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診療所の共同経営者を襲った不慮の死は、じつは計画殺人ではないか──市長ハケットからそう言われた医師ターナーは、二ヵ月前に起きた事故の状況を回想する。その夜、故人の妻エリザベスから、何者かに命を狙われていると打ち明けられたこともあり、ターナーは個人的に事件を洗い直そうと試みるが……。
英国本格黄金期の妙味を現代に甦らせた技巧派、ディヴァイン初期の意欲作。
解説=大矢博子
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創元推理文庫版ディヴァイン10作目。創元の刊行順は原書の刊行とは異なっているので、発表順としては2作目となる。
最初に提示される『あの死は事故か? 殺人か?』という謎に、癖の強い登場人物、そして主人公の恋愛模様が混じり合い、一見、混沌としているように見えるが、プロット自体は割とシンプルだった。割と早い段階で怪しい人物が絞られるので、『犯人を当てる』難易度はさほど高くない。半ば山勘でも当てられる読者は多いんじゃないかな〜。
恋愛模様が上手くミステリ部分を盛り上げていて、そういう意味でもディヴァインは上手いのだが、メロドラマ的な部分だけを取り出してみると、主人公に異性としての魅力があるかはやや疑問が残る。まぁ、時代も国も違うので、現代の人間が魅力的に感じなくても仕方がないと言えばそれまで。
内容とはあまり関係が無いが、創元推理文庫版のディヴァインは装丁がどれも好きだ。
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事故とされたヘンダーソン医師の死は殺人だったのではないか?
診療所の共同経営者である僕「アラン」がその疑惑に巻き込まれていく本格ミステリ。
狭いコミニュティ内で交わされる複雑で煩雑な人間関係の描写が巧みで、そこに上手く手掛かりが隠されています。
緊迫した人間ドラマと論理的な推理を楽しめる見事な構成です。
登場人物たちみんなストーリーの都合で動く違和感がありません。どの人物にもこういう人いるなぁ、こういう気持ちわかるなぁ、という親近感があり、それぞれの性格に沿った行動の結果、こういった事件が起こり、そして終わったのだという自然なストーリーの流れが素晴らしいと思います。
作中ではそれぞれがそれぞれの人物を評しており、さがない噂が流れたりしているのですが、こうした言葉に惑わされるのは実生活でもよくあることで、身につまされる思いがしました。
きちんと手掛かりが示されているにも関わらず、人物の印象だけで怪しいなどと感じてしまい、作者の思う壺だったかと思います。
探偵や助手役といった形式がなく、警察がきちんと仕事をしているが故に、キャラクターで容疑者を絞り込むことが難しいのも上手いところ。語り手のアランでさえ疑わしく、作者の描写力に翻弄されっぱなしです。
「英国本格推理小説」という文句がとても似合う良質な1冊。派手なトリックも吃驚仰天な展開もないのですが、「論理の穴」には結構驚かされましたし、味のある雰囲気があって素敵です。
読みやすく、難解でもなければ単純でもないバランスの良い推理小説。とても楽しく読みました。
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市長のハケットから死んだ共同経営者ヘンダーソンの妻エリザベスと会うことを止めるように脅し混じりに伝えられる医師のアラン。ヘンダーソンの死に疑惑がありエリザベスにかかる容疑。事件の捜査をする過程であきらかになる不正や過去の人間関係。
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すべての手がかりを最初にていじしておいてから、その後の人間関係の描写で引っ掻き回す。
ディヴァイン上手いなぁと思うものの、主人公がなぜそこまでモテるのかが今ひとつしっくり来ず。
周囲がクセの強い人物ばかりだから個性のない主人公がよく見えるのか?
