紙の本
多種族世界の描写が見事です。
2017/06/27 23:23
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投稿者:ガディアム - この投稿者のレビュー一覧を見る
爬虫族しか登場しない恋愛映画に対する人間の主人公のツッコミなど、多種族世界の描写が相変わらず見事です。
かつての仲間,倒したはずの敵との再会を通して、物語の根幹に迫っていく一方で、メインのストーリーは、妖精兵クトリと主人公ヴィレムの物語として描かれています。
今後の展開も楽しみです。
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「人間という種が滅びてから、今年で五百と二十六年になる」
最後の決戦で相打ち的に石化して、目が覚めたら500年経ってた勇者の話。
伝説の勇者の剣を手に、代わりに世界の敵と戦ってるのは、少女にしか見えない妖精たちで…。
という、終末モノと見せかけてぜんぜん終末でない勇者モノファンタジー。
タイトルが好みだとタイトル詐欺だった時の哀しみは深い。
地上が滅びて幾星霜、人々が空中都市で繁栄していた
とか
数百年前の伝説の剣を、メンテもできずに騙し騙し使ってる
とかそういうところ好きです。
キャラクターたちもテンプレだけど、掛け合いが楽しいので良いかな。クトリかわいい。
読後感としては概ね楽しめたし、続きも読みたい。
イラストも良い。
けど、1冊で区切りついてなさすぎで困る。
次が出るか分からないのに、思いっきり「続く」で終わるのどうなの。
主人公も平凡勇者候補生と見せかけて、超技術の持ち主だし。
平凡だったけどこの世界でできることある、って方向が良かったな。
もうひと息って感じ。
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一番衝撃的だったのは、あとがきの3巻が出ないかもしれないという言葉。そんなに1巻の売り上げが悪かったのかね。ネットでの評判は悪くなかったように思うけど。ちょっと一昔のファンタジーラノベっぽいところが現代っ子に合わないのかしら。
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まだ救わないのか…
読み終わった後、タイトルを見つめてついつい思ってしまった。
人類の滅びに関わる手掛りには出会えたし、旧仲間&旧敵との久闊を叙する様子は実に良かったけども。
謎が多いところにさらに謎が追加されていくので、なかなかもやもやが解消されなくてじりじりする。
ま、それが次の巻が読みたい!に繋がってるわけだけども、あんまり焦らされると「もういいかな…」ってなっちゃうぞ。
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タイトルでだいぶ損をしてるような気がするこのラノベ。
悲しく救いのない話ばかりですが、クトリには幸せになってほしいと思うの。
あとがきで作者が心配していた売れ行きも続刊されてるのを見ると大丈夫なんでしょう。いくつか気になる伏線も散りばめられているので、こんなところで終わってもらっちゃ困りますが。
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揚げた羊肉と刻んだ芋を、たっぷりの大葉野菜で包んだもの
『包み羊(ラップドラム)』
美味そう。
作ってみたい。
ただ、ホットドッグみたいにパンで挟んでるわけじゃないから、野菜でちゃんと包まないと食いづらそう。
野菜は何使えば良いかな。オーソドックスにレタス?
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前巻時点ではクトリ出撃について余裕な態度を崩さなかったヴィレム。だというのに第二巻では半月経っても戻ってこない状況に遂に弱音を上げたようで(笑)
ヴィレムって養育院で父親代わりをしていた過去や、復活後の死んだような生活、そして今は妖精倉庫の管理人として過ごしているせいも有ってか物事を斜めに見て何事にも動じない姿勢を見せるんだけど、芯の部分は普通に弱いんだよなぁと思い知らされる描写。
ナイグラートが分析しているように自分が冷静になれる要素がある状況なら虚勢を張れるんだけど、そうでなければとことん駄目になってしまうタイプ。思い出せば復活後に何も考えなくて良いように重労働ばかりしていたのはそういう背景が有ったのか
そして思わぬ所で再会してしまったヴィレムとクトリ。ヴィレムさん、突然クトリが目の前に現れたからって超絶技巧を披露してまで抱きつかないでください(笑)
もうこの行動だけでヴィレムの中でクトリがどれだけ大きい存在になっているか伝わってくるというもの。だというのに少し落ち着いたらいつものクールぶった態度に戻ってしまうのだから面白い。ヴィレムってどうしてこう素直になれないのだろうね
ただ、今回はその素直さを表に出せない失態はクトリにも言えるのだけど。
互いに素直になれないまま、「おかえり」も「ただいま」も言えずにいたら妙な事件に巻き込まれて更にヴィレムは寄り道することになって
本当にこの二人はもどかしい
ただ、この二人が素直になれないのって境遇に因るものが大きいから仕方ない部分もあるのだけど
ヴィレムは一度全てを失った人間。だからもう一度大事なものを抱えることに怯えてしまっている
クトリは遠くない未来に終わりが訪れる妖精。ただでさえ重たい身の上だからこれ以上相手の負担になるようなことは避けたいと思っている
そんな二人だから言いたいことも言えない。伝えたいことも伝えられない。というより、伝えなければいけないのだという認識が薄くなってしまう
特にクトリはヴィレムと再会するためにあまりに大きすぎる犠牲を支払ったというのにね。同時にそこに存在する純愛があまりに眩しすぎて……
この時のクトリの決意を知ったらヴィレムは今までのようにクトリを子供扱いするなんてできなくなるんじゃなかろうか?
