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罪をゆるす、がテーマなんだけども。お互いにだいぶやっちまった感のあるドロッドロな人間関係をおおむね笑顔で続けていけている時点で、登場人物のみなさんはその域じゃないよなぁ。とずっと思いながら読んでた。哲学的でおもしろかった。
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はあー救われない…
この本を、ドロドロだったねで終わらせられる人はまだ人間の醜さみたいなものに気付いてないか鈍感でいられる人なんじゃないかなあ。徹の好奇心が全てを引き起こしてしまったわけだけど、元を辿ると啓造だって夏枝だって諸悪の根源になる。つまりは沢山の人間の醜い思いが積もり積もってこんな結末になってしまった。そして最後に怪我を負うのはなんの落ち度もない北原というのもやりきれないよ。なんという現実、という感じだ。
夏枝のように自分の痛みにしか結局は目が向かない人もいるし、人の痛みを自分の痛みのように背負ってしまう人もいる。だからこそ悲劇は起こる。全4冊を通して、どうにもならない世の中のむなしさを伝えられたようだった。最近は忘れがちになるけど、すっきり終わらない物語こそが本当は現実なのだ。
三浦綾子はすごい。人間の無常をこんなにも淡々と分かりやすく書いてしまう空恐ろしさ。ほうたいを巻いてやれないのなら、他人の傷にふれてはならない。そのとおりである。
人間の病状の診断はあっても、ではどのように生きてゆくべきかという処方箋はない。あとがきも響きました。
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デビュー作’’氷点’’の昼ドラマとしての傑作ぶりに感嘆して、続編を手にとったのですが、登場人物がやたらと増えすぎて(あいかわらず自分勝手な人たちも健在)、しかも、かかわりが表層的で、韓流ドラマばりにご都合主義が多すぎて、とっちらかっちゃった印象。キリスト教っぽいにおいも苦手。それでもラストだけは気に入りましたが
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氷点に続く続氷点。こちらは初めて読む。陽子が助かってほっとしたけれど、その先も悩めること山積みの陽子の人生。登場人物も産みの親の三井恵子一家が加わり、さらに人間関係が複雑に。
殺人犯の子ではないとわかったけれど、不義の子を産んだ恵子に対しての許せない気持ち。自分が望まれて生まれてこなかったことに対する悲しみ。自殺後は母夏枝の態度は軟化、父啓造は過去を悔いて徐々に陽子の理解者になる。そして愛を持って陽子を見守り続ける徹と北原。
このまま静かな生活が続くかと思いきや、異父姉弟の達哉の出現で陽子の生活も引っ掻き回され、思わぬ結末になる。この達哉、自分勝手で衝動的な行動ばかりでイライラする。そしてこんな結末とは。
でも最後の最後、どうなるのかはっきり書かないのはもやもやする。さすがにもう続はないだろうし。
氷点での嫌な人ランキング:夏枝、村井、達哉。好きだったのは高木先生、北原、それから辰子。もちろん陽子もだけどいい子過ぎて。順子も同じく。啓造、徹、恵子は良かったり悪かったりだけど、罪深いと感じることも。罪のない人間はいないってことらしいけど。テーマは原罪と赦しなんだそう。結局最後は宗教に救いを求めるしかないのか。
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上巻を読んでいた間は(続編は蛇足では)と思っていたが下巻を読んで色々納得できた.自分の罪の大きさを実感するからこそ,他人を裁くことから離れて,許せるようになるというのは深いと思った.
