紙の本
私のカラース
2005/04/15 15:37
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投稿者:なふん - この投稿者のレビュー一覧を見る
ボコノン教の教えは示唆に富んでます。私の運命を決定付ける人は誰なのかな…と、誰もが読後考えてしまうと思いますよ。
紙の本
必然的破滅
2001/11/29 23:41
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投稿者:marilyn_hanson.com - この投稿者のレビュー一覧を見る
いくつかのフラグメンツから全編が構成され、世界滅亡にいたるというヴォネガットにはありがちなパターンだが(のような気がするが、)この作品が初めてこの形で書かれたもののようです。
架空の宗教、ボコノン教の儀式「ボコマル」は山本直樹「ビリーバーズ」で引用された。(豆知識)
ネタばらしをまずしてしまうんですけど、周りの水分すべてを同じ結晶状態にしてしまう「アイス・ナイン」がばら撒かれることで世界は滅亡します。
このアイスナインを作ったのが人畜無害な博士で何ら破滅的意図もなしに(学術的興味のみで)作られたものであるのに、その後の博士の子孫やその他の人間の様々な思惑によって上記のような結果になってしまうところに、ヴォネガットの皮肉とストーリー作りのすごさを感じますね。
「ガラバゴスの箱舟」も(ネタばらしになりますが)人類が退化し海獣のように這いずり回りながら、暮らす、というなんとも言えない結末で終わるのですが、「ガラパゴス〜」の破滅も、この作品の破滅も、まるで非現実的なのに「でも、あるかも」という妙なリアリティを抱かせるところがあって、そういうところは楳図かずおの『漂流教室』に通じるものがあるとも思います。
結末がさらっと滅亡で終わるのですが、そのほかの断片も特に感情も交えず登場人物の言動の描写だけで進んで行きます。ただ、その言動によりその時々の登場人物の感情が読み取れるだけ。
結局、世界のどんな事柄も一つとしてドラマになどなりえず、また、すべてがドラマなのだとヴォネガットは言いたいのかもしれない。世界の終わりでさえも。
紙の本
猫、いますか?ゆりかご、ありますか?
2000/12/19 07:25
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投稿者:子房 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ヴォネガットの出世作にして最高傑作(と思う)。これを読めば、あなたも今日からボコノン教の信者になれる! さあいますぐボコノンを称えるのだ——
はじめから説明すると、主人公の作家はある事情で故人の科学者について調べはじめて、あるきっかけで科学者の子供たちと知合い、ある事情で南の島国にでかけ、ある要因で世界の荒廃が起こる。というとても分かりやすいお話。
とにかく愉しい小説だ。細かい章立てによる皮肉と諷刺の数々。小話の羅列でありながら立派なひとつの物語が構成されている素晴らしさ。この手法を彼が本格的に使用しはじめたのはこの作品が最初だそうだが、最初でこれだけの上手さをみせているのだから凄い。
さらには登場人物の俗っぽく、だからこそ共感してしまう悲哀。アイス・ナインを利用して、自分たちの求めるものを得ようとする三人の兄弟。素朴な苦悩と、素朴で当たり前なことを語るボコノン教。ふたつの重なりは、いつしかしだいに厳粛な気持ちを読む者に及ぼす。最後まで笑いながらも、終わったあとしばし呆然としてしまう。宙空に猫を、ゆりかごを探してしまう……
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こんなにも
2020/01/04 17:04
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投稿者:ケロン - この投稿者のレビュー一覧を見る
こんなにも「この本の中に真実は一つもない」という注意をされると、フィクションを読み慣れている身としてはかえって警戒してしまいましたが・・・。
あとは読んでのお楽しみ。
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内容については読み返してからということで。とりあえずu:sagaでアイスナインという術名を見て思いっきり吹いた事だけ記しておこう。
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ヴォネガットのすばらしいところは、読後3分間は確実に泣けるところ。知らない時代、知らない国、知らないところを旅できます。読み終えた瞬間、誰もがボコノン教徒になってしまうのもヤバイところ。
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カート・ヴォネガット・ジュニア。初めて読む作家。
架空の宗教と世界の終わりの話。結局世界は終わったのかははっきりしないけど。
面白い。これは一時期爆発的に流行ったというのも頷ける。荒唐無稽なようで実際荒唐無稽なんだけど、それとは裏腹に語り口は緻密で無駄がない。
あんまりあっさり話が進んでいくので、根っから読み飛ばす性質の私は何度か肝心な部分を見落として読み直してしまった。「あれ、いつのまに死んだの?!」みたいな。
誰かの作り出した想像の世界がこれだけすんなり飲み込めるのは何か不思議な感覚。じつは万人がそれぞれ勝手に膨らませる想像の世界って、並べてみたら驚くほど似てたりするんじゃないかしら。
そんなことをふと考える。
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学生時代にゼミの夏休みの宿題で読まされた一冊。
星新一系SFはもともと結構好きな方なので、活字アレルギーでも割と読み易くて面白かったです。
アイスナインが登場した時は、世界中が凍ってしまぅ!と本気で絶望的になりました;
読み終わる頃にはすっかりボコノン教に染まってるはず!
