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※メモ
【きっかけ】
書店平積み。話題の「増田レポート」の議論が新書で。
国の将来像を考える。
【概要】
人口動態、予測について起こっている現象、原因、対策、事例を概説。
後半は対談。
【感想】
・前半は概説的で表面的な論にとどめられている印象だが、全体像と視点をつかむのにはよい。
・人口の問題を出生率だけでなく、年齢層や地域間移動、時間といった要素から切り込んだことで、より本質的な議論を喚起している。
・空間計画的な観点からは、地域拠点をどうしていくか、例えば○○km圏にはこういったサービスや施設を配置してネットワークの接続がこうなって、といったところの掘り下げが今後の関心。
・そこを考えていかないと、縮退の合意形成は進まないと考えられる。拠点でないところをどうしていくか、女川町長の話は生々しい。
・そういう点で、後半の対談篇の方がより臨場感、現実味のある話でおもしろかった。
・地域計画の時間軸、自由度の話は、確かにそういう考えが今後のひとつのあり方かもと、はっとさせられた。
・リタイア世代は職にとらわれないので、介護サービス水準に反応して地方への移動はあるのかもしれない。
・結婚、子育て期の移動がより重要かつ難しいだろうが、進学・就職世代も含めると国外流出といった要素も考えられるかもしれない。故郷・地域に何をもってとどまるのか。求める生き方が可能かどうか。ここではこういう生活ができるので、そういう個人・法人に来てもらうような努力も必要なのかもしれない。さらにそれをグローバルな視点も入れて考えるべきなのかも。
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キモは、20~39歳の女性人口に注目し、2010年から40年までに5割以下に減少する市区町村、896自治体を「消滅可能性都市」とした、第1章にある。2章以降の対策は、付け足しかな。それでも、人口減少社会の現実を可視化した意義は大きい。
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人口減少の進行を止めるためには一日も早い対応が必要であることが解った。
しかし、私は、東京への一極集中などの問題は、政策だけでは解決できない、日本人の価値観に根差した問題であると思っている。
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2040年に全国の1718市町村のうち896市町村が消滅の危機に直面するという将来予測の根拠とそれへの対応について詳細に解説。
人口問題ということについて、普段深い問題意識なく受け止めていたがこの本を読むと全く他人事でなく自分の問題として捉えて考えることと認識させられら。
多くの統計データが掲載されており、多面的にどう今後の施策を組み立てるべきかを提案しており内容の濃い本であった。この分野は少子高齢化社会に生きる者としてより考えてゆきたい。
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人口減少は以前から分かっていたこと。ようやく政策として上がってきた感があるが、本当に任せていいのか。政策によるカバーも必要だと思うが同時に個人の意識に依る問題でもある。久しぶりに考えながら読んだ一冊。
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増田レポートをまとめなおした書籍。
いや、読みましょう。大人の義務です。
読んだ上で何をすべきか。
各々の志を磨いて、一秒でも早く。
出来ることから。
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人口減は日本全国で起きていることではない。地方⇒東京への社会減が意外に多く、特に若い女性が地方から出て行くことで出生数は一段と下る。
東京は特に出生率が低い、子育てに向いていない環境を改善する必要があるし、地方も各地に「ダム」として機能する地方中核都市を整備する必要がある。地方で独立して機能していくのが一番ではあるが、今のところは大潟村のような特殊なケースに限られている。
と、まぁ、これまで言われていたことの焼き直しであまり新しいことはないが、「地方消滅」「極点社会」などの扇情的で的を得たネーミングが秀逸。
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新しい情報は思ったより少なかった。
地方からの人口流出と東京一極集中を防ぐための対策が、拠点となる都市を作ってそこを人口流出のダム機能とするっていうのは、どうもなぁ。うちみたいな既に過疎地域となっとるところにとっては、結局人口流出を止めることは出来んってことになる。まぁ、他に根本的な解決法は思いつかんのやけど。
郷土愛から人口流出を防ぎつつ、さらに文化とか安心な農作物とか、そんなことで移住を押し進めたところで微々たるものやし、全国的に人口が減る(特に若年層)中で全国各地で残り少ないパイの奪い合いになって、そこで移住者を増やすってのは難しいもんなぁ。
人口減少で困るのは、地域に残る伝統的な文化が無くなってしまうこと。経済的なこと以外にも、そういったことが心配やなぁ。
巻末のデータは参考になったかな。
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2040年、896の自治体が消滅可能性都市。20-39歳の女性人口の動態から導くデータの提示から始まる1冊。東京の一極集中からダムの役目を果たす都市を造ること、そして地域を活かす6モデルとして、観光(ニセコ)、農業(大潟村)、中小産業型(鯖江)など、防衛戦としての雇用の場論まで議論が進み、面白い。メモ。
