色悪い(ディックらしいとも言える)存在が最初にちらっと登場するのですが、これが後々大きな意味を持ってきます。
ストーリーはディック作品にしてはかなりスムーズに読める方で、SFサスペンスとして、ちゃんと破綻なくまとまってます。とはいえ、物語全体に漂う不穏なムード、そこかしこに登場する薄気味悪いガジェットなどは実にディック的。時間退行現象が始まってからの重苦しい閉塞感に満ちた描写は、読んでるこちらも息が詰まってくるぐらい重い重い。救いがないのに前向きなラストも印象的。
またこのラストがねぇ。それまでの謎が解けて一応スッキリしたなー、と気を緩めたところにえっ!?Σ(-Δ-;ですよ。ディック節炸裂ですねぇ。
前回紹介した「虚空の眼」よりもディック臭が強い作品だと思います。でもかなり読みやすいので、初心者にもお勧め!(-_☆
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ディック入門として最適とされる見事な傑作。時間退行現象という現実崩壊っぷりが楽しく、読んでいる自分まで「今、自分は本当に現実を見ているのか」という錯覚を体感できる。ところで『インセプション』を観たときに思ったんだが、クリストファー・ノーランはこの作品のファンではないだろうか。★5
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カバー裏のあらすじがネタバレです・・・
内容はすごく読みやすくて面白かった。夢と現実がごっちゃになりそうな感覚がたまらない
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SFの長編小説をがっつり読んだのはたぶん初めてだったけれど、おもしろくてするする読めた。今までちょっと避けがちだったのがもったいないと思ったくらい。
ディックはブレードランナーの原作者として有名だけど(『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』)、このユービックの方がディック初心者向きらしい。
SFってパキっと明るいものだとちょっと思ってたけど(思い込みだらけ。。。)、ディック特有なのかは分からないけれど退廃的な印象も強かった。特に中盤あたりのゆるーい絶望感。それがSFと絡み合うと絶妙なんだということを初めて知った。
物語としては、SFだしきちんと読み進めないと途中で分からなくなる系統だと思うけど、それでも一気に読めてしまうのは、ミステリ系を読んでるときの感覚に似てる。
止まらない時間退行、仲間の死…それを食い止められるのは“ユービック”だけ。しかし“ユービック”の正体とは一体?
SFって文章で読んだ世界が映画みたいに映像として浮かんでくるものなんだ…と目から鱗でした。
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借本。
著者の本はこれが初めて。
濃縮されたSFって感じで、読後はグッタリでした。
面白いけど、いい意味でSFすぎて疲れました。
次は、「アンドロイドは~」を読むとします。
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学生時代に読んで、それから何度か読み返した作品。P・K・ディックのなかで一番好きかも。今なら映画化も出来るんじゃないかと思ったりするんだけどな〜。その他の作品では「逆さまわりの世界」と「火星のタイムスリップ」がお気に入りです。
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電車の中でちまちま読んで、先日読み終わりました〜。
いや〜〜、カバー裏のネタバレっぷりねw
私はもともとやる夫スレ(たまにものすごい作品がある、クオリティから話のテンポからミスリードまで)で読んでたのでだいたい分かってましたが、これ初見だったら何がなんだかわからんやろうな〜(笑)
でもすっごい好き。なんかしらんけどすっごい好きな作品。
SFの面白さを再認識したのは小林泰三の『海を見る人』や『玩具修理者』の「酔歩する男」。
中学生のときブラッドベリの空飛ぶフライパン?かなんかを読んで『SFって面白いな〜』以来SFから遠ざかってたので、数年間くらいはSFを読んでなかったな。
まず『ユービック』ってタイトルがいいよね。ディック作品のタイトルがどれもキャッチーなのは翻訳者によるものかどうなのか。
ともかくとして、『ユービック』はすっごい好きです。
その近未来的表現であるとか、独自の専門用語であるとか。
よく考えつくよな〜、としみじみ思う。
あと、たまにすごく好みの表現があって、
特に――ホリスの眼の表現(133p3行目『その両眼は、傷物の(漢字変換されませんでした)の宝石を思わせた。輝いてはいるが、カットのしかたがおかしいのだ。まちまちの方角に光が反射されるのである。』――が好き。
あと、ジョーがだんだん力尽きていく表現とか好きです。
