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シェークスピアの戯曲で有名なマクベス。その名作を小説形式にしたのが本書である。
多くの物語の原型を感じる。
人間の業というものを見事に描いている。
三人の魔女が囁いたのは「マクベスの権利」。
妻が煽ったのは「本来のポジション」を取り戻すこと。
本来のマクベスは王であるはずなのに、何らかの力で将軍という位置に置かれている。それは「搾取」なのだと考え始めるマクベス。そして下した決断は裏目裏目と出るのだった。
相続の時に起きる現象と似ている。
もとは仲の良い兄弟だったのに、自分にも相続権がある知った途端に「自分の権利」に目覚めるのだ。目覚めすぎると言ってもいい。現実を見ることもなく、本来の権利はもっと大きいはずだと思い込み始める。そうなると疑心暗鬼が生まれ、他者の権利を自分の得るべき権利だという妄想が暴走するのだ。
「本来の自分」を求めることがいかに危うく、操られやすい状態を生むのか。「マクベス」という作品に洗脳というものを教えられた気がする。
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戯曲形式の文が苦手でずっと読めずにいたマクベスですが、図書館の子供向け小説コーナーで見つけてこれだ!と思い借りて読みました。
あっさりとした文体ながらも情景が目にが見えるようでわかりやすくて良かったです。
昨年の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の感想で、マクベスのようだと名前が上がっていましたがなるほど、予想したより5倍くらい早く殺しが始まって引きこまれました。
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挿絵もあり、子供でも読めるように易しく書いてあるように見えて、人間同士の黒い腹の探り合い、本音と建前、醜さ弱さをこの短い本のなかに盛り込んであり、読み終えたあとの余韻も、なんとも不安な感覚で良かった。
マクベス戴冠式の晩餐会での貴族達との会話なんて、今の世の中にも通じるような上滑りの美辞麗句の応酬で、思わず苦笑いしてしまった。
原典を忠実に翻訳したバージョンも読まないと、マクベスを読んだとはいえない感じはする。