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前編はひらすら「罪」、「罪」とすべての登場人物が罪という言葉を自らに問いかけていたけど、続編はひたすら「ゆるし」を問いかけ続けていた。
キリスト教という薄いベールに包まれつつ、ゆるし、ということを問い続けていた。それぞれの立場で許し、という言葉の意味も感じ方も度合いも違うけど、それらを超越した陽子の心情が最後の流氷のシーンに表れていた。とても美しい光景。大好きな貫井徳郎の「神のふたつの顔」のラストシーンとなんとなくかぶる。「神の二つの顔」牧師の父と子のラストシーンも「ゆるし」がテーマだったのではないか、と今になって理解できたような気がする。
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わたしは出自まで遡って罪を感じたりはしないな 知るまでは無実、知ってからは罪となるのは矛盾しているように思うから 神でない我々はどうせすべてを知り得ないのだから、罪であるかどうかは基本的に自分がコントロールし得た事象に関して自分の良心との対話のみで判断すべきだと思う。ただ、自分でコントロールし得た事象に関しても、あの時はああするしかなかったと自分を慰めてしまいがちだけど、罪の意識がないから他者を責めるのだと一貫して説いている。目の中の丸太オチはナチュラルだけど全編通して説得力があってさすがだったな
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内容(「BOOK」データベースより)
心晴れぬまま大学生となった陽子は、ある日キャンパスで実母・恵子の次男・達哉と出会う。達哉は異父姉と知らぬまま、以後、陽子に直情的に近づいてくる。それをきっかけに、陽子を中心とした複雑な人間関係が白日のもとにさらされ、それぞれの罪と秘密が明らかになっていく。そして陽子が恵子と顔を合わせる日がやってくる―。人間の愛と罪と赦しをテーマに繰り広げられた壮大なストーリー、いよいよ感動の結末。
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自分の罪を知った時、人は人を許すのか…
罪なき者なんか、存在しない…
存在するのは、自分の罪に気付かない者…
そして、自然のみが作り上げる情景を見た時、人は自分の罪を知るのかもしれない。
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陽子が昏睡から回復した後の展開。
自分は殺人犯の娘ではなかったが、不義の間に生まれた子どもだと知った陽子が、産みの母親をいかに赦すことができるかという点が主題。
兄徹の勝手な行動と、義弟の達也の直情的な性格に振り回された感じ。
街中での偶然の出会いや、殺人犯の実の娘順子が陽子の友達だったなど、都合に合わせた展開が多すぎた。
人物の心情に焦点を当てた丁寧な筆致はよかった。
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“罪”から“ゆるし”へ。
人はそれぞれが考えを持ち、感じ、言葉を発し、行動する。生きていく上で、人と人との関わり合いを持つことになる。それが尊い絆をつくり出すかと思えば、一方では恐ろしい確執を生むことにもなり得る。
けれどもそれは、人が生きていく上で、誰もが避けられないこと。
考えるべきことは壮大かつ深淵。終わりは見えない。
なにが正解かも分からない。
この小説を読むことは、物語の行方を見届けると同時に、啓造や夏枝や陽子、徹をはじめ登場人物たち全てを通して、常に自分にも問われている、問いかけることにもなった。
本シリーズはギュッと濃縮されているけれど、
生きていく限り、人は模索し続け、またそうあるべきなんだろうと思う。
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一生を終えてのちに残るのは、われわれが集めたものではなくて、われわれが与えたものである
心に響くことばが多かった。
氷点も良かったが、続氷点も予想外に良かった(どちらかというと記録しておきたいことばが多かった。)
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ゆるし
読みやすかったけど難しい内容だった。
正しいこと、ってなんでしょう。
生い立ち、が人生に影響を与えている登場人物の気持ちはわからない。しょうがないか。
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順子が好きな言葉
全てのこと相働きて益となる
ルリ子のことを知ったのもよかったと。
知らなければ幸せだったことを、知ってよかったと言えるのは、罪を理解して生きることの大切さを言っているのか。
ラストで北原を選ぶに至った思いをもう少し描いて欲しかった。何度読み返しても、まだよくわからない。
愛がよくわかっていないのだろうな。
愛は意志…。
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上下巻と続上からのラスト。
ハッピーエンドとはいえないあたり
現実に近くて良かったのかも。
偶然の出会いが多いけど…
北海道の描写や、古き日本人の美しい所作とかで
良い意味でうやむやにできてた感があった