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不義密通をして破門を受けた女絵師の物語.女絵師が描く悲しみと愛情に満ちた絵を私も見たいと思った.そしていつの世も人は愛なくしては生きられない生き物なのかも.葉室さんらしい凛とした良い作品でした.
以下あらすじ(巻末より)
女絵師・春香は博多織を江戸ではやらせた豪商・亀屋藤兵衛から「博多八景」の屏風絵を描く依頼を受けた。三年前、春香は妻子ある狩野門の絵師・杉岡外記との不義密通が公になり、師の衣笠春崖から破門されていた。外記は三年後に迎えにくると約束し、江戸に戻った。「博多八景」を描く春香の人生と、八景にまつわる女性たちの人生が交錯する。清冽に待ち続ける春香の佇まいが感動を呼ぶ!
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全1巻。
哀しい恋をしている女絵師が、
様々な哀しさと出会う話。
結構いい。
葉室先生が女を書くと外れる印象を持っていたけど、
これはよい。
女絵師が依頼された「博多八景」。
その一景を一章として、
一章ごとに完結する哀しいエピソードが積み重ねられていく、
群像劇のような構成。
地味な話だけど中だるみ無く最後まで読ませる。
クライマックスは結構グッと来た。
「待つ女」なんて湿ったテーマだし、
活かしきれていないキャラがいて少し気になったけど、
奇麗な物語だった。
女性が読んでも良いかも。
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博多に住む江戸時代の女絵師。江戸の時代に絵を描くということと女であることの生きにくさはどれほどだろう。それでも江戸に住む想い人を胸に秘めて自分の道を進む春香は眩しい存在に感じる。
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1つ1つがエピソードになっていて全体を読み終わったときに主人公の相手の秘密がわかるようになっている。テレビドラマ向きの構成。
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最後は涙が滲んできた。悲しくて、どうしようもないことが人生にはある。
仙崖和尚の言葉。ひとはひとに愛おしまれてこそ生きる力が湧くもの。この世が美しいと思うひとがいて、初めてこの世は美しくなる。
この言葉に含まれる意味を、噛みしめながら読み終わりました。
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不義に問われた女絵師・春香こと里緒。
依頼された「博多八景」を描く過程で、里緒は八景それぞれに関係した人々の哀切を知ることになります。
人を思うゆえに生じる哀しみが美しく綴られていて、秀逸な連作短編集です。
春香と外記の描いた千鳥の絵を、是非見てみたいと思いました。
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この小説の主人公は女絵師の里緒ですが、彼女と現世で縁のあった人々との出会い、別れ、絶望、悲哀、共感、励まし合いなどが上手に描かれ、読んでいて生きる力をもらって様な気がします。
里緒が心に秘めた外記への思いは最初から最後まで続き、外記ははかなくこの世を去るのですが、外記の心からの思いは里緒に伝わり、結局二人はこの世では一緒に暮らさないことになったのですが、心の奥底ではしっかり存在し続けながら暮らしていくことになるのです。
二人を支える周りの人々の温かさ、生きててよかったという感じです。
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春香が描く博多八景の一つひとつが短編小説になっており、ストーリーの深さに加え想像で見る絵に輝きを持たせている。作風が高田郁の作品にも似ており心打たれる内容だった。最後は春香の願いはかなわなかったのが
辛く感じた。
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面白かった
10作からなる短編連作の物語
博多八景を描く過程で出会った人々の悲哀の物語
比翼屏風(びよくびょうぶ)
濡衣夜雨(ぬれぎぬやう)
長橋春潮(ながはししゅんちょう)
箱崎晴嵐(はこざきせいらん)
奈多落雁(なたらくがん)
名島夕照(なじませきしょう)
香椎暮雪(かしいぼせつ)
横岳晩鐘(よこたけばんしょう)
博多帰帆(はかたきはん)
挙哀女図(こあいじょず)
からなる物語
主人公、女絵師の春香(里緒)は豪商亀屋藤兵衛から「博多八景」の屏風絵を描く依頼を受けます。
しかし、3年前、里緒は杉岡外記との不義密通により、破門。外記も3年後に迎え来ると、江戸へ。
離ればなれになりながらも外記を思う里緒。
そんな中、博多八景を描く過程で出会った人々の悲哀、
おつきの文の過去、母親や父親との思い、遊女や歌舞伎役者の兄弟との出会い、男や女の悲しみ・苦しみなどなどが、各章で語られていきます。
そうした様々な人の想いが絵の中に込められていきます。
そして、外記と里緒は再び出会うことができるのか?
エンディングで語られる台詞が心打ちます
死なせてはならない心とは
「ひとを愛おしむ心じゃ。ひとはひとに愛おしまれてこそ生きる力が湧くものじゃ。」
お勧め