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昨年世間を大きく揺るがせたSTAP騒動に関してのルポ
結局誰が悪かったのでしょう?
小保方さんは、未熟な野心家で世間知らずの子だった
のだろうと思いますが。その脇の教授陣は
どうだったのか。自殺した笹井氏・ハーバードの
バカンティ氏・山梨大の若山氏・丹羽氏
やっぱり笹井氏の野心とバカンティー氏の無邪気さ
かなあと読んで思いました。
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そのとき何が起こっていたか、記者の視点で書かれた作品。
マスコミがネットやテレビを通して伝える情報はけっこう断片的で、
流れが見えなかったのだけれど、
この本で、あの発表からその後の経緯と顛末が
全部ではないかもしれなけれ度、わかる。
こういうのを知りたかったし、もっと知りたい。
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事件の推移についてとてもよく理解できた。
iPS細胞を意識してか秘密主義の中で研究が行われていた。STAP細胞を作成する実験を実際に手を動かして行っていたのが小保方氏一人だけだった。共同研究者の若山氏も、優秀な(はずの)小保方氏には遠慮して「実験ノート見せて」とは言えなかった。なんて証言を読むと、いかにも不正を助長しそうな環境だったんだなと思う。小保方氏に同情する気は無いけど、実力が伴ってないのに優秀な人扱いされるのは、その本人にとって悲劇だ。
うーん。しかし「ノート見せて」ぐらい言えないものなんだろうか?そこに書いてあることこそいわば一次情報なんだから、共同研究者なら見たくならないんだろうか?
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報道だけでは窺い知ることのできない事件の背景がつぶさに記されている。
理系に対しては、学部時代から研究室の指導が厳しい印象を持っていて、不備だらけの論文が提出・受理されるなんてありえないんじゃないかと思っていた。でも、学部、修士課程、博士課程とコロコロ研究分野や指導教官を変えていて、かつプレゼン能力があるような人だったら、見破るのは大変かもなぁ…。
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2014年1月29日、小保方氏、笹井氏、若山氏の衝撃的な記者会見から始まったSTAP細胞事件。
著者の須田氏は、それまでの取材過程から、笹井氏と近い関係にあり、当初からやや特別扱いの状態で詳細な取材ができていた様子。会見前日に笹井氏から、あなたなら絶対来るべきとのコメントを貰い、それに値する(と考えた)内容にすっかり心躍って勇んで記事を書いた当日。そこから徐々に疑義が出始めて、もしや捏造かもと思い始め、そしてそれを確信する過程が、当の笹井氏や若山氏とのメールのやり取りを通じて再現されて読みながら胸が痛くなった。
結局STAPはどう考えても小保方氏の捏造なのだが、さすがに本書でそれは断定されない。ただ状況証拠から読者は容易に想像できる。
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ところで、私は某大学で研究者をしていることもあり、今回のSTAP論文(Nature誌に載った2報)は直ぐにダウンロードして読み、院生たちに紹介した。
門外漢からすると、凄い、としか思えなかったが、早くも2月中旬から世界各国で追試が成功しないこと。論文の画像に加工の跡があることなどが海外で話題になっていることも比較的早期に把握していた。
当時の院生とのやりとりをみると、2/21時点でそのことを院生に知らせ、2/25の時点ではまだ全体が捏造とは考えていなかったこともわかる。3/9には捏造の可能性が高いと考え院生に残念とのメールを書いていた。
そう、外部の人間からすると、科学者であれば門外漢でも既に2月にはもう、これ怪しいぞ、と考える程度の内容だったのだ。
