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プロのカウンセラーの共感の技術】
教師や子どもと関わったり人と関わったりするすべての人に必須の本です。
私が、誰かと話をしていて「残念だな」というか「悔しい」と思うのが、
しゃべっている時に話を遮られたり、
「それ違う」と否定されることです。
あるいは、
自分の課題に入ってこられて、「つまりそれってこういうことだよね。こうするべきなんじゃない」と頼んでもいないのに解決されようとすること。
全て「善意」なのかもしれませんが、
それをされるとカチンとくる。
絶望的な気分になる。
それは、自分の話を聞かれていないというか、受け止められていないんだな、というふうに感じて哀しいわけです。
抜けない釘が心に刺さったみたいないやーな感じが続き、
イライラが治らず、
心の中で相手を裁いてしまっている心の狭い自分に対しても自己嫌悪が続き、、、となる。
「どうせわかってくれない」。
ここまで書いて、
「うわーーー!これやっちゃってる!自分やわ!」
と思い当たっている方もいるかと思いますが、
そこはどうか自分をお責めにならないでください。
これって、練習と技術でかなりうまくいくものなのです。
結局、問題のヘッドピンはどこか、人が一番求めているのは何かというと、
「共感してもらえること」なのです。
「受容してもらうこと」なのです。
「ジャッジせず、価値判断を交えずに受け止めてもらいたい。」
答えを出してもらえるとか、問題を解決してもらうことは、その後なんですね。
というよりも、「心から受け止められた」と感じることから自動的に変化、変容は始まっていきます。
そのための技術の一つとして、
「ミラーリング」というものを紹介させていただきたいと思います。
例えば、ある人が「もう限界」と言ってきた時に、どう返すか。
「頑張れよ」と励ましたり、
「どうして?」と聞いたり、
「いやいやそんなことないよ。大丈夫」と言ったり、
「そんなこと言っちゃダメだよ」と責める人もあるかもしれません。
それらの反応とは異なり、
「もう限界なんだね」とそのまま反射で返す、ということです。
もちろん単なるおうむ返しではなく、
聴き手は、余分な方向づけをせず、話し手が表現したことを足場にしてさらにそこから表現を発展させるように促しているのです。
◆
ひょっとすると現代人の多くの孤独や悩み苦しみの淵源にはこの
「共感」の欠如が横たわっているのではないでしょうか。
「どうせ誰も自分のことなんかわかってくれない」が満ち溢れている。
伝えてばっかりで、コントロールしようとしがちで、
存在をそのまま受容できない。じっくり受け止められない。
そこから人と人とのほつれが始まり、断絶に至る。
もし、私たちが少しでも、この「共感」と「受容」という態度を身につけるだけで、あらゆることが変化していくのではないでしょうか。