パットの性格やジョーはなぜそんなにも貧乏だったのか分からんけど、気持ちのいい酩酊感でした。
お気に入りです(*^_^*)
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1969年に発表されたフィリップ・K・ディック代表作の一つ。
1992年、社会では超能力者が様々な場面に侵入し、プライバシーを侵害していた。そんな超能力者たちを無力化する「不活性者」を依頼主に派遣する企業・ランシター合作社は、月面に多くの超能力者が集結しているという情報を入手、彼らに対抗するため11名の不活性者を月に送り込むが、逆に罠にはまり大きな被害をうけてしまう。
その場に居合わせたランシター合作社のテスト技師・チップは、生き残ったものだけで態勢を立て直そうと奮闘するが、やがて全世界を巻き込んだ恐るべき時間退行現象が始まり、チップらは奇妙な悪夢の世界に取り込まれていく。
時間退行現象の中で次々と命を落としていく仲間たち。いったい世界はどうなってしまったのか、誰が生者で誰が死者なのか。死の瞬間を引き伸ばされた「半死者」が当り前に存在する世界。生と死の境界は次第にあいまいになっていき…。
P・K・ディックにしてはちゃんとストーリーがあり読みやすい部類。ディック作品の中ではハードルは低い方なので、慣れてない人でも入りやすいかも。とはいえ、「読心能力者(テレパス)」や「予知能力者(プレコグ)」といったSFやディック作品ではお馴染みの専門用語が何の説明もなく普通に登場するので、やっぱりそれらに触れた事のない人にはわけわからんかも。
でも冒頭を乗り越えて世界のルールが判明してくると、物語はぐるんぐるんと駆動しはじめる。奇怪な世界においてチップはとにかく生き残るために東奔西走する。時間退行現象から逃れるにはどうやら「ユービック」というスプレー剤が必要らしい。しかしそれがなかなか手に入らない。チップはユービックを求めて喘ぐように世界を駆けずりまわる。
面白いのは、超能力者たちを中和し無力化する不活性者たち自身も一種の超能力者として描かれているところだ。つまりこの小説に登場する人物たちはほとんどが何がしかの特殊な能力を持つ者なのである。社会のあらゆるところに普遍的に存在する超能力者たち…。
この小説のタイトルにもなっている「ユービック(Ubik)」とは、作中でも説明されている通り、「ユービクイティ(神の偏在)」や「ウビーク(あらゆる場所)」が語源の造語である。現在、現実世界では携帯端末やインターフェイス等の発達により「ユビキタス(ubiquitous)」という言葉がだいぶ浸透してきている。日本語に訳しにくいことで有名なこの言葉と、「ユービック」は同じ語源の言葉だ。
あらゆる場所に存在する。その言葉の意味するところは。深読みしようと思えばいくらでもできそうだ。
後半、意外な真実が次々と明らかになり、チップは益々翻弄されていく。しかし生き延びるために、ユービックを手に入れるために、必死に頑張るチップ。この生への執着が行きつく果てには…ラストにはちゃんと(?)後味の悪いオチまでついている。
この小説、昔から映画化の話があるらしく、'70年代にはディック自ら映画化用にシナリオ化している。結局この時の映画化の話は流れたようだが、このシナリオは2003年にハヤカワ文庫から『ユービック:スクリーンプレイ』のタイトルで邦��刊行されている。ディックが自ら手掛けた自作の映画化用シナリオというだけでファンにはえらく興味深いものだが、こちらと読み比べてみるのも面白いだろう。
『スキャナー・ダークリー』を映画化できる現在のハリウッドの技術があれば、これも簡単に映画化できそうなものだが…希望を捨てずに映画化される日を待とう。しかしこの小説で描かれた「未来」が1992年とはなあ…。
数年前からディック作品のカバーを黒基調のスタイリッシュなものに順次変更しているハヤカワ文庫。Amazonのイメージ画像ではまだ反映されていないが、この小説も今年5月の版からカッコいいカバーに変更&トールサイズ化されている(当然だが早川書房のサイトでは書影が確認できる)。以前は渦巻きをモチーフにしたイラストだった。その前は男の顔の下半分を描いた不気味な表紙だった。
こうして古典的作品の酒をどんどん新しい器に移し替えていくのはいい事だと思う。しかし、今回のカバー変更に伴って、裏表紙のストーリー紹介に誤字が発生している(×「半予知能力者」→○「反予知能力者」)。以前のバージョンのカバーでは正しい表記がされているのがネットの古本通販サイトなどで見ることができるから、これきっと誤字なんだよね? 裏表紙のストーリー紹介ってカバー変更のたびに出版社の人が手打ちで改めて書き起こしているのかとちょっと感銘を受けた。
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今の日本社会の不条理悪夢っぷりはディックを越えている。
願わくば僕の言葉も誰かにとって、webの大海に潜む一滴のユービックたらんことを。