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本書は一応連作短編の体裁を取っていますが、表題作が他の四編と毛色が異なり乖離しています。連作ならではの仕掛けもなく勿体無い感じです。
また、表題作以外は主人公が夢の中で謎を解いて終わりというパターンでロジカルとは言い難い内容です。トリックも目新しいものではないですし動機もあまり納得出来ず。どれを取っても中途半端な印象です。
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作家志望の主人公が旅先で出会う事件の数々を描いたミステリ連作集。それぞれに風情のある物語で、そしてラストではついにアガサ・クリスティー賞会場で事件発生。被害者があの人だったり、容疑者があんな人やこんな人だったり(笑)。
お気に入りは「蛇と雪」。情景の美しさが一番印象的。歪んだ兄妹愛も狂気じみていて、耽美な雰囲気でした。
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綾辻行人殺人事件がアリなら、有栖川有栖殺人事件だってアリですか。そうですか。
表題作のために書かれた、4つの事件がちょっとお粗末。
最初の事件こそ、おお「月光ゲーム」へのオマージュかと感嘆したものの、首なしあたりは、何のためのDNA鑑定かと逆に首をひねった。
睡眠探偵が暴く真実は、夢と現実が曖昧ということか。
ただただ有栖川有栖への愛が溢れた作品でした。共感。
わたしも学生アリスが終わってほしくない。でも読みたいの。
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【図書館本】被害者は有栖川有栖。その帯に煽られて表題作目当てで手に取った。一応連作とのことだったので頭から順に読んで行ったが、かなり苦痛だった(繋がりほとんどないし)。1日1話読むこともままならない程自分には合わなくて時間がかかった。最後まで読めたのはもはや意地。有栖川さんが気になっただけ。
作者の有栖川さんに対する愛はひしひしと伝わってきて思わずニヤニヤしてしまったが、好感を持てたのはその部分だけなので“面白くなかった”という印象しか残っていない。有栖川さんをはじめ、表題作に登場した作家さんたちのあとがき的な評価があればよかったのに……。
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一行目:深い絶望の果ては黄泉路と繋がっていた。
何度新人賞に応募しても通らない、作家志望が旅に出る。青森から徐々に南下し、岩手、秋田、山形と東北の行く先で殺人事件に巻き込まれる。
最後、突然舞台はアガサクリスティー賞授賞式へ。なんと有栖川有栖が殺されてしまう。犯人は誰なのか?
自分自身は関係者なので、著者が実際に受賞時にここを舞台に作品を書くと発言したことを耳にしている。
一般の読者から見たら、やはり唐突すぎる展開だろうか。
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2016年2冊目は、今年没後40年となるアガサ・クリスティの作品!
ではなく。←
第3回アガサ・クリスティ賞の受賞でデビューを果たした推理作家、三沢陽一先生の【アガサ・クリスティー賞殺人事件】です!
BSプレミアムで年末から放映しているポワロ&ミス・マープルシリーズに目下ハマっておりまして、久しぶりにクリスティが私の中でも来ております!
その割に、新年1発目の推理小説はクリスティ作品ではなく彼女の名前を冠した賞の受賞者の作品っていうね←
【被害者は有栖川有栖】という挑発的な帯の内容を収録した表題作他、4編の短編を収めた本作。
「どうしたんこの作者…有栖川先生と言えばクィーンだろ…」
と、私のようにドヤ顔()で困惑した読者も少なくないのではないでしょうか←
本編感想。
短編毎にチラチラのぞく、主人公の青年が持ってる有栖川作品以外にも、有栖川作品へのオマージュ要素が感じられるのが嬉しい!柔らかい密室の殺害現場とか、月光ゲームを彷彿とさせますよね。
もしかしたら、私が気付けなかっただけで、他の作品も有栖川作品の要素があるかもしれないな〜。うーん、気付けないのはきっと私の読み込み不足なんだぜ…
「蛇と雪」の真相が提示された時に感じた既視感も、何だろうな??
