投稿元:
レビューを見る
日本銀行の新しい審議委員メンバー(宮尾委員の後任)になると報道されている、原田泰・早大教授の最新刊(2014年11月出版)。
リフレ派の方の著作を読むのがほぼ初めて(昨年読んだ、松元崇『リスクオン経済の衝撃』はリフレ派よりでしたが)なので、自分にとっては新鮮だと感じる部分も多くありました。
文庫判で200ページいかない程度、数式等も全くないので読み易いと思います。
やや大胆な書き繰りもあるのですが、以下、気になった記述を引用します。
・経済が良くなるとは、あらゆる面で、生活の質が向上することだ。私は、一番良いことは、自殺者が減ることだと思う。(38頁)
・残念ながら、日本銀行は、自分たちが自殺者の数にも影響を与える強力な力を有していることを自覚していないようだ。(40頁)
・リフレ政策は、すべての年代で格差を縮小することができる。(44頁)
・輸出増加は日本の景気を回復させ、さらには世界の需要も拡大させる。何も心配することはない。ドイツや韓国が不満であれば、自分たちも金融緩和すればよい。(66頁)
・全世界が金融緩和すれば全世界の景気が良くなるだけだ。良くなりすぎてバブルになりそうな国があればそんな国から引き締めを始めればよい。(67頁)
・経済全体のことを考えれば、銀行が損をするからデフレを終わらすことができないとは、とても許容できない主張である。(73頁)
・日銀の金融政策は88年以降7回、約3年半に1回のペースで失敗している。(84頁)
・雇用にも配慮したインフレ目標政策を採用すべきである。中央銀行の独立より、金融政策のルール化こそが望ましい。(85頁)
・消費税増税の影響が大きければ、消費税増税の影響を除いた名目GDPターゲット政策を考える必要があるかもしれない。(88頁)
・景気対策は金融政策を中心に考え、財政政策は税収の制約を考慮して、長期的に必要な支出にのみ振り向けることが肝心である。(106頁)
・私は賃金よりも雇用が増えることの方が大事だと考えている。(112頁)
・国民の大多数に評価された安倍総理の実績は、大胆な金融緩和で経済を回復させたことだけである。(123頁)
・仮に2%インフレ目標が15年3月までに達成できていなくても、雇用が順調に拡大していればかまわないと私は思う。(125頁)
・大胆な金融緩和が、輸出を伸ばさずに景気を拡大するのであれば、それは良いことである。なぜなら、金融緩和が、国際的軋轢を増すことなく景気を拡大する方法であると分かったからである。(136頁)
・100兆円の国債を買えば、ほぼ100兆円の通貨発行益が得られる。後から、国債価格が仮に20%下がったとしても、損失は20兆円、国債を購入する前と比べれば80兆円の利益が残っている。何も心配することはない。(138頁)
・ヒトラーは、インフレの中では権力を握れず、デフレになって初めて権力を得たのである。(140頁)
・2%を上回る恐れがあれば国債の買い入れを減らし、下回れば買い入れを増額する必要がある。インフレ目標と別の出口目標を考える必要はない。(1���9頁)