それなのにそれなのに、理研の中枢は、本当かもと一縷の望みをいつまでもいつまでも捨てず、果ては世界的頭脳である笹井氏の自殺まで招いてしまった。
あぁなんて勿体無い、と思うのは私だけではないはず。STAP細胞というのがとにかく現象としては魅力的なだけに、強烈なアンカリングバイアスが、一線級の科学者にすら働いた。げに恐ろしきは魅力的な仮説であることよ。
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本書は、「日経サイエンス」2015年3月号の「STAP細胞の全貌」特集と併せて読むことで価値が倍増する。
本書が、著者と関係者とのメールのやり取りを中心として、新聞記者の著書なだけに社会的側面が強く描かれているのに対して、日経サイエンス特集は、遺伝子データ解析を通じての科学的推論によって『捏造』という真実に至る過程が描かれていて、好対照である。
STAP細胞事件がこの日本で起きたことは残念ではあるが、安易な博士号取得過程や、研究費獲得のための業績追求なども含めた、日本の科学者の持つ様々な問題点が炙りだされたことを考えると、今後の日本の科学界が正しく発展していくための警告にはなったと信じたい。
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細部のエピソードに面白いのがいくつかあった。例えば小保方氏が単独会見のときにSTAP細胞の再現実験として第三者の「インディペンデントな成功例」もあると訴えた件もこの毎日新聞の後追い調査によればウソだったとのこと。
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TVのニュースやwebのニュースでつまみ食い的に読んでいた「STAP細胞論文ねつ造事件」について、取材の経過を丁寧に追う事でその「ほぼ全貌」が明らかになる。 本書を読む前までは「写真の差し替え」が主な事だと思っていたけれど、肝心の試験体の作成・管理があまりに杜撰でこれは果たして故意なのかミスなのか。 結局「何故」という疑問にだけは迫ることができなかった感。
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【このままの幕引きは科学ジャーナリズムの敗北だ】笹井芳樹CDB副センター長と自殺直前までやりとりを続け、事件の当事者に深く入ってスクープを連発した毎日新聞記者が初めて書く。
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2015.2.8昨年、年初から年末まで話題に事欠かなかったスタツプ細胞についてのルポルタージュ。筆者は毎日新聞東京本社科学環境部記者。自らも早稲田大学大学院理工学研究科修士課程修了。いわゆるリケジョ。なぜ、スタツプ細胞騒動はあのようになってしまったのか、関係者を丹念に取材し、まとめられた。のだけれども、今まで放送されて知っていることばかりだった。
私が知りたかったのは非常に文系的なこと。なぜ、優秀な若山さん、笹井さんが騙されてしまったのか。若山さんは重い処分を受けることになり笹井さんは自殺…。優秀な科学者がかくもナイーブだった事実。科学者は常に実験結果を重視し、客観的事実に従う。まさか自らが信頼する科学者が嘘をつくとは夢にも思わず間違った方向に誘導されてしまった。愚かな一人の女性のために有能な科学者を失ってしまった現実。今後に生かされないといけない。
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今回の「STAP細胞事件」では当初から世紀の発見との発表を信じ取材してきた本人も早稲田大学大学院理工学研究科卒業のリケジョ記者の須田氏の作品。内容は異例づくしの発表記者会見から数多くの不正、捏造の認定そして笹井教授の自殺、理研が進める検証実験は2015年3月末まで続きます。なぜ、早稲田大学も理研も?あのような不完全な小保方氏を評価しすぎてしまったのか???
