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謎が解かれた時に、良かったと思えた。そのことを、どう考えるかで、評価は異なろう。
この職業は、すでに別のミステリー(福田和代さんの『星星の火』)にも登場している。
本作は、この職業を、十分いかしきれているかな?
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「闇に香る嘘」は、主人公が目が見えなくて周囲に疑心暗鬼、対して「叛徒」は主人公のみ中国語が分かり、周囲が分からず疑心暗鬼。目からと耳からの情報の違い。兄弟間に対してと父息子の疑心暗鬼。なんとなくパターン的に似ていると思えた。中国人研修生の不法労働問題とか関心度が低くかったので、ちょっと乗れなかった。作者は中国通なんだろうか?センテンスが短くふくらみがないので、せっかくの親子間や友情などの情感の盛り上がりに感動し辛かった。
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中国語の通訳捜査官である七崎隆一.中国人が殺された件で息子の健太が絡んでいることに気づき,容疑者の尋問で誤訳をする.義父も同じ仕事をしていたが,隆一が誤訳を追及したことで自死してしまった.職場内ではそれを種に干された感じだが,職務は地道に続ける.中国人研修生を搾取する縫製会社が絡むことが判明し,単独で隆一が動く.入国警備官の黒河内沙紀が重要な役割をして,真相が明らかになるが,中国人との駆け引きには二転三転がある.義父の自死に関して関与した弁護士から意外な事実を知らされる場面は秀逸だ.重大な事件に息子の関連を知り,葛藤の中で通訳という立場を悪用してきた隆一のジレンマ.理解できる話だ.オミヤと言われる田丸とのやり取りが面白い.
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図書館より
通訳捜査官の七崎。ある日七崎は、自身も捜査に携わる殺人事件の容疑者が着ていたジャンパーを、自分の息子の部屋から見つける。
七崎は自身の通訳を意図的に誤訳し、息子を捜査の手から遠ざけ自分一人で事件の真相を探り始める。
社会派ミステリーとして、歌舞伎町での中国人問題や、報道などでも話題になった”外国人技能実習制度”を取り上げ、それをしっかりと話の軸につなげてきているあたりが上手いです。
外国人技能実習制度は、先進国の技能や技術、知識習得を目的として、発展途上国の外国人の若者たちに数年間日本の企業で働いてもらい、技術や知識を習得してもらう、というもの。
しかしその制度を悪用し、来てもらった外国人に技術を教えないどころか、強制帰国をちらつかせ、劣悪な労働環境で外国人を無理やり働かせる企業が問題となりました。
そうした社会問題を、単に知識として出すだけでなくしっかりと話の軸に持ってきています。デビュー二作目の作品だそうですが、著者の力量がうかがえるなあ、と思います。
そして、登場人物たちの葛藤の描き方もいいです。七崎は尊敬していた通訳捜査官の義父の死に責任を感じており、その結果、自分の正義の価値観の揺らぎに直面します。
それが、息子が殺人事件の犯人かもしれない、という疑いを抱いたとき、警察としての正義を採るか、父としての正義を採るか、そうした葛藤、そして”正義とは何か”というそれぞれの立場や状況からの正義の描き方も作品を盛り上げます。
主人公以外の登場人物も個性的です。中でも、その警官の意見を聞くと、捜査が見当違いの方向に行くと言われる通称”おみやさん”のキャラが良かったです。できれば、おみやさんの再登場も期待したいです。
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通訳捜査官である主人公七崎は、同職の義父の不正を密告した過去をもつ。それにより義父は自殺。妻と息子ともギクシャクした毎日が続く。
そんな中、中国人の襲撃事件が浮上。日本の高校生が、行き合う中国人を襲っているという。息子の部屋で、証拠となるチャットと血のついたジャンパーを見つけた七崎。
息子を庇おうとするあまり、被害者の事情聴取でわざと証言を誤訳してしまうー。
ストーリーは面白いのだが、ふと似た話(福田和代の城という通訳捜査官)を思い出してしまう。そういえば生還者も似た話があったような気がする。
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11月-4。3.0点。
新宿署通訳捜査官。義父も同業だったが、主人公のある行動のため、自殺。妻との間に亀裂が。
息子が、中国人研修生殺害の犯人なのか。
警察に言えず、単独で調査するが。
うーん、イマイチ感情移入できず。
主人公の「息子を思えば」の行動に一部疑問が。
入国管理局の女性も、盛り込みすぎて逆にイメージ涌かず。
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なるほどなぁ。
でも、謀反ではない気も・・・
なんかなーって感じだな。
話の流れとか造りは好きなんだけども
なんか違うんだよなぁ。
最後が都合が良すぎる。
結局、父親はお咎めなし?
