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あなたにSFを好きと言わせたい!
ビブリオバトルやりたい! と思わせたことで勝利。日本初の本格的ビブリオバトル青春小説だそうです。まあ、利権も絡みそうですけど(ビブリオバトルを流行らせようという教育界や出版業界や図書館関係など)面白いです。内容はいい感じに軽く、同時代のサブカルを取り入れて、でもかなり強力な読書推進。自分を偽らずに出せる場所がある幸せも感じました。SFとかノンフィクションって同好の士が少なそうなジャンルですよね。普通に”読書が趣味”を名乗る人に、「いや、それはあまり……」って言わせそうな。まさにSFもノンフィクションもあまり読まない私の偏見かもしれないけれど。
ちょっと”考えずにネットの海に溺れる人”をけなしすぎかなとも思いますが。しかし、カウンターになる意見として、自分たちが正義だと思って何でもしていいわけではない、という朝比奈先生によるBB部への叱責もあって、そこはすっきりしました。ヴォルテールのことばとしてチョムスキーが引用した「〈貴殿の文章にはうんざりさせられますが、それでも私は貴殿が書き続ける自由は命をかけて擁護します〉」(p.287)という表現の自由は大切。けれど、BB部の蟹江に対する公開処刑は、その自由を守ったのではなく、叩きのめすために引きずり出す理由として乱用しただけ。
ビブリオバトルの紹介としては結構優秀。ただ、実際にビブリオバトルしたら、この内容を音声で聴きとるのは難しいはず。ほぼ初めて聴く情報だったら、明日香さんの内容とかほぼ理解できない気がする。外国人名や理系の専門用語が多いので。
キャラクターが実にラノベ・マンガ・アニメ的だけど、それだけキャラが立っているからこそ、それぞれが進めてくる本に興味がわく。フィクションとして誇張しているところもあり、そんなキャラクターたちや必殺技・二つ名などは、フィクションとして受け入れやすくするのに一役買っている。
主人公は一応、SF大好きの伏木空とノンフィクションしか読まない埋火武人の二人か。祖父の武雄は垂涎もののSFコレクションを遺したのに、SFを完全否定する武人に対して、空はSFを読みたいと言わせる、つまりビブリオバトルで自分に一票入れさせるのを目標にビブリオバトルにのめりこんでいく。ここらへんが青春。
ビブリオバトルの最大の弱点、「自由度がきわめて高いゲームである反面、悪意に対する明確なストッパーがない」(p.421)というのは、今回の対決のようにビブリオバトルが自分の主義主張の押し付け合いの場、もっと言えば相手の信条を打ち負かす場になる怖さを秘めている。本を薦める、というのは、ある意味思想の押し付けにつながることを意識し、部長のように「自分の嗜好を他人に押しつけてはならない」(p.80)ことを忘れてはいけない。たとえチャンプ本にならなくても、結局読んでくれなくても、誰か一人でも興味を持ってくれたら嬉しい、という謙虚な態度で。
そもそも、読書=良いことという意識ですら、思想善導につながるという恐れ。特に教える立場・導く立場にいる者は忘れるな。
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≪空想の,羽を伸ばして.翼を広げて.≫
とにかく,「本」への愛にあふれている.
SF,科学,社会,自然…
マンガやアニメ,特撮も.
各キャラが紹介した本を実際に読んでみたくなるし,すでに読んだことのある本が紹介されたときのうれしさたるや.
本を読みたいけど,名に読んでいいのかわからなーいって人に進めれば,どれか一つは気になる本が見つかるのでは?