(1)山間部も含めた全ての地域に人口減抑制のエネルギーをつぎ込むのではなく、地方中核都市に資源を集中し、そこを最後の砦にして再生を図っていくのです。
(2)戦後と災後の最大の違いは人口増加、経済成長を前提に出来るか否か。それが出来ない中で日本がこれからも繁栄を築いていこうとしたら、国全体のモデルチェンジが避けられません。
(3)若年人口が減り過ぎて高齢者だけが残るという年齢バランスの崩れ、そこから地方が消滅きて東京だけが極点社会として残るという国土構造のバランスの崩れ、この二つが問題なのです。
(4)少子化対策は国や地方自治体だけでは成果が上がらない。大事なのは、企業であり、男性を含めた働き方、そして暮らしを変える事が求められているということです。
(5)出生率はこれからも上がるだろうが出生自体は減っていく。問題なのは、あくまで子どもの数です。…出産適齢期女性の絶対数×出生率です。片方の変数だけを取り上げて一喜一憂するなど、愚の骨頂。
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女性の人口に着目したところがすごい。
すでに高齢者の人口が減ってきている地域がある。
地方の事業として有力なものは「医療・福祉・バス・水道・教育」
ワークライフバランスからワークライフマネジメント ゼロサムから相乗効果へ
出生率だけでは、人口は増えない。
もう一つの要因、数そのものを増やさないと、絶対に増えない。
よってこれからしばらくの減少は決定しているものである。
それをいかに早く安定させるかが、今の課題である。
人口流出が大きな要因。
大学の立地。
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地方在住者としては、日々肌で感じている問題であり、危機的な状況。行政の働き無くして改善は無理やろな。
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人口減についての元総務大臣の増田寛也東京大学大学院客員教授によるデータ重視の分析、それに具体例などを交えた対談、という構成はなかなか良いと感じた。
増田教授の論考だけだと、厳しく寒々しい現実のショックで固まったけれど、その後の対談で思考力を取り戻した感じがする。
現在は地方が首都圏よりも高い出生率で、日本全体の出生率低下を防いでいた。
しかし、地方からの人口流出、とくに出生可能な年齢の女性の流出によりカタストロフが訪れる。
まず地方の人口が激減し、地方から人口が流入しなくなった首都圏ですら人口は減少を始め、日本全体の人口は一気に減り始める。
地方の人口を維持するには、結局その地方が稼げなければいけないのだなと思った。
若年女性人口の増減率から、人口が減りにくく増えやすい市町村の傾向を分析した章からもそれは見えてくる。
工場などの誘致は、工場そのものが省力化されてきているとはいえ、今でも有効。あたらしく工場が建つことで人口が増える例は多い。
福岡のような地方都市の商業が盛り上がれば、周辺市町村のベッドタウンで人口が増える。
農村は、とにかく稼がなければ人口は増えないし、稼げれば東京から遠くても、県庁所在地から離れていてもなんとかなる。北海道は良い例で、支店経済の縮小で苦しむ旭川(綺麗な街なのに!)と、農業生産を通して食品工業も機能し、人口流出を防ぐ帯広(マルセイバターサンド!)の対比は興味深い。
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出生率の低い東京への若者の人口流出により、地方では社会減と同時に若い女性が少なくなることでの自然減が発生。東京は生活コストが高いので子どもが増えない。だから地方都市がダムとなって若者の流出を防がなくてはならない。
尚、幸運にも理想の子ども人数は2.4人だそうで、障害を取り除いてやれば出生が増えるだろうとのこと。その方策については本書では詳しくないから自分達で考えなくてはならないでしょう。北海道民として、自身の危機感を客観視出来た。
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●日本は2008年をピークに人口減少に転じ、これから本格的な人口減少社会に突入する。このまま何も手を打たなければ、2010年に1億2806万人であった日本の総人口は、2050年には9708万人となり、今世紀末の2100年には4959万人と、わずか100年足らずで現在の約40%、明治時代の水準まで急減すると推計されている。人口予測は、政治や経済の予測と比べて著しく精度が高いと言われており、大きくぶれることはない。「人口減少」という、これまで経験したことのない問題に私たちは立ち向かわなければならない。
●896の「消滅可能性都市」のうち、2040年時点で人口が1万人を切る市町村は523自治体、全体の29.1%にのぼる。
●人口減少論についての9つの誤解
1)本格的な人口減少は50年、100年の遠い将来の話ではないか?
→すでに高齢者を含めて、人口が急減する深刻な事態を迎えている。
2)人口減少は日本の人口過密状態を解消するので、むしろ望ましいのではないか?
→最終的には東京圏の人口も減少に転じるが、一時的には人口減少により過密が解消されるどころか、大都市圏(特に東京圏)の人口は、現在よりも過密になる。
3)人口減少は地方の問題であり、東京は大丈夫ではないか?
→東京が人口を維持できているのは、地方から人口流入があるからである。東京の出生率はきわめて低く、人口再生産力に乏しい。地方の人口が消滅すれば、東京への人口流入がなくなり、いずれ東京も衰退する。
4)日本全体の人口が少なくなるのだから、東京に人口を集中し、生産性を向上させたほうがよいのではないか?
