紙の本
安定か愛か
2022/07/01 14:50
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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
昔の恋人との再会をきっかけに歯止めが利かなくなっていくヒロイン、村主塔子にドキドキです。何不自由ない専業主婦が終盤で下した、あの決断には賛否両論あるでしょう。
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わたしが島本理生さんの作品が好きなのは、島本さんが描くと男性像にあると思う。この一貫性。どの登場人物も、どの作品でも、どこかしら共通しているダメさ、危険さ。欲しい言葉をくれる男たち。鞍田さんみたいな年上の男、惹かれちゃダメだと思ってるのに惹きが強すぎる人、性欲が強く女性を喜ばせることに長けてる人。
それと反して小鷹くん。姉二人の女兄弟の末っ子。気まぐれで気分屋でS気質で、頭の回転が早く仕事はできるんだけど扱い難い。や、誰にも扱わせない。人を見抜いたうえでうまくコントロールするそんな小鷹くんのエロさには眼を見張るものがある。翻弄されたいし、実際いたらされちゃう。危険と分かってても本気にされなくても、一瞬でもいいって思っちゃう。他のひとに“おまえ”って呼ばれるのは嫌なのに、こういう男に呼ばれるとぞくっとしてしまうのはなぜなのだろう。そんな“おまえ”と呼ばれても嫌な気分にならない男代表て感じ。
そしてそしてダメな夫の真。誰がどう見てもイケメン、マザコンで童貞。セックスレス、自己中なこの夫が、この官能小説にさらに火を注いでるというか、逆に和らげてるのか。こんなクソ夫でセックスレスだったらそりゃ不倫にも走っちゃうよねという一種の防御線のようなね。この夫と比べたら鞍田も小鷹もなんて魅力的なんでしょう。
官能小説というよりも、やはり島本理生さんが描くと純愛に思えてしまう。
ネタバレになりますが、癌とかそういう病気系は絡めないで欲しかったな。そこで一旦興ざめしてしまった。それを理由的なものにしないで欲しかった。エピローグも少ししっくりしない。でも、でもやっぱり鞍田、や、わたしは小鷹派!(笑)たちの数々の言葉に、読んでいるわたし自身もとても救われるものがあって、熱くなった。こういう時、そう言われたいんだよってね。
やっぱり好きだなー、島本さん。再実感。
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官能の描写がもう一つで、何度か挫折しそうになったけど読みきってよかった
ラストが
切ないっすねー
鞍田と出会えてよかったじゃない
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久々の島本さん。
母になった塔子は二十歳の時に不倫していた鞍田と友人の結婚式で再会する。
鞍田は妻と離婚し独身に。
当時と立場が変わった状態でふたりは惹かれ合い再度関係を持つ。
塔子と鞍田二人のシーンは息を飲むほど、綺麗だった。
夫とは表面上はうまくいってるけど、少し分かり合えない部分もあり同居によるストレスも感じつつ、娘を育てていた塔子が鞍田と再会してまた働き始めて、自分が仕事を好きだったと気づく。
不倫はもちろんいけないことだし、娘の翠に対して罪悪感を抱いているけど、欲望のようなものは止められず。
母や妻というカテゴリーから逸脱していく塔子。
逸脱することを恐れていたのに、深みにはまっていく。
タイトルのRedは、まさしく"女"の色って感じがする。
母や妻でなく。
塔子はやっぱり家庭を捨てられずに鞍田を切ったけれど
それでも好きな人は鞍田だったんだろうな。
好きな人と家庭を築けないのは辛いけど
恋と結婚はまた別なんだな。
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大胆な性描写が多くて、なかなか本当のところが見えにくかったけれど、主人公が、あたかも不可抗力であるかのように見せかけながらも、何かにつけ男性によりかかる感じが嫌でした。
幼少期の家庭環境があまり良くなかったから、奔放に生きることを抑圧して、結果、つまらない男と結婚して、それじゃぁもちろん満足することができなくて、外の男に走って…
その流れがなんかなぁ…でした。
でも、最後のほうにはグッと盛り上がってきて、
夫や浮気相手のせいにしているけれど、結局は自分なんだ、ということに気付いた主人公に初めて納得できた。
自分が嫌悪感を抱いていた母親のような生き方をして、娘にも自分と同じような気持ちを味あわせてしまう。
でもそれでも、自分らしく生きるほうがいい、と思いました。
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旦那がクズ過ぎた…
『島本理生が初めて書く官能の世界』と謳われているけれども、そちらよりも主人公の夫のダメっぷりの方がインパクトありました。
この感覚、女じゃないとわからないだろうなぁ……。
不倫相手の鞍田さんもなんかズルいし、どの登場人物も何かが欠けている人ばかり。
自己評価が異様に低いヒロインですが、最後どんな決断をするのかなと思ったら、意外な上に煮え切らない結末でした。
書くテーマがなにであろうと、やっぱり島本理生は島本理生だなあと思いました。(良い意味で)
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期待してたのに…という感じかな。
官能うんぬんはおいといて、島本さんの感性が三文小説っぽくなってしまって残念。
塔子が安っぽい。旦那が薄っぺらい。鞍田さんも最後病気とわかるまではなんか軽薄。
新潟に出張するあたりからじわじわ読み応え出てきたけど、ん?なんでなんで?って読み直さないと入ってこない箇所とかあって、そんなこと今までなかったのに。
空港で言い合うところはよかった。
やっと言えたなと思って。
次は頼むよ、ナラタージュみたいなの。
どんどん官能方面ばかりにいかないでねー。
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主人公塔子の夫は、確かに世間知らずな面があることは否めませんが、最後の手紙を読むと、私はそれほど最低な男性だとは思えませんでした。
むしろ塔子の方が、恋愛経験豊富なために、物足りなかっただけのように思いました。
塔子が小鷹に舞い上がり、冷たくされる場面は、痛すぎで、共感できませんでした。
ラスト、子の発言をきっかけに塔子が選んだ(もしくは選ばざるを得なかった)道は、私はそれでよかったんじゃないかと思いました。
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初めての官能小説。
読みやすさと、塔子の自己評価の低さとか親との関係性とか変わらず。
タイトルRedがまさかのあの血の赤という…。
夫みたいな人、とても居そう。
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結婚して子供が生まれたら、女性というより母性が強く出るものか?