被害者が目にした残酷な「最後に見た景色」の美しさが、すごく懐かしい感じしたんですよね。
有栖川作品に、雪原を舞台にしたトリック何かあったっけ…。
全編に渡って、有栖川作品のような論理的思考に支えられた推理ではなく、閃き・直感に支えられた推理展開だったのが残念といえば残念。
しかも、良心的とは言えない、真相看破後の探偵役の振る舞い…。
この辺は有栖川作品と似ても似つきません。
だけど、表題作で明らかになる主人公の信念を理解した時、「ロジックを駆使した完璧な推理」や「大団円の結末」は、この作品群には相応しくないんだなと納得しました。
でも、表題作で語られる有栖川先生の「清廉潔白」っぷりは笑った〜笑。叩いても何も出ない、かえって白が目立ってくる被害者像って、どんだけ〜(笑)。
◉柔らかな密室…一向に新人賞に縁のない自分の筆力に絶望した青年は、自身の死地を求めるように旅に出た。辿り着いたのは、青森の恐山近くにある寂れた村。そこで一宿一飯の恩を持った一家が関与した、奇妙な密室殺人に巻き込まれてしまい…。
◉炎の誘惑…貴重な円空仏を所有する寺に宿泊した青年は、深夜、炎が爆ぜる音で目を覚ます。仏像を保管する土蔵が焼失したのは、前夜、格安で仏像を買い叩こうとした詐欺師達の仕業なのか?
◉蛇と雪…極度に蛇を信仰する兄と、彼の庇護下で育てられた妹。妹に鉄壁のアリバイがある夜、兄は自ら握る刀で首を貫き自殺した。兄を殺す十分な動機がある妹は、本当に無実なのか?
◉首なし地蔵と首なし死体…権力争いに敗れた武将の怨念が宿ると言われる首なし地蔵がある町で、子供が殺害後に首を斬られるという猟奇殺人が発生した。子供の父親が���疑者として逮捕されたが、青年は世間で目されている以上に残酷な真相に気付く。
◉アガサ・クリスティー賞殺人事件…諦めていた賞の授賞式、青年ーー三沢陽一は、憧れの推理作家・有栖川有栖と遂に対面を果たす。ところが、授賞式の会場のトイレで、その有栖川有栖が何者かに縊死され、三沢本人も容疑者になってしまう。次々と現れる容疑者達。果たして、刑事をして「叩いても何も出てこないほど白い」と言わしめる有栖川を殺したのは何者なのか?驚天動地のその動機とは?
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おもしろかった。
死を求めての旅の先々で出会う殺人事件。
主人公はその真相を夢の中で導き出す。
が、とくにそこから名探偵の「さてみなさん」が始まるわけでなく、犯人も事件もそのままに話は次に進んでゆく。
おお、こーゆーのもアリかあ、とおもしろく読んだ。
更にラストにはその当人が犯人に。
しかも有栖川先生を殺すとな!
多々、出演の作家さんたちの描写は
本人たちがそのままモデルっぽい。よくは知らないが、
ホントにこーゆー感じの人たちなのかなーと思ったりする。
作者、彼らのこと好きなんだろーなー。
実際、付き合いもあるのかな?でないと書けないよなあ。
有栖川作品は読んだような、読んでないような・・・。
先日ドラマになってたのは、以前何作か読んだような気もするんだけどなあ。
とりあえず今度学生シリーズとゆうのを読んでみたい
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ミステリ。連作短編集。
正直、表題作が一番微妙。浮いてる。
特殊な密室もの「柔らかな密室」、想像すると異様なトリック「蛇と雪」なんかは、ミステリとして十分に楽しめた。
有栖川有栖さんリスペクトなのでしょうか。
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全5編からなる短編集である。
4作目までは主人公の青年が旅先で巻き込まれた事件の謎を解き明かしていく。
そこまでは何とかミステリーらしさもあり、楽しみながら読むことができた。
だが、問題はタイトルにもなっている「アガサ・クリスティー殺人事件」がどうにも納得できない。
新人賞を受賞し、授賞式に出席する主人公。
作品には多くの作家たちが実名で登場し、それぞれの作家らしい人物像も紹介される。
だが、実名にした意図は何なのか?