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楽しそうじゃなきゃ読みたいとも思えない。
硬くても、柔らかくても、どちらにしても、興味を持ってもらって、面白そうと思ってもらわなきゃ読みたいとは思ってもらえない。
もちろん、好きなことは第一条件だけど、自分の好きだけ押し付けても、それが相手に伝わるとは限らない。
「どう伝えるか」がビブリオバトルの肝。
・・・私はまだやったことない。
本が好きで、ビブリオバトルにも興味がある人が読むと、「ビブリオバトルやってみたいな」、「こんな仲間欲しいな」と思える本だと思います。
でも、そんなに本好きでも無い人にはどうなんだろうな。
ちょっとくどいのです。山本弘さんの文章の特徴かもしれません。表現が適当かどうかはわからないですが、一昔前の設定に凝ったライトノベルのような…。
一言で言うなら…「クサい」
ビブリオバトル部のお話しなので、とてもマニアックな会話が続きます。
それが、この物語の雰囲気を構成してるのだけど、多分、興味がそんなにない人にとっては、「オタクくさい」というか、「内々のとても狭い世界の中のお話し」のように感じられるかもしれません。
私は嫌いじゃないけれど…。
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面白くないの一言。SFの歴史やなんやら知識の羅列としか感じなかった。読んだ本をあんなに正確に記憶しないといけないものなのかなぁ。なんだか大変だなあ。主人公がメガネをとるとかわいいってマンガの世界。ビブリオバトルって言葉を覚えてことが収穫。
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全体的には面白かったので次も読む。ただ、読んで面白かった本を楽しく紹介して欲しいわけで、その様子をラノベ風に味付けするのは読みやすくてとても良いんだけど、作者の思想を合間に挟み込んでくるのは要らない。「楽しい場となるように配慮する」ルールなんだから、本全体でそれを実践してくれる方が嬉しい。叩きやすい「はっきりとバカな敵」を作ってそいつをやっつけるのは今時スマートじゃない。
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うっかり三作目を先に読んでしまったので、慌ててシリーズ追いかけます。つくづくこんな本読んじゃだめなのに……理系嫌いが故にほぼ食わず嫌いなSFという領域も、いろいろ気になってしまうじゃないですかっ!
ほんっと、ビブリオバトルが楽しそうで良いです。どれもこれも面白そうだよねえ。でも読んでない本を語っちゃだめだわー。ビブリオバトルをああいう手段に利用するのはどうかというのは確かにそうだけど、やっぱりあの所業は許せませんよね。
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おもしろかった~。
こんな女子高生いるわけないと思いつつ(笑)。でもいたらいいよね。わたしなんか、読んでも読んでもかたっぱしから忘れていくので、こんなだったらほんとうらやましい。
SFオタクが主人公といいつつ、SFぎらいを相手に持ってきて、しかも「好きな本をおもしろく紹介する」ビブリオバトルという設定だから、その本を知らなくても読めるというか、むしろそれが当然と思って描かれているので、ひらかれた印象があっていい。
ビブリオバトルを自分の偏向した思想を語るための道具として用いようとするやつを、BISの面々は同じビブリオバトルでやりこめる。しかし顧問の先生には、方向はちがうようでいてやっていることは同じ。正義ほど危険なものはないといさめられる。ここらへんは答えの出ない問題だけど、それを自分で意識するとしないではぜんぜんちがうよなと思った。先生さすが。いいYA。
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地元の図書館で何度かビブリオバトルは見たことがある。
図書館は当たり前だけど、
年齢層がバラバラ。
楽しいなぁと思った。
この本では中高生の部活がビブリオバトル。
いろんな本が出てきて
凄ーいというしかないけれど、
対外試合はちょっと私にはいただけなかった。
確かに相手校の一人がことの発端だけど、薄っぺらと分かってる相手に
もっと別のやり方があったと思うし
なんだか、動画までとって公開でいじめをしてるように思えてしまった。
最後に先生までも参戦したことに驚き。
大人なら違う方法で。。と思わずにはいられなかった。
ちょっと、こんな先生はイヤだ。
自分の生徒に謝ることも大事だけど、
相手校に対してもなぁと思う。
互いに礼儀がまったくない感じなのはスポーツじゃないから?
違うと思うんだけどなぁ
そんな中で空ちゃんと哲秋くんはとてもよかった。
BISのメンバーが自分たちは偏差値高くて頭いいし、
校則なくって自由だし、
自由でも僕たちちゃんとしてるんだよーと思ってるのが、
じゃないほうの私には「ふーん」ってなってしまう。
ただの僻みですけどね。
あんたら制服の良さを知らないなんて可哀想だぜ!!!
