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何と言っても小田急線世田谷代田徒歩5分の立地条件が羨ましい。あー、駅近に住みたい(笑)ただ、アパートはボロで性に対して異常に過剰か欠落かの両極端な住民ばかり。だが…みな悪人ではない。妙な性癖や妄想を持ちながらも実に常識人で優しさを持ち合わせてるから厄介でいじらしい(笑)直面したらドン引き確実だがこれも有りかと肯定できそう。
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前から読みたいなーと思っていた作品。静かで淡々としてるんだけど、なんか心があったかくなる感じでした。
三浦しをんさんは守備範囲がひろいなぁと改めて感じました。
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おんぼろアパート、木暮荘。その住人と彼らを取り巻く人達の群像劇的な連作短編集。
ずっと音沙汰無かった元カレに振り回される花屋の店員さんと今カレ。
死の間際の友人の言葉に感化され、どうしてもセックスしたくなった大家のおじいさん。
駅のホームの柱に不思議な突起を見つけ、なぜかヤクザ風の男と仲良くなったトリマー。
旦那の浮気を疑い、彼の淹れる珈琲が泥の味に感じる花屋の女主人。
階下の女子大生の生活を覗くことにハマってしまったサラリーマン。
あえて覗かれるがままにしていた、ある身体的な秘密を持つ女子大生。
花屋の店員さんを守るためにある行動を取った、火曜日に必ず薔薇を買いに来る女性。
それぞれが主人公になった時、脇役としての登場時とは全く異なる印象を読者に与え、
発見や納得を促したり誤解を解いたりしてくれるのは本当にうまいなと思う。
自分の視点だけで人や物事を見た時って、分かることはきっとほんの一部なんだよね。
ただちょっと、いや、かなり残念なのは、全部セックスが絡んでくること。
それなしでも十分に読み応えのある物語が書けただろうに。
また、これもテーマなのかってくらいに取り入れられている割には、具体的な描写が
ほとんどないというのもなんだか中途半端に感じた。
三浦しをんさんの著作では、『風が強く吹いている』『仏果を得ず』が好きだけど
それら以外はなかなか個人的にヒットしないなぁ。
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短編だけど、すべての話が木暮荘を中心に繋がっています。
あっさり軽く読めるのに、なんか楽しかった。
ドロドロした話にもなりそうなのに、そう感じさせないのがしをんさんの作風。
個別では最終話の並木くんが、繭ちゃんを見送るところがちょっと切なかったなぁ。
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この木造アパートの、誰もが愛しい。住人に関わる人びとも、同様に。
他人とは何なのか。人との関わりについて、どこまで足を踏み入れていくのか。考えれば考えるほど、私の周りの人々が、愛しくて愛しくてたまらなくなった。
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三浦しをんの「木暮荘物語 」を楽しく読みました。
木暮荘にはちと変わった人が住んでいます。
今彼と元カレの3人で共同生活をする羽目になった花屋の店員、
死ぬ前にもう一度セックスがしたいと願う70代の家主、
複数の男性が出入りする今時の女子大生、
その女子大生の部屋をこっそり覗いている感じのサラリーマン等々。
これだけお膳立てが整えば、ポルノ小説間違いなしと思われるヤツを、
なぜかさわやかにあたたかみのある作品に仕上げている。
それでいて、彼等の人生について何か考えさせるものがあります。
この辺りが作者、三浦しをんの品格がなせる技でしょうか。
彼女の作品は、「舟を編む」、「まほろ駅前多田便利軒」など
3冊しか読んでいませんが、みな面白い作品ですね。
所で、木暮というと私は往年の名女優、
木暮実千代さんを思い出します(笑)
いっその事4、50代の木暮実千代さんを場末のバーのマダムに、
そして、この作品を絶賛している小泉今日子さんを
中学生の子どもをかかえたシングル・マザーに仕立て、
「木暮荘物語 2」という作品を作ってほしいなと思っています。
このアパートにはまだ空き部屋があるはずですから~
あつ、そうそう気に入ったフレーズを書くのを忘れていました。
『なにが、「そんなに話せない」だ。いくつになても男は馬鹿だ
、という説を再検証しながら、繭は黙々と鍋を食べた』
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木暮荘という一つの古アパートに関わる老若男女それぞれの視点から描かれる短編集。
各編ごとの主人公たちはそれぞれ心に空洞を抱えていて、その空洞と不器用ながら向き合い、埋めていこうともがく。
文体はさらっとしていてさくさく読めるのだが、振り返ると人間として生きていく上で根源となることを考えさせられる作品であることに気づかされた。