それは正義じゃないよね。
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著者の作品は2冊目。
主人公があまり聞き慣れない通訳捜査官であることに興味を持ち、手に取った1冊。
新宿署の通訳捜査官である七崎は、自分の師であり、義父の不正を暴いたことで、義父を自殺に追いやり、同僚からは「同僚を刺す人間」として距離を置かれていた。
そんな中、歌舞伎町で中国人が殺される事件が起こる。
第一発見者の中国人の取り調べで通訳をすることになった七崎。しかし、この第一発見者の王もかなり怪しい人間であることに疑問を抱く。
そして、自宅の息子の部屋で目撃証言にあった水色の龍の模様の入ったジャンバーを見つけたことで、今回の殺しに自分の息子が関わっているのではないかと、疑心暗鬼になっていく七崎は取り調べで嘘の通訳を重ねていく…
義父が取り調べで、通訳と見せかけて、否認していた被疑者を脅し、無理やり送検したことを密告した七崎だったが、今回の事件で義父と同じ罪を犯す。しかし、それは大事な息子を守るためであり…と言った心の葛藤が描かれるが、どうにも共感が出来ない。七崎の独りよがりの目線で描かれるせいか、事件や関係者が全て裏がありそうな描き方を中盤でしているのに、読み終わってみれば、ほとんどの人が悪い人ではなかったと言うのも腑に落ちない。
前作を読んだ時にも感じたが、歪んだ人間像を描くのが得意な作家さんなのだろうか?
だとしたら、きっと私はまだこの作家さんを理解してないのかもしれない。だから、何となく読後感がすっきりしない。
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義父を内部告発した主人公の刑事が、今度は息子が犯人では?と葛藤する話。自分にも息子がいるので、親の気持ちが痛いほどよくわかった。
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いろんなネガティヴな出来事が重なりどこまで酷くなるのかと心配しながら読んだ。こんな終わり方なんだ。ネタバレになるので、これ以上は感想は書かない。
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絵に描いたような幸せイッパイの家族のプロローグから、嫌な予感が(笑)何かが起きる!何が起きる?ってドキドキしながら読み始めました。
1章の最初から打って変わって嫌な雰囲気で、あぁ~何か起きた!て、読み進めるのが怖いぐらい。
通訳捜査官、七崎が息子の部屋で見付けた血の着いた上着から事件の犯人にさせる訳には行かないと、、立場を利用し嘘に嘘を重ね、堕ちていく姿はハラハラしました。
正義を貫く事で大事な人の命を奪うとしても、貴方は貫きますか?「正しい」とは何か。
通訳捜査官という職業を通して上手く纏まっていました。
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前回読んだ下村作品「刑事の慟哭」で主人公だった田丸刑事が登場し、繋がってる!と少し嬉しくなる。
通訳捜査官なる人たちが居ることを本書で初めて知る。
同じ職についていた義父の不正を告発し、自殺に追い込んでしまった主人公の七崎。
ある殺人事件に自分の息子が関わっているのでは…と単独で捜査を進める。
話の中で出てくる外国人技能実習制度、実際はもっともっと闇が深そうだ。
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ドキドキさせられ終盤まで読み進められる。最後は、この結果だといつもは納得いかないが、今回はすんなり受け入れられる。因果応報であるべきか。
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叛徒 とは中国語でパントゥ?と読み、裏切り者という意味だそう。
中国人研修生の制度の闇を追及していて、多分これ現実世界で実際起きている話だと思うんですが、なかなか解決していない。この辺の話は新宿歌舞伎町を舞台に読み応えがあった。
けど、誤解があるとはいえなぜ主人公は嘘をつくのか。結果的に捜査がややこしくなっただけでは?その辺の心情を理解できなかった。
家族の問題を絡めるために、息子を不登校にしたり、いじめの首謀者が自分の上司の息子にしたりしていたが、こちらの話はツッコミどころが多く、あまり得意ではないんでしょう。
美人の黒河内さん、美人とくればどうして無駄に脱がせて縛ってみたり、SMクラブでバイトさせてみたりするんだろう?謎。
中国人研修生の制度の闇と、その他の部分の描き方にギャップがあった。悩んだけどすいませんが☆3で。