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忘れないようにと言い続けつつも、だんだんと過去のものになりつつある東日本大震災。その罹災者たる女性たちがその震災の真っただ中、避難所で直面した現実とはなんだったのか。
立場の違う女性たちが意思を通わせ思い遣りつつ生きていくなかで、自分勝手な人たちやあまりに理不尽な現実と向き合い、戦っていく姿が痛ましくてたくましい。
けれどそれは生きるためのただひとつの術だったというだけあって、美化してはいけないし涙を流してもいけない。ただ、だれしも起こるかもしれない出来事だという覚悟をひそやかに持っておかなければならない、と思ったのでした。
そうして、どんな異常事態であっても、性格が良くなるわけでも、聖人君子にみななるわけでも、そして一致団結できるわけでもない。そんな当たり前であったはずのことを改めて知らしめられもしました。
題材が題材なだけに、けして軽く読める話ではありませんが、中心となる女性たちの素朴な力強さに引き立てられるようにすっと読み進めることができたので、多くの人に読んでほしいなあとも思いました。
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三陸の架空の街を舞台に、避難所で暮らすことになった50代、アラフォー、アラサーの3人の女性を中心とした物語。
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フィクションだけど、リアルが散りばめられていて、あー、そうだよなー、とか、そうかそんなことが・・・とか、それはちょっとないんじゃない?とか、げげぇ~!ありえないっっ!!!とか、いろいろ思いながら読む。
ストレス下におかれたことで、普段は目をつぶってやり過ごしてきたことが浮き彫りになってきて怖い。
それでいて狭い避難所にいるものだから、ストレスはどんどんたまって発散のしようがないのだ。考えただけで気が滅入る。この小説に出てくる男たちが、これまたクズ揃いだしw
悲惨な状況の中でも、しなやかに生きたいものだと思う。
新しい一歩を踏み出した女性たちが、幸せに生きられますように、と願う。
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初の垣谷美雨作品読了。面白かった。本当に面白いと感じる本はあっという間に読めて驚く。震災の瞬間やその後の描写には圧倒された。まさに命からがら必死に逃げてなんとか生きた女性達の姿がリアルに想像できた。私と同じように普通に生活していた何万人もの人々が被災し、最愛の家族を突然失い、愛着のある住みなれた家を流され、食べるものも着るものも何もかもを一瞬で失ったのだと初めて実感した。
腹立たしい人々に訪れるざま見ろな展開と、被災した女性達皆が希望の持てるラストが快かった。
私の中ではすっかり風化してしまっている震災について、いつか必ず訪れる家族との別れについて、いろいろと考えさせられた。
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311のまさにその時から物語ははじまり、主に年の離れた3人の女の行き続けていく様。
津波にあうシーンなんかは息もできずによみ続けた。
テレビからでは読み取れない避難所の実情なんかは切迫していて、疑似体験できるほどよく描写されている。絆なんてフレーズは単なるテレビのなかのきれいごとのように聞こえ、あるのは生命活動、食う寝る出すのリアル。
田舎とはこんなにも男尊女卑で閉鎖的で生きにくいのに、どうしてここにしばられつづけるのだろうと不思議でしょうがない。リーダーの男、遠乃の舅、福子の夫には心底ムカついた。
最後には東京での暮らしも避難所、仮住まいという思いで、やはり故郷に帰りたいとねがう。もう同じ故郷はないのに…
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図書館で偶然見つけて、手に取りました。
ストーリーは311東日本大震災の日から始まります。
被災した3人の女性の避難所での暮らしと、その後の暮らしを選ぶまでの話。
著者の文章で、重苦しくなく描かれた災害の様子や、避難所での生活。
でも、悲惨さは伝わり、ずっしりと沁みました。
今まさに、熊本でも同じようなことが起こっているのだと思うと、胸が詰まります。
1日も早い復興と、日常の回復を祈らずにはいられません。
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いつ大きな地震がきてもおかしくないこのご時世、地震から津波から身を守れても避難所の生活になるかもしれないし。自分の身は自分で守らなくちゃね。日本の被災地でも若い女性は身の安全をって言われてるもんね。怖いな
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読み進めるにつれいたたまれない気持ちが加速していくようなつらい読書…
言ってはいけないのだがこんな救いようのない人たちのアナクロな町や村など流されて消えてしまえとすら思ってしまう。
フィクションのかたちを取っているがそうでないのがわかってしまうのが悲しい、こんな物語描かなくてもいいのに…でもそれは違うのだろう。
ラストにしたってスカッとジャパンみたく悪者を懲らしめてくれはせず含みを持たせた意味深な幕引き。
こんな問題を提起されて私たちに何を考えろと言うのだろう…ただただ避難所に入るような日が来ないことを祈るばかり
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震災を生き延びた女性たちにさらにのしかかる苦悩。しかも身近な人たちに苦しめられるという理不尽さ。読んでる間むかむかして仕方なかったけど、さすが垣谷さん!最後はスッキリ、そして感動でした。自分の人生は自分で切り開かないと、と痛感しました。
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遠乃の祖母の教えが素晴らしい。
核家族の今となっては昔からの知恵が伝わりにくい。
その土地の歴史を知るからこそ、災害の恐ろしさ、対処方法が伝えられる。
処世術もそのひとつ
「好きでもない男に襲われないようにすること」
避難所でそういったことがありうること、とても悲しいことですが、本能でしか動けなくなるのでしょうか。
子供を守る母は強くならざるを得ない。
日本中が「絆」とか「がんばろう日本」とか言っていた時、人知れず「嘘くさいなあ、偽善っぽいなあ」と思ってたワタシ。
明日は我が身として、教訓のためにあえて震災後の暗部に目を向けることが必要かと思い、こういった書籍を手に取るようにしている。
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友人に薦められて読んでみた。
震災直後の描写は自身の経験も思い出してちょっときつかった。それくらい生々しい描写。
3人の女性の避難所生活について、自分と置き換えながら他人事じゃないな、と思った。
高揚期を経て幻滅期の現実を突き付けられた感じだった。
ボランティアのしてやってる姿勢、わかるわかる。
支援される側も支援する側も美化されていないところがある意味すごい。
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面白かった。
震災の話。
年代も違う女性3人の話。
避難所の大変な生活。
閉鎖的な男主の地域。
生き延びたのに、生きるのが辛い現実。
なんなの!おかしいよーと、
読みながら叫ぶ私。
新たに前を向いて歩いていくラスト。
頑張れ!と声援を送り、
温かな気持ちで本を閉じました。
柿谷美雨さん。
さすがです。
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日常だったからこそ
なんとかやりすごせていた
様様な不満が
非日常になって どっと表面に出てくる
でもそれは やり直すために
必要なことなのかもしれない・・・
ゼロから やり直せる女性の強さが
印象的な小説でした
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辛いなぁ。自分の知らないことがいっぱいあったんだろうな。
命が助かったのに死んだほうがよかったなんて思ってしまうほど辛いことがあるなんて……。災害だから誰が悪いということではないのにな。
誰かのためと思うより、こういうときこそ自分の気持ちを優先させないと心が壊れてしまいそう。
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報道では目隠しをされてしまいがちな、被災地の実情がうかがえる作品です。
多少は男性の卑劣さ、女性の立場の脆さを誇張しているかもしれませんが
ノンフィクションとは言い切れない部分が多々あるだろうと思います。
避難所のあり方について、いろいろ考えさせられる話でした。