→東京への人口集中は、短期的には生産性を向上させても、長期的には衰退を招く。
5)近年、日本の出生率は改善しているので、このままいけば自然と人口減少は止まるのではないか?
→今後、若年女性数が急速に減少するため、出生率が少々上昇しても、出生数は減少し続ける。
6)少子化対策はもはや手遅れだり、手の打ちようがないのではないか?
→人口減少がもはや避けられないのは事実だが、将来人口をどの程度で維持するかは、これからの取り組みにかかっている。出生率改善が5年遅れるごとに将来の安定人口が300万人ずつ減少する。
7)出生率は、政策では左右されないのではないか?
→フランスやスウェーデンは政策により出生率が向上している。
8)子育て支援が十分な地域でも、出生率は向上していないのではないか?
→子育て環境の問題だけでなく、晩婚化や若年層の所得問題なども大きく影響している。これらも含めた総合的な対策を行うことが必要であり、それにより出生率の向上が期待できる。
9)海外からの移民を受け入れれば、人口問題を解決できるのではないか?
→日本を多民族国家に転換するほどの大胆な受け入れをしなければ、出生率の低下はカバーできず現実的な政策ではない。出生率を改善することが、人口減少に歯止めをかける道である。
●日本の人口減少には、人口の社会移動が大きく影響している。少子化対策の視点からも、地方から若者が大都市へ流出する「人の流れ」を変えることが必要。そのためには、地方において人口流出を食い止める「ダム機能」を構築しなおさなければならない。同時にいったん大都市に出た若者を地方に「呼び戻す、呼び込む」機能の強化も図る必要がある。
●地方と大都市の間を人が移動する機会は、「大学や専門学校などへの入学」「最初の就職」「40歳代頃の転職・再出発」「定年」の4つ。「人の流れ」を変えるためには、こうした時期を地方に人を呼び込む好機として捉えるとともに、この4つ以外にも移動の機会を増やす努力が重要である。
●撤退戦を本気でやるしかない:山間部も含めたすべての地域に人口減抑制のエネルギーをつぎこむのではなく、地方中核都市に資源を集中し、そこを最後の砦にして再生を図る、わざわざ東京に出て行く必要のない若者を地方に踏みとどまらせる、という構想。ここまで少子化が進んだ以上、減るのを全逓として、上手にパイを小さくしていくことを考える必要がある。
●人口減少をはじめとする日本国内外の経済環境の変化にともない、日本国内の経済構造は、①グローバル経済圏と、②ローカル経済圏の両者に分化し、そのうえで共存していく方向に変化するのではないかと考えられる。人口減少が進むなかで、地方の多くは「ローカル経済圏」を形成していくと想定される。中心的な事業者は医療・福祉、バス、水道、そして教育。
●「スキル人材」の再配置:地方経済を再構築するためには、経営・組織マネジメントを行う人材や市場競争に打ち勝つために必要なスキルをもった人材を地方へ再配置する政策が不可欠。
●地震や台風の後には被災地を「元に戻す」復興が、これまで幾度となく行われてきました。そこには、人口は増える、経済は発展する、という前提条件があったのです。まずは、「均衡ある国土の発展」という標語を捨てるところからスタートすべき。平等主義的均衡なんて成立しない。地方にある小規模の「消滅可能性都市」は、小規模だからこそ、機動的にいろいろ新しいことがやれる。
●五輪を機に東京圏は「国際都市」へ:東京圏は将来の超高齢社会への懸念が大きく、何より出生率低下により日本の再生産構造を破壊する元凶になってしまっている。これ以上、地方の若者を吸い込むだけの「ブラックホール」となってはいけない。東京圏は、世界有数の国際都市として、地方中核都市と補完的な関係を構築していくことを指向すべきである。東京圏は高度な技術をもった外国人人材の受け入れや資源を大胆に誘致し、世界の多様性を積極的に受け入れるベースとする。
●米国企業のトップ100のうち、ニューヨークに本社を置くのは四分の一。日本では7割が東京。企業も考えを改めるべき。東京に拠点を置かないと情報が取れないなんてことは、ありえない。
●根拠なき「楽観論」で対応するのは危険だが、だからといって「もはや打つ手がない」というような「悲観論」に立っても益にはならない。
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5章あたりから俄然面白くなった。
この本を読んで改めて人口動態・少子高齢化問題・地方創成に興味をかきたてられた。 データを元に現実的な解決策を模索していく事が重要だ。国・政府だけでなく企業・個人単位で問題意識を持ち、どうやって将来のグランドデザインを描いていくかが求められる。
本書にある”人口の「急減」を阻止し、同時に「減少」をメリットに切り替えていく”という主張が深く心に残った。地方拠点都市で生活するものとして、自分に出来ることから少しずつでも取り組んでいきたい。