紙の本
第1回芥川賞受賞作品
2018/05/01 04:48
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本からブラジルへと旅立っていった農民たちの、壮絶な運命に圧倒されます。夢を抱いて降り立った新天地に待ち受ける、過酷な現実には胸が痛みました。
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1930年らぷらた丸でブラジルに渡航する移民の背景及びブラジルという国の特徴を心情描写を通してしっかりと伝えてくる内容でした。良書。
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船内の出来事の描写も具体的で臨場感があり、登場人物の心理描写も丁寧でとても面白かったです。まだ見ぬ地に向かう人たちの期待と不安に揺れ動く心理が泥臭く丁寧に書かれていました。
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新天地を求めブラジルへの途についた移民たちの群像劇。片道切符で船にのりこんだ彼らの覚悟や苦悩、喜怒哀楽が入り混じる日々は現在の私たちからは想像できないくらい過酷なもの。その様子が、食事や病気、小さないざこざから伝わってくる。辿り着いたブラジルは決して望んでいたユートピアではなかったけれど、この地で生きることを決意する彼らの強さに感動する。
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第一回芥川賞 3回目の読書 1930年当時貧困者に憧れのブラジル移民に行く時の話、当時の日本の状況と移民希望者の心境が分かりるのは面白く、初めての芥川賞受賞も納得出来るが、出発までの話で終わり、期待していたその後の話が無いので盛り上がりに欠ける。その分減点で★3
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貧困からブラジルへと移住を決意した人々の姿を描いた、第1回芥川賞受賞作。神戸の収容所から乗船・出航までの「蒼氓」、航行中の「南海航路」、リオデジャネイロに到着し新生活が始まるまでの「声無き民」の本篇全3部と、受賞時の本作評や作者の略歴を収録。
産まれ育った“くに”を捨てて移住を決めた人々の、航海や現地生活に対する不安と期待を漠然と抱えて過ごす様がリアルだ。初対面ながら同じ境遇の者どうし意気投合し友情を育む移民と、その実情を知りながら職務として半ば割り切っている監督たち。夢見る者、胸算用する者、嘆く者、揉める者、病気に苦しむ者、出入国できない者……。所謂お当番回のような場面は無くとも彼らひとりひとりの人物が描けていて、その悲喜交々に共感し寄り添える。
読み進めているうちに、中島みゆきの「離郷の歌」がよぎった。だがこの歌が帰郷を予感させる内容であるのに対して、本作の人々は二度と故郷に戻らぬ・戻れぬと予感している。
社会と人間とを真っ直ぐに捉えた文学性と、読み物として飽きさせないエンタメ性とを兼ね備えた素晴らしい作品。日本の小説では久しぶりに読み応えがあった。