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池田屋事件をめぐる5つの短編集。オムニバス形式。
読みやすく、面白い。
好みとしては伊東さんの戦国物の方が好きだけど。
1章:二心なし
福岡祐次郎(伊予松山)
浪士組のスパイとして三条家家士・丹羽正雄の用心となり…
2章:士は死なり
北添佶摩(土佐)
蝦夷地を視察、何とかすべく動くうちに…
3章:及ばざる人
宮部鼎蔵(熊本)
松陰との交流から池田屋事件に至るまで
4章:凛として
吉田稔麿(長州)
松陰の志と現実(親への孝行)との間で苦悩しながら…
5章:英雄児
乃美織江(長州)
維新後、病床の桂が池田屋事件について話す
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福岡裕次郎、北添佶摩、宮部鼎蔵、吉田稔麿、乃美織江。彼ら五人が辿った人生を、池田屋事件を中心として描く「池田屋乱刃」。
幕末を生き残ったものが勝者であり、明治の日本に貢献した人が褒め称えられるのが歴史の判断というものかもしれませんが、志半ばで倒れた人も、敗者として歴史に貢献したのだ、という感傷を強く思わせます。
感傷と思ってしまうのは、乃美織江の第五章が、伝えられた歴史とは違う事実を抱えて生き残った人間を描いているものだから。
どれだけ強い意志を持ち、どれだけ崇高な理想を掲げていても、それを成し遂げる前に倒れてしまっては意味がないのではないか、と思ってしまう。
生き残ったものは、途中で倒れたものの意思を引き継ぎ、完遂へと繋げてゆく。その中で背負ってしまったものが、仮初の栄誉で重荷になったとしても、死ぬまで背負うしないのかな、と感じました。
死してもなお志を残し生き残ったものが引き継いでゆく、ということから感じる美学。それよりも、生き残ってしまったから、引き継がざるを得なかったという重圧、後悔のような後味の悪さが少しあるか。
その感情に潰されず、最後まで事実を守り抜いた精神性を賞賛すべきなのだろうな。これも道半ばで死んだ者の志を引き継ぎ生きてゆく、ということなのかもしれない。
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幕末、京都三条木屋町の池田屋に集まった尊皇攘夷派志士を新撰組が襲撃した。
本書は、池田屋事件に関わった志士、そして新撰組隊士、さらに新撰組間者など、多くの視点からひとつの事件を描いていく五編の連作集。その背景には、いま正に旬の吉田松陰、坂本龍馬など維新を動かした人々の姿も描かれている。
幕末の一時期、ひとつの事件にフォーカスしつつ、その時代を書きだした面白い作品だった。
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池田屋にまつわる短編集5編。
1、二心なし‥新撰組の間者福岡祐二郎
2、士は死なり‥蝦夷の守りをめざした北添佶摩
3、及ばざる人‥吉田松陰と宮部鼎蔵の友情、桂小五郎の嫉妬
4、凛として‥吉田稔麿
5、英雄児‥桂小五郎改め木戸孝允の卑怯
幕末、たくさんの人々が日本のことを考えて行動したことに改めて考えさせられた。
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池田屋事件についての連作短編集5編。志士側。
二心なし (福岡祐二郎)
士は死なり (北添佶摩)
及ばざる人 (宮部鼎蔵と吉田松陰)
凛として (吉田稔麿)
英雄児 (木戸孝允と乃美織江)
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幕末の池田屋事件にかかわる人物たちの連作集。
「二心なし」福岡祐次郎
「士は死なり」北添佶摩
「及ばざる人」宮部鼎蔵
「凛として」吉田稔麿
「英雄児」乃美織江
の5編収録。
福岡と乃美は全く知らなかったので、いつものように作者の記録にはあるものの無名の人物の掘り起こしに感謝します。
それぞれ、主人公の視点での物語ですが、全編を通して一つのミステリーがあり、最終章で明らかにされます。
桂が池田屋事件に巻き込まれなかったのは対馬藩邸にいたためという既存の定説に対し、池田屋から対馬藩邸に逃げた、という唯一の異なる証言説をとっている点で、これまでの池田屋事件ものと一線を画しているところがあります。
そのような証言があったことを掘り起こして物語にしていただけたことにも感謝です。
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「志士は欲心も功名心もない。この世を良くしたいだけ。」という思いでこの時代を死んでいった志士。それに対して、池田屋事件で敵に背中を見せて遁走し、仲間の助けにも行かなかった維新三傑と言われる桂小五郎。不条理さを感じさせる小説でした。
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幕末、池田屋、というと新撰組しか頭に浮かんでこないような幕末史初心者だったので、出てきた人物のほとんどを知らなかった。だがその分、こういった人の血肉が新しい時代への礎となっていったんだなあと感慨深い。
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彼にしては、いまいちだった。
しかし、人間のドラマは、
じつは、この時代特有なものではなくて、
つねに存在してるということを 感じた。
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明治維新で流れた武士たちの血。
池田屋に集まった倒幕派が、新選組に襲撃される通称
池田屋事件。
新選組の間者だった福岡祐二郎。
土佐藩の北添佶摩。
肥後藩の宮部鼎蔵が過去に思う吉田松陰。
襲撃に加勢する長州藩の吉田稔麿。
桂小五郎と乃美織江の関係、事件当時の桂小五郎の真実。
武士って、めんどくさくて大変で頑固でとっつきにくくて疲れるなーって思うところもあるけれど
その分彼らの世の中を思う情熱が、あまりにも熱心で堅気で真面目で、かっこいいとか思っちゃう。
桂小五郎はどちらが真実なんだろう。
時代小説ってあまり読み慣れなくて
なおかつ歴史に疎い私でも、読めたよ。
これをきっかけに歴史を知った。勉強になるー)^o^(
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池田屋事件を中心に、討死した者、逃げた者、遅れて来た者、助けに行かなかった者など、人物にスポットを当てて描き出す。
さて、自分なら、どうしていたか。
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男ってさ、すーぐ周りの「熱」にヤラれるよね。
馬鹿だなぁ。
馬鹿って切ないくらいに愛おしいなぁ。
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幕末、池田屋にて倒幕計画を企む志士たちを新撰組が襲撃。長州藩などはこの事件によって貴重な人材を失うが、逆に日本中の志士たちが立ち上がり、皮肉にも倒幕運動は加速する。
その池田屋で集まり、命を失った若き志士たちを主人公にした連作短編集。彼らは土方歳三や坂本龍馬、吉田松陰などの英雄たちと出会い、オーラを浴びて、名を残すことなく国のために堂々と命を捨てた。
そんな無名な彼らの死が積み上げられた末、最後に登場するのは、明治維新の英雄、桂小五郎。数少ない池田屋事件での生き残りであった彼は木戸孝允と名を変え、その死の直前に当時のことを語る。
武士ならば国のために、友のために死ぬことは当たり前。桂のように国や故郷を思っているからこそ生きる、という考え方は恥だった。が、そんな生き残った者たちがいたから日本は生き残った、と思いたい。
史実では池田屋事件時、桂小五郎がどこにいたのかはっきりしていないらしい。
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幕末、池田屋にまつわるショートストーリー集。
やっばり新撰組の間者であった男が志士の熱気に触れ、志士を助けに走るという話が良かったね。
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H30.2.17-H30.9.9
(感想)
えらく時間がかかりました…
池田屋事件をめぐるオムニバス形式の歴史小説。
池田屋事件といえば新選組が思い浮かぶが、この小説では、そこで切られた長州・土佐の人たちを主人公として、オムニバスで綴る。
そして最終章、桂小五郎の独白で、物語をうまく締めている。