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カウンターパーティリスクは勝ちポジションを持っている時に生ずる
バーゼルⅢでcvaリスク相当額の計算が必須になった
↓
cvaを会計上計上していなかったとしても自己資本比率規制上はCVAリスクを捕捉することを義務付けられた
2. 市中協議文書の背景
CVA とは、デリバティブ取引において、カウンターパーティの信用力の変化に伴い、エクスポ
ージャーの時価を調整する枠組み(会計上の時価評価の枠組みの一種)をいう。CVA の額は、デ
リバティブ取引について、カウンターパーティの信用リスクを勘案しない場合の公正価値(時
価)評価額(すなわちリスクフリーのエクスポージャー時価)と、勘案した場合の公正価値評
価額との差額である。いわば、カウンターパーティに係る期待損失であり、ローンにとっての
貸倒引当金、社債にとっての評価損に類似する概念である。
CVA リスクとは、この CVA の額が変動するリスクをいう。
先般の金融危機で生じたカウンターパーティ・リスク関連損失の大半が CVA を通じたもので
あったことにかんがみ、バーゼルⅢは、それまで資本賦課の対象とされていなかった CVA リス
クに係る所要自己資本計測の枠組みを導入した 2
。
しかし、バーゼルⅢにおける CVA リスクの取扱いは、「クレジット・スプレッドの変化によっ
て生じる CVA のあらゆる変動に対応していますが、マーケット・リスク・ファクターの日々の
変化(すなわち会計上のエクスポージャーの変動)によって生じる CVA の変動を考慮していま
せん」
市中協議文書では、CVA リスクの所要自己資本額を算出する方法として、大きく分けて次の二
つのアプローチを提示している。
【二つのアプローチ:CVA リスクの所要自己資本額を算出する方法】
①. FRTB(Fundamental Review of the Trading Book)アプローチ
②. 基礎的アプローチ
FRTB アプローチを採用するためには、規制当局の承認を得る必要がある。規制当局の承認を
得るためには、次の三つの要件を全て満たす必要がある。
【FRTB アプローチを採用するための三要件】
エクスポージャーのモデル化、CVA 及び CVA のうちマーケット・リスク・ファクターの変動
によるエクスポージャーの変動要因の定期的な算出(少なくとも月次)が可能であること
「流動性の低いカウンターパーティ」(金融市場で活発に取引を行っていないカウンターパ
ーティ)のクレジット・スプレッドの算出方法を有していること
CVA のリスク管理とヘッジを管轄する「CVA デスク」を有していること
(出所)市中協議文書を参考に大和総研金融調査部制度調査課作成
② 二つのアプローチ
FRTB アプローチは、次の二つのアプローチに分類される。
【二つのアプローチ:FRTB アプローチ】
標準的アプローチ(SA-CVA)
内部モデル・アプローチ(IMA-CVA)
③ 会計上の CVA とのバラつきの抑制
現行ルールでは、規制 CVA の額を算出するにあたって、会計上の CVA を算出する際に用いる
マーケット・リスク・ファクターとそ���ヘッジ効果の多くが反映されておらず、会計上の CVA
との間に乖離が生じている。
会計上の CVA は、マーケット・リスク・ファクターの変動によるエクスポージャーの変動要
因を、それに関連するヘッジとともに反映しており、規制 CVA よりも精緻なものとなっている。