なので、校内でのビブリオバトルがめっちゃおもしろかった。
でも、読むとあんたはバカと言われてる気がするので多分続きは読まないなぁ。
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ビブリオバトルが青春学園小説になった。
主人公は高校生だが、偏差値の高い私学でルールも緩い今時の学校が舞台だから、校内の様子は大学のよう。主人公の女子フシギちゃんは、最近見かけないSFマニア。SF雑学が多すぎて頭に入らないが、そこは流し読みでいいと思う。部員が紹介する本が、ジャンルがさまざまで面白いが、中身が難しい。
なかなか挑戦的なお話だった。中高生向きの本のはずだが、こんな内容理解できるのか疑問。この読後感、進研ゼミの広告マンガを読んだ時に似ている。いい話だけどフィクションで、恋愛要素の可能性が残っている…とにかく、これを読んでビブリオバトルに参加して欲しい。
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来週、中学校の図書館で初めてビブリオバトルをやるので、参考に読むことに。最初は義務感のみで読み進めたが、後半になってどんどん面白くなって、読むスピードが早まった。表現の自由や自主性や情報リテラシー、リテラシー中でも、ネットで情報発信する責任を考えさせられる。そういう事を中高生に考えてもらうきっかけになり得ると思う。文中には、私の学校の生徒からのリクエスト本(調べて却下しましたが)や、昔 懐かしい(今の中高生は知らない、おじさんおばさん世代の)本が登場して、本好きにはその辺りも楽しめる。
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ビブリオバトルという言葉は初めて耳にしたのでとっても新鮮でストーリー展開もすんなりと入っていけた反面、
SF作品の乱立すぎるくらいの羅列にはかなり辟易気味。
最初のうちは熱心に目を通していたが
いつしか斜め読みに、読み飛ばしていたり。
それが本筋にほとんど影響を及ぼさないのが
かえって虚しくなったり。
この調子で三冊読破できるのか甚だ心配。
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こんな読み方良くないとは思うけど、SF関連の部分だけを拾い読み。
熱いエドモンド・ハミルトン推し。フシギちゃんの『フェッセンデンの宇宙』の紹介は素晴らしかった。SF好きなら、これで読みたくならない人はいないでしょう。
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めっちゃおもしろかったー! 山本弘×SF×本大好きな人々。
この本で紹介されてるのは実際に出版されてる本なので、空たちのビブリオバトルを楽しむと同時に、自分もビブリオバトルの参加者になれるという趣向。
読みたくなった本がいくつもありました。「小学4年生の世界平和」は、そういえば読みたい本リストに入ってたぞ。埋火さんの紹介するノンフィクションもおもしろそう。
巻末に参考資料リストがついているので、この本から新たな本につながっていけます。
山本弘さんがこの本を書くきっかけになったSFを1冊は読みたいな。エドモンドハミルトンを読んでみたいです。
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山本弘さんのSFをあらかた読みつくしてしまったので、ビブリオバトル青春ものに手を出してみました。懐かしいSFがたくさん登場していて嬉しかったです。バロウズ、ブラッドベリ、シェクリイ、星新一などなど...。キャプテン・フューチャーのアニメも見ていました!私は朝日奈先生と同じくらいの世代ですかね。
青春時代は遠くなったので、青春ものはちょっと気恥ずかしい感じですが、バトルパートも登場人物の人間模様も、楽しく読めました。
埋火の祖父の書庫は羨ましい限りです。バロウズもブラッドベリも集めましたが、自宅に置くスペースがないので、これだけはというものを除いて、ずいぶん処分してしまいました...。山本弘さんの作品は高校生の息子と一緒に読み進めているので、せっかく息子が古いSFに興味を持ってくれたのに自宅にあまりないので、残念。とりあえず自宅にあるブラッドベリの「火星年代記」や新井素子さんの「いつか猫になる日まで」あたりから勧めてみますか!
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制限時間内で本を紹介し、最も聴衆の読書欲をかきたてた者が勝ち、というビブリオバトルを題材にした小説。
SF好きでなかなか同志のいない主人公が高校のビブリオバトル部に入部し、SF布教を試みるが、、という話。本を読む楽しみと、紹介する楽しみに溢れていて良かった。
あとがきで作者が「SFに興味をもってもらえるような本にしたかった」(大意)と書くとおり、紹介される本はSFがやや多目だが、「本の紹介」が題材なだけあって、前知識がなくても問題ない。また、SF以外で紹介される本も魅力的で、アマゾンの注文が捗るため要注意。