架空の人物であっても何の問題もない展開で、あえて実名で作家たちを登場させた意味がわからない。
良く解釈をすればそれぞれの作家へのオマージュとも考えられるが、ならば結末が余計にわからなくなってくる。
動機にも説得力がまったくないし、何よりも大好きな作家が被害者になるような物語は読みたくないというのが本心だ。
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作家志望の主人公は新人賞に落ち続けることに絶望し
死に場所を求めて人生最後の旅に出る。
最初に向かったのは第一章の恐山
しかしこの時期は閉山していて駅で途方に暮れる彼に
声をかけてきたのが江戸時代から続く酒屋の息子だった。
地酒の見学と称し青年宅で一泊する事になった主人公は
知らずのうちに家族が仕組んだトリックの大事な
鍵を握る人物となってしまう。
恐山の旅で疲れ果ててしまった主人公が次に
向かったのが第二章の盛岡、タクシーの運転手に薦められ
ウィスキー好きのお坊さんがいる宿坊に宿をとる
この寺には宝物庫に仕舞われている円空仏があり
この地でも主人公は秘像をめぐる事件に巻き込まれる
秋田へ向かった主人公は法釈坊とお雪ケ沼の辺で
一人の女性から「兄さん」と声を掛けられる。その女性から
兄が亡くなった経緯を成り行きで聞く事となる
この主人公は床につくと事件の奇妙な夢を見る
パズルのように浮かんでは消える映像をヒントに一つの
答えを導き出すので、この章でもそうだろうと
夢をヒントに推理をあれこれしてみたがたどりつけなかった
次の地は山形、観光案内所で修理塚の首なし地蔵の謂れを聞き
最上義康の最後に死を意識して旅をしている自分と重ね合わせ
主人公は地蔵堂へ行くが、その地蔵堂では最上一族の末裔の
一人息子、博一が首なし地蔵の前で首なし死体ととなって
発見される事件が起こっていた。
博一の首はすぐ近くで見つかっており、何故、首を切らなければ
ならなかったのか、不可解な謎が主人公の頭から離れない
そして今回も夢に事件の解決を頼るように床に就く
犯人が本当に持ち去りたかったのは・・・
事件の確信を得たとき、旅の終わりを告げる物がふと目に入る
第三回、アガサ・クリスティー賞の新聞記事
受賞者の所に自分の名前、三沢陽一を発見する
三沢陽一はアガサ・クリスティー賞の授賞式で驚くべきスピーチをする
「次の作品は本日のこの場を舞台にしたミステリーで誰が被害者になり
誰が犯人になるのかそれは秘密です」と三沢のスピーチはなかなか
凝った趣向だと満場の拍手で包まれる。パーティが和やかに進む中
選考委員の有栖川有栖の死体が発見される。
第一発見者は翻訳家のアレクサンダー・O・スミス
有栖川が席を外してから発見されるまでの間に席を外した
怪しい人物は早川書房の社長、三沢陽一、東直己、森晶麿、青柳碧人
疑われた人達はみな、有栖川有栖の好きな本の題名をあげ
有栖川の魅力を語り。これほどのファンだった自分がどうして
殺すのかと切々と訴える。
殺人の動機は犯人の美学によるものとして
作中に布石として散りばめられていました。
不足の美に囚われた犯人の終焉も一貫していました。
最終章は作家さんや評論家が実名で登場するので少��楽しみに
していましたが登場時間が短く全体的に少々期待ハズレでした
他の4編の方が旅先の情景と事件が巧く絡み合っていて
楽しめました。
主人公は愛読書を持ち歩いていて有栖川有栖の「月光ゲーム」
に「孤島パズル」「双頭の悪魔」と次々と彼の作品が登場するので
久々に読みたくなりました。
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火事のお話はスッと納得しました
お導きですね
あとは
警察ってそんな気づかない
ものかしら とか
何かモヤっとするものが
あ これが不完全な美…
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旅先で事件に関わってしまった主人公が真相を推理する連作短編の形で話が進みます。真相に到達するきっかけがちょっとどうかなという思いはありますが普通に謎解きを楽しむことができました。ラストだけは繋がってはいるもののちょっと違います。事前に読友さんたちが有栖川ファンなら一読の価値ありと言っていた理由がわかり納得しました。でも楽屋裏を覗き見ているようで私はあまり好きじゃないかも。話題性としては抜群かもしれませんがトリック、動機ともにあまりピンと来なかったのも残念です。悪くはないので次作の更なる成長を期待します。