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冗談を言うみたいに世界が終末を向える。そんなお話。
読み終わる頃にはあなたもボコノン教の信者になっていることでしょう。
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適当に見えて、主人公とそのカラース達はしっかりばっちり世界を破滅に導いていたらしい。これはハマる訳だよ…
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これはいいなあ。
僕の中で本に当てる物差しというのは二本あって、それはつまり「面白い小説かどうか」と「良い小説かどうか」ということ。
「面白い小説かどうか」、というのはつまり物語として面白みがあるか、読み物として楽しめるか、ということ。これは単純にエンターテイメント性と言ってしまってもいいかもしれない。
それに対して「良い小説かどうか」、というのは文体・構造・意図などを通して心動かされるかどうか、ということで、あるいは世に言う「文学性」というものがこれにあたるんだろうと思う。「文学性」という言葉はどこかこそばゆく気恥ずかしいけれど。
そこでこの『猫のゆりかご』だけれど、どちらの物差しを持って読んでみても満足できる稀有な小説の一つ。翻訳もなかなか楽しい言葉選びをしていて(カート・ヴォネガットのジョーク性を汲み取ってのことだろう)、「ノーモアぬかるみ」なんて章題が飛び出してきたりする(そういえば確か初期の村上春樹はカート・ヴォネガット翻訳文体に直接的な影響を受けて『風の歌を聴け』を書いたんだったっけ)。
前々からカート・ヴォネガットは読んでみたかったものの、「ハヤカワ文庫SF」なんかに入っているのだから探し出せなかった。ハヤカワと言えばミステリやSFなんかの、読者層年齢の高い完全な娯楽小説だからまずその本棚を探してみるなんて事すらしていなかったのだ。不覚というのか何というのか。
これから他の作品もどんどん読んでいきたい。
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広島に原爆が落とされた日、アメリカの重要人物が何をしていたかを記す本「世界が終末をむかえた日」の執筆にとりかかった作家が遭遇する奇妙な事実の羅列。嘘と皮肉とたわごとからなる宗教、ボコノン教の教条を中心にして語られる、世界の終末を描いたSF作品。ボコノン教の聖典、「ボコノンの書」はこんな文章で始まる。すなわち「私がこれから語ろうとする様々な真実の事柄は、みんな真っ赤な嘘である」作中で幾度も引用されるボコノンの教義が物語の重要な根っことなるのだが、それらが全て上記のような人を食ったものばかりであり、決して明確なテーマなんぞはそこからはうかがえない。それでも本を読み終えたとき、肩の荷が降りたし、目の前が明るくなった、ボコノン教が好きになった。
人生の目的も見出せず、苦悶の中でウロウロしていることしかできない、人間存在の悲惨さが作品には描かれている。予期せず降りかかる不幸や苦難。それらに意味、意図があったのなら納得もできる。なぜ自分がこんな目にあうのか、と。旧約聖書の一遍「ヨブ記」では、神の気まぐれにより次々と苦しい試練を与えられる男ヨブのことが語られている。彼は信仰心の厚い自分が何故こんな目にあうのか、と嘆きながら悲惨な人生をおくることになる。それでも彼には神がいた。それが苦境の中での慰みになった。ひどい人生に耐えられた。では我々は?神を失ってしまった現代の多くの人のよりどころは何だろうか。ボコノン教はその役割をはたさないし、むしろ悩める人々を足蹴にしている。けれど、虚偽の上に成り立つ思想、信条を一度飲み込んでしまえたら。人が存在する事実だけを認め、これ以外に真実を求めなければ。ひどい人生を積極的に受け入れることもできるんじないかな。長い感想に目が回る、目が回る、目が回る・・・
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2007/6 「壮大なズシーン」という小題がとぼけていて好きだ。さみしいひとたちの物語なのだけど、へんにウェットじゃない。ウェットじゃないのだけれど、悲しい。
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2008.01.27 なかなかボコノンになじめなくて、途中くじけそうになったけど、なんとか読破。アイス・ナインのSFぽさがたまらないです。
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要するに、ボコノン。はい、読み終われば、あなたもボコノン教徒。
一緒にボコマルしましょ。
スローターハウス5よりも良かったなー。
もう、夢中。アイスナイン、うひょーーーー。
モナー!
みたいな。いいですね。ヴォネガット。