投稿元:
レビューを見る
今日もTVはロンドンの15歳の女の子の3人組がISに参加するために英国を出国したらしい、というニュースを報じています。理解の出来ない、なにかが中東で起こっている、そんな夜に読了。もちろん謎のイスラム原理主義と一緒に出来ないのは承知の上で、新興宗教としてのキリスト教は、従来のユダヤ教にとっても、ローマ帝国にとっても得体の知れない存在感を醸し出していたのだろう、と想像しました。その新興宗教キリスト教が、なぜ世界宗教に育ったのか、を紀元300年までの初期に焦点を絞って社会科学のアプローチで追求するユニークな書です。全然ジャンルが違うけど、ビッグバンからの3秒間で宇宙の構造は決まった的な、不思議な感動を与えてくれました。偶然と必然の織りなす物語。「神が人を愛するのだから人はお互いに愛し合わない限りキリスト教徒として神に喜んでもらえないという論法」の発明は世界三大発明よりもっと大きな発明だったのかも。それが愛という概念を生み相互依存性をもたらし人間を自由にし、ひいては科学を生み、資本主義を生んだと考えると、今、起こっているイスラム国との軋みは、やはり紀元300年まで遡らないと理解出来ないものなのかもしれないと思いました。