電子書籍
セーフティーネットにひっかかれない人たち
2016/01/23 20:39
7人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ginger - この投稿者のレビュー一覧を見る
3割ほど読んでの感想です。
まず、読んでいて精神的にきつい。日本の識字率は高い。それでも、書類を描くということが極端に難しい人などがいる。
また、出会い系サイトの闇や、子どもたちと離されたくないがために親が支援を受けることを嫌がることもある。
対人コミュニケーションが苦手で、どこともつながれない女性。こうした人達が現代日本にいて、こうした生活をしているということに驚く。
また、セーフティーネットというとまず老人が上がるが、こうした方々へのセーフティーネットというのを考えるきっかけになりそう。
紙の本
鋭い、直球でさらに抉りこむ
2017/02/01 15:03
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Kazuto - この投稿者のレビュー一覧を見る
貧困とは、なにか?誰もあまりクローズアップをしていない一番下の貧困層のそれも女性の貧困の話
著者が分かりやすく直球でとてもすごく文章表現をされていて
とても考えさせられた作品
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現代日本の再貧困層、家族・地域・制度の3つの縁から断絶し、セックスワークに従事する女性を取り上げたフィールドワーク。正直なところ、重い読後感であるが、これはまぎれもなく今の日本で進行している事態であり、なにかの方策を打たなければ、今後も再生産、拡大されていくであろう事象だ。
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壮絶な貧困状態にある若年女性という見えないものを可視化したルポとしては興味深いものがあった。それを救わなければならないという著者の主張も分かる。その主張は、著者の正義感によるもので、純粋なものだが、自身のルポ取材の対象への思い入れが強すぎて、かえって読者を冷めさせてはいないだろうか。
たしかに、ここで明らかにされた最貧困女子に社会的・組織的な支援が必要ということには同意できる。ただ、これを放置することは絶対的な悪だとまでいうのは、どうだろうか。本書の文脈として理解できないわけではないが、ならば、アフリカや中東で飢餓や紛争により瀕死の状態にある人を救うことも絶対的に必要であろう。
こういうルポを書くには、対象への思い入れが必要なのだろうと思うが、その思い入れが強く、その救済を声高に叫ぶほど、視野狭窄に陥っているように見えてしまうという感想を持つのは、自分だけだろうか。
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この本を読んでから、私は某無料エロ動画サイトにお邪魔し、3大NGとされるエロ動画を拝見しました。
そのNGとされるものの一つに出ている人の半数は、知的障害を抱えている、という文があったためです。
見たものの一つ(サンプルですが)は、「出演女優は話すのが苦手な恥ずかしがり屋さん」という注釈がついていました。
もう一つは、注釈は入っていなかったけれど、言葉を話すシーンは全く入っていませんでした。なんか、勝手なイメージなんですが、きちんとしたAV女優さんだったら、喘ぎ声聞いてても、意味のある言葉を発したり、『感じてる』と思わせるような声を発するような気がするのですが(わたしはそういうものを基本的に観ませんのであくまでイメージです。)、絶叫に近い大声、といった感じの叫びが単調に延々発せられているイメージでした。
もしかしたらな、なるほどな。と思いました。
こうした興味本位の行動をとっている私は最悪です。
とはいえ、そういった類のビデオに出演している女優さんは、余程性的な興味が旺盛なのだろうとか、お金に困っていたのだろうかとか呑気に思っていた自分が、とても恥ずかしいです。
彼女たちには他に、生きる道がなかったのかもしれないのだと。
女は、「知性か、気立てのよさか、可愛げがあれば、生きる活路を見いだせる」のは、なんとなくそうだろうなと、思います。ただわたしは、「どんな女も、どこかしらこの3つの要素のどれかに特化して、生きる術を身に着けていくんだろう。もしくは、平均的に3つのバランスをうまく高めていって、うまく生きていくんだろう」と思っていました。すべての女は、およそどれかに属されると。
そうではない現実があるのだと、シビアに書かれていた一文を、引用せずにはいられませんでした。
わたしは、その個人の3つの要素はどうであれ、(まぁ、この本読めるくらいの知性は養ってこれたのはありがたいのかもしれない。)
高くない給料でも定職に就き、セイフティネットとしての実家があり、生きるか死ぬかの相談はできるかわからないけれど、ひとまず困ったときに相談できる友達がいる。
ほんとに困窮したときに、恐らく行政に頼る方法があるのだという情報を集められるくらいの知識もある。
恵まれているのだ。
わたしはとても、
恵まれているのだ。
父が、働かないのが、なんだ。
兄嫁が、理解を超えるのが、なんだ。
祖父に真夜中起こされるのが、いったい何なんだ。
幸せなのだ。
グチをぶつける相手がいるだけ、
幸せなのだ。
人の不幸を知り、わが身の幸福を思うなんて、愚かしさの極みだ。
ただ、今一度自分の立ち位置を確認し、