そして事件よりも周囲の手のひら返しに嫌な気分になったのだった。
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既刊のディヴァインは全て追っています。
答え合わせしながら読む、2回目の方が楽しい作家。
ちゃんと書いてあるんですけどね。
毎回まんまとだまされる。
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途中まで読み難かったですね… 翻訳の問題かもしれませんが… 最後の最期になってようやく面白くなってきたような… 途中を愉しみながら読めていないのかもですね
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犯人が本当に最後までわからなかった。力技ではなく、スマートな謎解き。語り手のアランを信用できるのか分からず、先が気になって気になって。エンディングも良い。地味ではあるが、すごい好みの作品だった。
13冊しか書いていないが、大好きな作家。
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古典的な作品。
トリックなどはロジカルではあるが、ほとんどの部分は医師とその恋人と未亡人の三角関係に費やされる。肝心のトリックはボヤかされてしまっている。描写が上手いので読まされているが、全体的にはボンヤリとしている。もう少しロジカルさを前面に押し出した作品にして欲しかった。
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ディヴァインの第二長編。
診療所の共同経営者が不慮の死で亡くなって二ヶ月、アランはあれは殺人だったのではないかという疑いをもち事件を洗い直そうとするが…
閉鎖的な町の人間関係ドロドロのサスペンス。語り手のアランも婚約者がいるのに故人の妻に心を動かされたり、右往左往してイライラする。事件の謎は非常にシンプルで全体として地味な作りだが、漂う緊張感で後半は一気読みだった。
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おもしろかった!登場人物も好感持てるし、特に女性がかっこいいのがステキ!華麗な騙されて、気分爽快です。筋もちゃんとしてて、ほんと上手だなあと思いました。そしてアラン先生もかっこよかった!
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診療所の共同経営者を襲った不慮の死は、実は計画殺人ではないかー市長ハケットからそう言われた医師ターナーは、二ヶ月前に起きた事故の状況を回想する。その夜、故人の妻エリザベスから、何者かに命を狙われていると打ち明けられたこともあり、ターナーは個人的に事件を洗い直そうと試みるが…というのが裏表紙にあるこの作品の粗筋です。
アガサ・クリスティの賞賛を受けてデビューしたという作家さんなのだそうで、本作はその二作目に当たるのだとか。オビや解説に寄せられた「フェアプレイを貫く正統派本格、英国本格黄金期の妙味を現代に甦らせた技巧派」という言葉に誘われて手に取ったものの、クリスティと言えばーなわけで、一筋縄ではいかないのだろうと思っていました。
物語は一人称、医師アラン・ターナーの視点で語られてゆくのですが、そこを怪しく思ってしまうのは推薦者の影響でしょうか。ターナー医師は、故人の妻エリザベスと関係があったという噂を広められ、セリフの中では否定をする一方、心情としては何やら惹かれている様子なんですね。そして、エリザベスの方も惹かれている様子。
共同経営者である亡くなったヘンダーソンは、暖炉の部屋で頭をぶつけ意識を失い、そのままガス中毒で命を落としたと一応の決着をしているのだけど、もし、それが殺人だとすると、その部屋へ入り込めた人間は二人しかおらず、一人はエリザベス、もう一人はターナー医師ということになるのです。
ターナーはエリザベスを疑いつつ、本人や関係者の話を集めていくのだけど、その過程でそれぞれの思いと言いますか、考え方と行動に合点いかない部分が出てくるんですね。疑われることを承知で何故そういう行動を選ぶのだろう、とか色々。
この犯人捜しが終わる頃、当然これらの謎が解けていきます。それぞれに都合があり、彼らの言動や言葉は責められるものでないのだけど、結局信じられるものが何なのか分かった時、登場するある人物の言葉たちが切なく甦るんです。そして大団円となる中、その言葉が余韻となって吹き抜けていく。
犯行のトリックといったものはないに等しく、人の言動や行動といったところから、犯人を絞っていくフーダニット。丹念に丁寧に読んでいけば、早い段階で犯人を指摘できるかもしれません。実際、読了するとそのヒントの質に驚きます。フェアプレイの言葉に偽りなしです。でも、本書は犯人当てに執着せずに通して読んで、エンディングを迎えてほしいな、なんて一方で思ったりします。
エンディングには好き嫌いがあるのかもしれないけど、私はこんなどことなく切ないエンディングが好きです。
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ちょっと期待が大きすぎたか。今に残っていない古典が幻の傑作であることはやはり稀なのだなと。テンポ・展開・意外性、どれも現代ミステリに比べると一つも二つも落ちると言わざるを得ない。4.5
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作品として上手くまとまっている感じ。
ただし、ミステリとしては平凡かな?
恋愛や金銭トラブルなど、人間ドラマがメイン。
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お楽しみに一つずつ読んでるディヴァイン。「本格力」でも取り上げられてて、そうそう、と思い出して読むことに。
やっぱり読みやすく面白い。本格ものにしては理屈っぽすぎないし、陰惨でもない。これで登場人物がもっと魅力的だったら言うことないんだけどなあ。