夫には母ではなく女として扱ってもらいたい。そうよね。
あなたのお母さんじゃないもの。
そこへ、ちゃんと自分のことを認めてくれる人が現れたら頼りにしちゃう。
日常にときどきの刺激、必要かも。
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主人公が物凄くモテる(男性ずきする女性)から紛れちゃうけど、不倫の話というよりも「幸せになるとは」がテーマ。最後の塔子と真のやり合いは、塔子の女性的なエゴ、真のニブさと幼さがぶつかりあって、面白いやり取りになってて良かった。あと、鞍田さんが車の中でかけた曲があまりにらしい曲で、実際自分がおなじ立場だったら笑ってしまいそうだと思いました。
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帯に官能小説!だなんて煽りがなければ、こんなにその部分ばかり意識しなかっただろうと思う。そう言われるから、出てくるたびにドキッとしてしまったが。言われなきゃ特に・・・さらりと読んだと思う。
やっぱりただただ切なかった。
それまではこの人がいったいどんな顔して生きているだろうとあまり考えなかったのに(かわりに主人公夫婦のことは良く思い付いたが)
読み終えてからは、海辺での鞍田さんの表情ばかり想ってしまう。
こどもの存在とは。
こうやって生きようとすることは、傲慢なんだろうか。
実際のところ、こういう人たちも多いのではなかろうか。
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1日で 読み終えました。 途中、ドロドロした 終わり方だったら イヤだなぁ~って 読み進めていきました。…それぞれのトラウマ(呪い!?)を 抱え込んで 生きている…みんな、幸せになってほしいな。
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登場人物や設定が島本理生っぽいなー。趣味が一貫してる。
アンダスタンド・メイビーは圧倒されて非の打ち所がない!すげぇ!と思ったのに対して、こちらは若干物足りないと言うか、読み飛ばしてないのに状況が掴みづらかったり、現実的なことにツッコミを入れたくなったりした。
冷蔵庫に食品入れとくならガラスじゃなくてタッパーだろー!とか、東京のホワイトクリスマスってかなりレアなんじゃ?とか。
まぁ一気読みしちゃいましたが。
自分の中の塔子や矢沢、二ノ宮さんやたなちゃんの部分を重ねて、胸が痛くなる言葉がいくつもあった。ゆきりん要素は…ないな。ちょうど同世代~ちょっと上なので、女の生き方ってどのルートを選んでもめんどくせぇなと実感した。
小鷹さん、憎めないヤツだ。というか、旦那も鞍田さんもクズだから相対的に株が上がっていく。いちばん良識があるのは菅さんでしょうかね。
性と向き合うのは生と向き合うのと切り離せないんだなと常々思っている。自分の今までの生き方や価値観がモロに出るからかなりしんどい行為。体を丸裸にするのより心をさらけ出すのがいかに無防備で気持ちの揺らぎが激しいか、知らなかったなぁ。。
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島本理生の官能小説!この人の作品はどうしてこんなにも追体験のようになるんだろう…。主人公とは年代は同じだけど性格も環境も何もかもが違うのに、まるで自分の体験を目の前で綴られているような感覚になります。描かれる男性のリアルさとそれに対する感情のリアルさ、結末もまたリアル、だけど充分すぎるほど文学作品として完結していて、物足りなさはひとつもない。「官能」の部分の表現も感動的なまでにお見事。結構なボリュームの作品ですが、夢中で読み切っちゃいました。島本作品はやっぱりわたしの中で特別だな…。