紙の本
なかなか良い
2021/07/17 18:09
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投稿者:ミチ - この投稿者のレビュー一覧を見る
図書館で読みましたがなかなか読んでいて、おもしろいです。飛ぶ教室よりこっちを先に読みました。次は飛ぶ教室を読みたい!
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元々の文章なのか、翻訳の力か、登場人物のやり取りや、ちょっとした場面が洒脱でして、これまで読んだミステリ以外の翻訳小説(あまり読んでない)で、一番面白かったんですわ。微かにもえつつ。ナチス台頭前のドイツですが、ほんと現代日本の閉塞感にも通じる…え、ちょっとはやったりしないかな、と思いました。作者は児童文学の人と思っていたので、驚きです。児童文学の方もちゃんと読んだことないのですが・・。
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1930年頃のベルリンの物語なのに現代の東京の話かと錯覚する描写も多い。無為な時間を過ごすモラリストを主人公にした、退廃的な両大戦間ドイツの若者〜中年の人々の話。親友、母親、恋人、一夜の相手、金持ち、失業者など、さまざまな立場にある主人公の周りの人たちがそれぞれ悩みながら行動し、影響を与え合うのが簡潔な文章で書かれている。絶望の虚妄なること希望に相同じい、という文章を思い出した。あちこち抜き書きしたくなった。
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ファビアンは二十マルク札をポケットに突っこんだ。今、母親は列車に乗っている。まもなく、ファビアンがハンドバッグに押し込んだ別の二十マルク札を見つけるに違いない。数学的に考えれば、プラス・マイナス、ゼロだ。ふたりとも所有金額は以前と変わりがないのだから。しかし心優しい行為は取り消されることがない。道徳の方程式は、算術の方程式とは別の道を歩いている。
……児童文学で知られたケストナーの唯一の大人向け長編小説と知り、購入した。舞台は1930年、末期のワイマール共和国。将来への希望が持ち難い、閉塞感漂う時代背景は現在のそれとも重なる。何の救いも無いような話だが、ファビアンと母親との上記エピソードは、どんな時代でも人が人を想う優しさは変わらず尊いという事を伝えているようにも思う。