クトリ達のために、過去を取り戻すよりも現在を優先することを選んだヴィレム
ヴィレムと居るために未来を犠牲にして現在を優先したクトリ
どちらも最終的に選んだものは同じはずなのに、二人の先に待ち受けているであろう試練があまりに過酷すぎて……
もしかしなくてもクトリが人格破壊後に見た子供ってあのエルクですよね……
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1巻のレビューを書いてから約1年半が経ち、ようやくこの2巻のレビュー。そして相変わらずのタイトルとの落差……。
アニメ版を観ているので、話の流れは大体分かってはいるものの、それでも切ない気持ちになります。
地上世界が「獣」と呼ばれる謎の生物に支配されたため、空中に浮かぶ浮遊都市に逃げた生き残った人々。
しかし獣は時折その浮遊都市近くにも姿を現し、彼らを倒せる武器を使えるのは「妖精族」である一部の少女たちだけ、という世界観のファンタジー。
獣との戦いのため死ぬ覚悟を決めつつあったクトリという少女。そんな少女が出会ったのは、人間種族として唯一の生き残りとされるヴィレムという青年でした。そしてクトリは徐々にヴィレムに惹かれていくものの……
戦いのため自分の命がどうなるか分からない。だからこそクトリの恋愛感情は、どこまでも真っ直ぐに描かれます。
「遠回しなやり方はしない」そう語るクトリの心情は本当に意地らしいな、と思う反面、その裏には、明日がどうなるか分からない、そうした悲壮な考えがあるからこその言葉なのだと思うと、また切なくもあり……
そしてヴィレムの想いもまた切ない。かつては地上で戦いつつも、今は少女たちに戦い方を教えるくらいしかできず、戦いに向かう彼女たちをただ待つことしかできない。そうした心の揺れが、しっかりと描かれます。
そして妖精たちを待つのは、戦いの過酷さだけではありません。この巻になって新たに明かされる妖精たちの真実は、戦いの結果うんぬんを超えた残酷なものでもありました。
クトリが脈絡のないイメージに囚われていく描写は、読んでいるこちらも不安になるような不気味さと、戻れないところに進み始めている、という予感を抱かせます。
人類が(ほぼ)滅亡し、妖精やゴブリン、トロール、あるいは獣人といった種族が暮らすという世界観なのですが、彼らの文化や政治といったものが、正義のありかたといった深遠なものを浮かび上がらせているのも、また好印象。
大筋のストーリーは悲恋ものなのですが、世界観はタイトルに合わず(?)きっちり練られている印象なので、細かいエピソードもしっかりと読ませます。
最近のラノベレーベルのファンタジーシリーズには珍しい、しっとりと展開する作品。この後の展開も既に知っているのですが、それでもやはり読み込んでしまいます。
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ただ待つだけの立場に立たされて、ヴィレムの不安が抑えられなくなっていたのが、前巻の終わりと対照的で印象に残りました。
けれど、11番浮遊島では結局「おかえり」を言えず、妖精倉庫ではクトリの侵食が始まってとすれ違いが続いたままでやきもきしました。
最後にクトリが起こした奇跡にどんな代償がついてまわるのかが不安ですが、無事約束を果たせそうで安心しました。