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アメリカの作家ヒラリー・ウォーの長篇ミステリ作品『失踪当時の服装は(原題:Last Seen Wearing...)』を読みました。
ここのところ、アメリカの作家の作品が続いています。
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●宮部みゆき氏推薦──「『捜査小説とはこういうものだ』というお手本のような傑作」
1950年3月。カレッジの一年生、ローウェルが失踪した。
彼女は成績優秀な学生でうわついた噂もなかった。地元の警察署長フォードが捜索にあたるが、姿を消さねばならない理由もわからない。
事故か? 他殺か? 自殺か? 雲をつかむような事件を、地道な聞き込みと推理・尋問で見事に解き明かしていく。
巨匠が捜査の実態をこの上なくリアルに描いた警察小説のパイオニア的傑作!
解説=川出正樹
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1952年(昭和27年)に刊行された作品で、警察小説のパイオニア的作品して認知されている作品です。
1950年3月3日、マサチューセッツ州ブリストルの女子大学からロウエル・ミッチェルという美貌の女子学生が失踪した… ブリストルの警察署長フランク・W・フォードは若手の巡査部長バート・K・キャメロンとともに、長年の経験を頼りに、この雲をつかむような事件に挑むが、行方は杳として知れない――。
失踪か? 誘拐か? 殺人か? 雲をつかむような少女失踪事件を、刑事たちが地道な聞き込みと推理、尋問で解き明かしていく… 捜査の実態をこの上なくリアルに描いた警察小説の代表的傑作、新訳決定版!
思いつく限りの人々から証言を集め、穴が開くほど被害者の日記を読み返し、何度も事実を確認して、推論を巡らし、仮説を立てて検証… その過程で新事実が判明し誤りに気付くと、すぐさま方針を転換し、新たな仮説に基づき捜査を続け、最終的に些細な手掛かりから意外なかいけつを導き出すというシンプルな展開、、、
地味な展開なので、やや冗長な感じがありますが、警察の仕事を細部まで描いたリアルさが印象に残る警察小説でしたね… フォード署長とキャメロン巡査部長の遠慮ないやりとりも印象的、名コンビですね。
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行方不明になった女子学生を警察が捜査する話。警察小説こ基礎というだけあって余計な寄り道がなく、事件の解決に少しづつ前進していくストーリーはとても読みやすく、自分好みでした。警察署長も推理小説によくいる頭でっかちの無能タイプと思いきや優秀な警察官で、部下との会話はコミカルで面白かった
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1950年でも全く違和感なく楽しめる。
でもこの時代の貞操観念って、日本とあまり変わらなかったんだって意外かも。
いろいろなトリックミステリーよりも、こんな地道な捜査系が好きだと改めて気付かされる。
旅の電車の中、古典ミステリーはなぜか相性が合う!
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1952年に出版された「警察ミステリーの嚆矢」らしい.警察署長が主人公で,派手さはないものの,グイグイ読ませる.
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警察の捜査とはこういうものなのか、と肌感覚で理解することができた小説です。「捜査が行き詰まる」と一言で表現されることがあるが、それがどういう状態なのかをこの小説は描いています。証拠がなかなか出てこない中、あらゆる可能性を考慮して捜査を続ける警察の苦闘が実に生々しく語られています。
夢中になって読み進めてしまう傑作です。
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《2024年読了ー14冊目》
1950年3月3日午後
アメリカマサチューセッツ州にあるパーカー・カレッジの一年生、ローウェル・ミッチェルが姿を消した
ミッチェルはまじめで成績優秀、男性とのうわついた噂もない
ミッチェルはどこにいったのか?
ミッチェルに何があったのか?
地元の警察署長フォードが部下とともに地道な捜索にあたる
巻末の解説にも述べられているが、この作品はとにかくシンプル!
なんせ『若くて美しい娘の身に何がおこったのか?』を最初から最後まで捜索するだけのミステリー
だからとにかく読みやすい
話が単調のようにも思えるが、それでも先にページを進めたくなるのは、「あんなまじめなミッチェルに何があったのか?」
そして事件を捜索するフォード署長が気になるから…
細かくて短気で気分屋で…捜索についても「この署長大丈夫か?」と思ってしまうのだが、これが段々と愛されキャラになってしまうから不思議…(笑)
とにかくフォード署長たちの捜索過程を楽しみながら「ミッチェルがどうなったのか?」という謎解きを味わえる訳である
それにしても『失踪当時の服装は』
そういうことね…!
★ヒラリー・ウォー 読了本★
生まれながらの犠牲者
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熱い警察官のお話。ある登場人物のセリフ。「警察の仕事がどういうものかは、わかっているだろう?歩いて、歩いて、歩きまくる。そして、あらゆる可能性について調べ尽くす。一トンの砂を篩にかけて、ひと粒の金をさがすような仕事だ。百人に話を聞いて何も得られなければ、また歩きまわって、もう百人に話を聞く。そういうものだ」
この小説には結果的に事件に関係ない情報が多く語られる。途中まではそういうのを読むのが面倒くさく感じるが、やがてそれらが物語のリアリティを高め、読者と物語の警官たちとの一体感を生んでいることに気づく。天才探偵や伏線はりまくりトリックなどに食傷気味の方は一読を。