特に好きだったのは「シンプリーヘブン」と「ピース」と「嘘の味」。
銀座の喫茶店に飾ってあった「他人のために生きる それによって自分が他人の中に生きる」といった趣旨の言葉と重なる部分があって、温かく心に残った。
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20歳くらいの女子大生から、OL、主婦、老人まで、性を切り口に日常や人生が綴られていく。セックスの極めて動物的なところと、でも、ただの生殖行為じゃないっていう、人間的なところが描かれていて、登場人物それぞれのまた、人間らしさが際立ってくる感じでした。皆、優しくてまた会いたい人たちばかりです。
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こういう本も書くのか…
器用だな。
一番共感できたのは嘘の味の瀬戸並木。
恋心もないのに下半身を起動させるのをよしとしない。
という部分。
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木造ボロアパート小暮荘の住民に纏わる連作短編集。
多くの小説にセックスシーンが登場するが、ストーリー的に何の必然もなく「愛の形をセックスでしか表現できない」或いは「ドラえもんのしずかちゃん入浴シーン」「水戸黄門の由美かおる入浴シーン」といったサービスシーンだったかと思わせる作品に辟易している。
本書の何れの短編にもセックスが関わり、二編目を読んだ段階で「本書もそのような一冊か(ため息)。星間商事株式会社社史編纂室で腐女子趣味に走った著者の脳内が、小暮老人の域に達してしまったか?」と勘繰ってしまった。
しかし本書を読み進めるとそれぞれ、三角関係、老人と性、…、不妊、プラトニック・ラブと一般庶民の性に纏わる諸事象をテーマに正面から取り上げ短編連作に仕立て上げている。読み終わり、あゝ、さすが三浦しをんだ。と感嘆した。
そういえば、「天国旅行」では死をテーマにし、本書では性をテーマにしている。著者は人間の性(さが)の一つ一つを短編集に仕立てようとしているのではないだろうか。
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ケアンズ旅行のおともに購入
軽く読めました。
さりげなくはなしは進むんだけど
どの回もなかなかのシュールぶり。
不思議と読後はさわやか
登場人物が魅力的です。
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同じ空間、同じところで生きる人々、それぞれの視点から書く、連作短編。こうした手法で、よく作家は書くのですが、タイトルからして、日常ほのぼの、日々の小さな幸せを描いたような本?
と思っていた。買ったときはとても疲れていたので、そうした本が読みたかった。が、そうではなかった。
性にまつわる短編集。
ほのぼのした日常にも、やることはやっている!というか、これが人間の姿なんですよってことが三浦しをんは言いたかったのではないだろうか。
そうだとしたら、三浦しをんってすごい、うまい。
死ぬ前までに、セックスをしたい・・と思い悩む老人。
卵子をつくれない身体であることから、心の中の穴を埋めるように、男を連れ込んでは身体を重ねるギャル。
自分が寝たあとに、夫どこか他の女のところへ言っている・・と悶々とする妻。
すべて、おんぼろアパート小暮荘の周りにいる人々。
それぞれに抱えることは人には言えないことや、人とは分かち合えない心の痛みである。
心の中とは裏腹に、ほのぼのとした空気。
そのコントラストが読ませる力。
お勧めする人を選ぶね・・
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初、三浦しをん。
レトロなアパート『木暮荘』をめぐる物語。
登場人物たちのからみ、章ごとに主人公が変わるところなど、この前読んだ、『冠・婚・葬・祭』と感じが似ているかも。
後半、江戸川乱歩の『屋根裏の散歩者』を思い出すけれど、その覗きともコミュニケーションが取れてしまうのが可笑しい。
私にはちょっと生臭く感じたかな…この本。
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帯文:”小田急線・世田谷代田駅から徒歩5分、地区ウン十年。ぼろアパートを舞台に贈る愛とつながりの物語。”
目次:シンプリーヘブン、心身、柱の実り、黒い飲み物、穴、ピース、嘘の味、木暮荘に寄せられた声―小泉今日子さん,角田光代さん,金原瑞人さん
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一見よくあるアパートを中心とするヒューマンドラマかと思ったが、期待はいい意味で裏切られる。アパートの住民をそれぞれ取り上げた章に分かれているが、巧妙にそれぞれ絡んでいる。登場人物はどれも強烈。三浦しをんの本領発揮でした。脱帽。