投稿元:
レビューを見る
タイタンの幼女、スローターハウス5ときて猫のゆりかごを読んでみた。スローターハウス5がいちばん好きだったけど、3作ともとても滑稽で悲しくて美しい世界観に心が揺さぶられた。
先に読んだ2作もそうだけど、猫のゆりかごに出てくる人間も、ユニークで憎めないどうしようもない人たち。クールに見える主人公でさえ、美女と権力に心が躍る。その美女は頭がカラッポだし、与えられたのはろくでもない国なのにも関わらず。
『こんな男には気をつけろ。何かを学ぼうとしてさんざん苦労し、学んだあとで、自分が少しも利口になっていないと気づいた男。そういう男は、自分の愚かしさにたやすく気づいた人々を殺したいほど憎んでいるものだ』
『泥のわたしがこんな思い出を持つことができるなんて!』
どうしようもない人々の中で、フィーリクス・ハニカー博士がいちばん好きでした。
投稿元:
レビューを見る
読み手との相性しだい。良い意味で特異な言葉、文章、設定であるとは思うが、正直意味が分からない。悪い意味でまったく想像がつかないため自分をその世界におけない、というか。入り込めないというか。
タイタンの方は楽しめたのだが。
投稿元:
レビューを見る
ボコノン教的な意味において、私はボコノン教徒となった。ヴォネガットの素晴らしい作品に見られるアイデアがふんだんに散りばめられた、素晴らしい小説。ただ、これほどせっぱ詰まった後半になってしまうのは、時代なのだろうが、今読むと辛い。確かに状況が好転しているわけではないのだけれども。
投稿元:
レビューを見る
「一つボコノン教徒に同感できる考えがある。宗教は、ボコノン教も含めて、みんな嘘っぱちだということさ。」
「わたしは最低の科学者だよ。一人の人間が楽になるなら、わたしは何でもする。たとえ、それが非科学的なことだろうと。すこしはマシな科学者なら、こんなこと言いっこない。」
「いったい、これには何の目的があるのですか?」と人はていねいにたずねた。
「あらゆるものに目的がなければいけないのか?」と神はきかれた。
「もちろん」と人は言った。
「では、これの目的を考えだすことをあなたにまかせよう」と神は言われた。そして行ってしまわれた。
投稿元:
レビューを見る
ヴォネガット好きになりました。
ブローティガンと並んで好きです。
読んだらきっとボコノン教徒になります。
投稿元:
レビューを見る
ヴォネガットがこの話で何か伝えようとしていたとするなら、それはこんなことだと思う:
人間はちっぽけで愚かだけど、そして沢山の間違いを犯すけど、でも人間てそんなに悪くないよ、ぼくは人間のことが好きだよ、たとえ結末がどんなに寂しいものになっても。
そして、もうひとつあげるなら、見方を変えなよ、ということ。
真面目すぎる視線を流して、斜めから受け取る方法をこの本は教えてくれるはずだ。ボコノン教という名前の、新しい宗教と一緒に。
正直なところ、書き手のシニカルな視線にはげっぷがでそう。でも、科学者の好奇心が世界を終わらせる物語は、今のこのタイミングで読むと、ぞっとする。
ただ、真摯な科学者って狂信者ではなく、むしろヴォネガットのように、真実を斜めから見ることができる人たちじゃないかな、ということは付記しておく。
その意味では、このお話の中で、科学は宗教だし、宗教は科学なんだ。
投稿元:
レビューを見る
アイス・ナインというクールなアイテム、
形而上学やそれに支えられた近代的社会へのまさに妙薬であるボコノン教。
このような独特な場面設定が、この作品にカルト的な魅力を与えていることはまちがいないだろう。
しかし、敢えてもう一つこの作品の核を挙げるならば、
それは「孤独」である。
アンジェラ、フランク、ニュートそれぞれの孤独。
巨大な破壊力が孤独な人の手に渡ったとき、
何かが起こるのはもはや必然ではないだろうか。
ありふれた孤独を前に、理性は、あまりにも頼りない。
投稿元:
レビューを見る
読んでいるときは、面白いと感じたはずだが、読後数日経つと内容をさっぱり忘れていた。もう一度数年後に読んでみようかな。
投稿元:
レビューを見る
村上春樹が影響を受けた作家さんと聞いて読まずにはいられなかった作品。序盤〜中盤のシニカルさと終盤のシリアスさのギャップにやられました。他のヴォネガット作品も読んでみたくなりました。
投稿元:
レビューを見る
この作者の何がそんなに私をひきつけるのか、どうにもわからないけれど、また一冊読んでしまった。今まで読んだなかでは一番SFらしいし、わかりやすい。こうしていもづる式に読み続けるんだろうな。
2014年再読。
読み始めたら思い出した「アイス・ナイン」と「ボコノン教」。でも話の流れはほとんど覚えてなくて、初めて読むように楽しめた。きっとまたいつか読むだろう。次に読むのは何年後かな。
投稿元:
レビューを見る
冗談のようで、でも真実も隠されているようなボコノン教が楽しい。
でも、アイス9沸かして飲んだら、氷らないのかな?
投稿元:
レビューを見る
ごくまともな小説
題は「あやとり」の意味。
世の中楽に生きようと思えば、嘘で周りを固めればよい。本の表紙にある「猫のゆりかご」を見ても、そこには「猫」も「ゆりかご」もないんだ。
皮肉家であるヴォネガットの口調は、本作ではまだ丸い。(後半の作品に見られるように)ストーリーにも狂気が含まれていない。
きわめて読みやすく、シンプルに現在社会への憎しみと人間への愛が伝わる作品だ。 ここにはキルゴ・トラウトも出てこないし、作者自らが登場することもない。原爆を発明した狂気の科学者が新たに作った「すべてを氷にして固まらせてしまう秘薬」により世界が終わってしまうまでを描いている。
キーワードは嘘で固めた「ボコノン教」。この虚構の宗教はなかなか信者が多いみたいだ。
経典の冒頭に「これはすべて嘘である」と断っているにもかかわらず、現実逃避願望からボコノン教徒になっていく主人公とそれを取り巻く狂気の原爆博士の息子/娘たち他がストーリーの大きな流れを作り、エンディングである「始祖との出会い→人間をあざ笑うボコノン教の真実」を形作る。
この作品の前に「タイタンの妖女」(既出)があり、後に「ローズウォーターさん、あなたに神のお恵みを」(既出)と続くのだが、この3作品が私にとってヴォネガットのベスト・ショットかな。
投稿元:
レビューを見る
『ミエナ彼女とミエナイ僕。』P90 僕(ボビー)が好きなボネガットの作品。アリーシャとの会話で登場する本。
投稿元:
レビューを見る
127もの章からなる作品で最初は驚きましたが読んでみるととても読みやすい。
芯をつく皮肉はここまで正当性を持ってしまうのかと読みながら感心し笑ってしまう。
ゆりかごもない。猫もいない。嘘っぱちのお話。
名前に隠された「こうであろう」ラストがとてもすき。
投稿元:
レビューを見る
アイスナインという科学の結晶と、ボコノン教という不思議な宗教が織りなす、テンポの良いストーリー
ただ、『タイタンの妖女』や『スローターハウス5』のようなドキドキワクワクがなかったかも…
2-3頁で一章が終わり、それぞれが歯切れがよく、何か考えさせるテーマが織り込まれているのはすごいと思った。
モノの見え方は人それぞれで、案外この目で見ているものは不安定で曖昧なのかもしれない。
この本も何度も読んで見えてくるものがあるのかも