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核のパワーを後ろ盾としたアメリカとその庇護下にある日本が核の同盟にある。
超大国であるアメリカは冷戦時代から今日にいたるまで核の傘という核のパワーに依拠して、軍事用から民生用までを行ってきた。
全世界の核兵器の約16000のうち、アメリカが7400で、ロシアが8000、残りが核保有国。
核超大国として冷戦時代から国際的な核秩序の構築を主導し、これに君臨してきたアメリカは絶対的な敷居がない軍と見んの核技術利用をいかにして民のみに制限するか、長年腐心し続けてきた。
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著者の取材力がすごい。
世界から日本は忍者のように見られるかもしれませんね。
4回の被ばくを経験しながらも、いざとなれば、数千発の原爆を即座に作り出せる技術も資源(プルトニウム)も兼ね備えている。
これはある意味、北朝鮮、中国への抑止力になるのかも。
すごい国、日本かもしれませんが、いやな国でもありますね。
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2014年刊。
著者は共同通信編集委員。
◆2018年7月に迫った日米原子力協定の満了に対し、トランプ政権は17年9月~10月にかけ、日本保管のプルトニウム削減を強く求めることを前提に、協定の延長の容認姿勢を示したと報道されている。
◇紆余曲折を重ねた日米原子力協定は、レーガン政権との間で使用済み核燃料の再処理の包括的事前合意を経た結果、核兵器に転用可能と目されるプルトニウムの大量保有を日本に齎した。
それは世界的にも突出した量で、日本の核武装への疑念と猜疑、また3.11を経た中でその管理保管の手薄さを懸念されているばかりか、さらにイラン等から日本の特権へのダブルスタンダード批判の口実にも利用される羽目になっている。
かかる問題を孕む日米間の「核」を巡る同盟は、戦後、米国施政下にあった沖縄での核兵器保管とも関連する日本国内への核兵器の持込み、日米間の核関連密約、密約関連の外務省保管資料の大量処分と隠蔽工作の闇、そして核燃料サイクルという技術面でも経済的合理性の面でも未だ幻想でしかないものへの呪縛と政策変更に伴う官僚の権威失墜の恐怖に現出化している。
日米同盟の実、核抑止論の肥大化、官僚の無謬性と情報公開への妨害工作。それを助長する政権。
フクシマで露呈した問題が、ほんの氷山の一角でしかないことを如実に感じさせる本書の内容は、外務や経済産業省に限らず官僚の政策決定に対する無謬性の愚とこれを剥すための方法(=情報公開)の欠如に対する慨嘆で彩られる。
確かにフクシマは事故初動における東京電力の隠蔽体質と願望を込めた事故の過小評価、民主過程への尊重精神の欠落がストレートに露呈したものだ。
ただ、そこでも後景にはやはり、経済産業省が推進してきた原子力政策の無謬性の愚と方針転換への忌避が見て取れ、本書はそれを正面から暴く書と評しうる。
ここでの懸念。それが否が応にでも増してしまうのは、安倍晋三政権が無理やり成立させたいわゆる特定秘密保護法という官僚の情報隠蔽手段の存在である。
この情報開示への後ろ向き、隠蔽体質は戦後はおろか戦前からずっと変わらぬ体質で、この点に関する著者の懸念、彼の公文書破棄への憤激は全くもって正当である。
フクシマ関連で色々年初から読み出したが、全く明るい気分になれないままで終わりそうだ。
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以前から核問題に関心があったものの、ほとんど核の知識はない私にも、読み易かった。
抑止力としての核、国交円満のための核保有、など、もはや核問題は一国の決断ではどうにもならない問題なのだということを実感した。