困っている人はいないかと、手を差し伸べる側にいるべき人間なのであれば、
できる限りのことをしたいと思う。
わたしは地元の教員。
できることは、あるはずだ。
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セックスワークがカジュアル化してるなんてのは少なくとも何十年も前から言われていて、おそらくその前にも言われてたと思うので今さら、って感じだが、貧困と弱者の切り捨てが進む中でそれが最低限のセーフティーネットになっていること、そしてそれが皮肉にも当事者のニーズに最も近いという現実には唸らされた。
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人の不幸から自らの幸せを噛みしめるのは卑怯だ。
だが、この読み終えた後の「自分と関係なくてよかった」感はなんだ。親がそんな人でなくてよかった。そんな環境に身を置くことがなくてよかった。そんな人が周りにいなくてよかった。
止めどなく 異次元 の話にしようとしている。
自分の想像力すら届かなかった世界に恐怖している。
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同じ低所得に該当する人でも、幸せに生活している人と、救済が必要な人が存在する。同じセックスワークに身を置く人にも大きな差がある。、家族の後ろ盾のないことや、無知、軽度知的障害などで貧困に身を置かざるを得ない場合もある。
自治体の救済をうける必要のある人が、このように溢れてしまっているということにショックをうけた。
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享楽のための性ではなく、生のための性の売買という現実が具体的に紹介されているのが重苦しい。
私的セーフティーネットというのは、おそらく日本だけでなく世界でも貧困を生き延びていくためには、ある。
日本でも格差が確実に広がっている事がわかる。
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タイトルどおりの、経済的に困窮した女性の実態を記した本。
この内容が、全員に当てはまる というステレオタイプは避けなければならないが、こういう人たちもいる という事は理解しなくてはいけない。
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この本を、池袋のサンマルクで読んでいるとき、ガラス張りの喫煙スペースから、女性の罵声が聞こえた。今年はやりのニット帽子をかぶり、一見はありふれたかんじの30代。激しい貧乏ゆすりと、コントかと思っちゃうほどに高速でタバコをスパスパ。罵声の内容はまわりの客にたいして無差別に「ふざけんな」「息をするな」「服に金かけんな」「はげ」「ぶす」などなど。本の中と、境目がわからなくなってしまった。でも、本の中といっても決して異世界ではなく、2010年代の日本なんだよね。それをリアルと受け止め、改善の行動を起こせるか、だ。
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1日1日を生きるのに精一杯。明日はいったいどうなるのかさえ分からないけれど、でもどん底の底辺に居続ける人達が現実にいる。
著者と同じく、自分も彼女たちを救うことは出来ないだろうと読み終わってからのどん底感が半端ないです。
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「若年女性の貧困問題を可視化すべき」という著者の提案は非常に良い。法的な問題や社会制度の問題は「専門家に任せたい。」とする姿勢も悪くない。
本書の内容にリアルに触れたことがある人ならば終章を読めば頷けると思う。
論旨や対策が弱いという方も多いかと思うが綿密な取材がそれをカバーしている良書。
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周辺に、底辺に追いやられていく構造、その軌跡を描き、恋愛、居場所づくりなど、ここだけは考えてみた方がいい、という書き口もあることがすごい。
別の著者の『デフレ化するセックス』で指摘されていたことに肉声を与えている感じがした。とても辛い内容だ。
最底辺のセックスワーカーについては、鈴木氏のような男性の方が書けるのか、興味本位ではないか、と疑いの念を抱きつつ、本書を手に取ったが、彼女らは女性集団から排除されているという指摘に目が覚めた。
・住民税未納によって、住民票が削除される場合がある
・住民票の置けるネットカフェ
・「三つの無縁」というチェック項目と「三つの障害」という原因
・「制度側の人間」「大人」は頼れない。
・「徘徊条令」が困窮状態を緩和するインフラをカットした。宿泊場所、現金と仕事、携帯電話、隣にいてくれる誰か。
・貧しさより寂しさ
・居場所ケア
・「少女自身による独立」という選択肢。施設でも親でもない。
・「補導はチャンス」
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この本はしんどかった。予想以上。
親を選んで生まれてくることはできないけれど、成長の過程でチャンスをつかめる可能性もあるんじゃないかと思ってました。いやー、最低限の教育さえ受けられず、現実を生きるための知識も技術もないまま、ひとり立ちしなきゃいけないとなれば、いったい何ができるのかって話です。
生きるって何だろうと考えちゃいました。