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STAP細胞事件の顛末を、取材をベースにして追ったルポ。
経緯についてはさすがに詳しいが、それでもなお釈然としないところが残る。笹井氏が自殺をしてしまったことも含めて非常に後味の悪い事件だ。この本を読み終わった2015年2月11日、小保方氏は懲戒解雇に相当するという見解が理研から発表された。
小保方氏が単独で行った不正であるのか。あれはウソでした、と言えずに物事が先に進んでしまい、引き返すことができなくなることはある。そうであったとしても、小保方氏が疑惑発覚後も明確に正当性を主張し、笹井氏がその遺書の中でもSTAP細胞の存在を信じて小保方氏に託すようなことを書いていることの理由がつかない。
第三者の悪意ある操作も可能であったとは思えないが。
別のところでは経済事件の観点も指摘されている。まだ真相の究明が必要なのではないのだろうか。
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STAP細胞問題については、最初ニュースに出たときにはすごいと思ったものの、その後の報道では、発見の意義や今後の見通しよりも、発見者の小保方さんの個人情報ばかりが注目されているのに、非常に違和感を覚えました。
その後、論文に誤りが見つかった、さらには捏造の疑いもあるということになり、今度はマスコミが一転して小保方バッシングに走り出したのも、一時はあれだけ持ち上げておきながら何なんだかな、と思いましたが、僕としてはむしろ、なぜこれほど注目を浴びることが当然予想される大発見で「捏造」などということがあり得たのか、なぜネイチャーの査読者をはじめとする超一流の科学者達が、発表前の段階でその誤りなり捏造なりを見抜けなかったミステリの方に、むしろ興味がありました。
この本を読んで、ようやく今回の問題の構造がかなりよく理解できましたが、それでも自殺した笹井氏は、遺書を読む限り最後までSTAP細胞の存在を信じていた様ですし、小保方氏も世紀の大詐欺師というよりはむしろ、STAP細胞の実在を本当に信じ込んでいて、そのために論文データを無理矢理合わせようとしたという雰囲気で、ミステリは完全には解決されないまま残った感じです。
ともあれ、この本を読んでみても、STAPスキャンダルは小保方氏一人を悪人として裁けばいいわけではなく、理研やマスコミなども含めて、スキャンダルを収めるどころかむしろ拡大させて世界に恥をさらしてしまった責任を、きちんとはっきりさせてもらいたいものだと思いました。
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毎日新聞社に所属する環境部の記者による、一連のSTAP細胞現象に関する記事の連載の経緯とその詳細な内容について纏めた一冊です。専門的な用語についてはわかり易く丁寧に記されているので、一般人にも理解しやすい内容になっています。小保方氏の研究不正に関する当時の関係者の証言などを読んでいると、若山氏や笹井氏など信頼に足る人物がサポートしていたことで、起こってしまった皮肉な事象だという印象を受けました。そもそも小保方氏の博士号取得までの経緯が杜撰で信用に値しない研究者で、もともと彼女が博士号を獲ったこと自体が問題で、根が深いことだと思いました。
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昨年1年のSTAP騒動の記録。昨年末の理研報告で、ES細胞との断定や、OBKさんが生き別れ息子との再会実験失敗確定の前まで。科学記事担当の毎日新聞記者の方が、故・笹井さんとのメールのやりとりなども含めて一連の取材の過程を淡々と時系列で示してくれているので、当時の様子を追体験できた。しかし、これはある意味集団催眠のようなものだったのじゃないか、と感じた。OBKさんは思い込みが激しい人間なんじゃないか。STAPはあります!と信じて実験してるから、見るものは全てSTAPの証拠に見え、頭の中には証拠がいっぱいあるけど記録やらはほとんど取ってないから、頭の中の画像の代わりに適当な”概念的な”画像を結果として見せてしまう。それがいつしか実験結果にすり替わる。論文にこんなデータが欲しい、と言われたら、頭の中のデータでグラフを作ってしまう。それを見た関係者も喜ぶだけで疑いはしない。それを捏造と言われても、本人は証拠を沢山見ている(と信じている)ので、本物はある!と。偉い人たちがそういう人間の言動に飛びついてしまって、しかも同じように思い込んでしまう。関係者の中ではそれが事実であるという既成事実ができあがってしまい、どんな証拠を見せられても、”事実”を前提にしか物事が判断できなくなる。誰が犯人というような問題でなく、集団催眠状態。ではなかったのか。
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『論文捏造』で読んだシェーン事件とまったく同じで、論文掲載誌よりも何も、所属研究所の指導的な立場にある誰しもが世紀の大発見を実視しないまま大々的に発表されるシステムってなんなんだろう。小保方氏が個人的に種々の要因であそこまで注目されなければ、単に再現されない細胞として自然にフェードアウトしていったのかもしれないし。それにしても無惨というか無様な結末だった。各章の中の小見出しの付け方はいかにも記者だ。断定的な表現にそそられるが、本文は遠慮がちな言い回しだったりする。