紙の本
裁判のあとのパワーダウンが悔やまれる
2017/12/14 22:28
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投稿者:J・P・フリーマン - この投稿者のレビュー一覧を見る
前作の「護りと裏切り」みたいに法廷で決着がつくのかと思いきや、ヘスターの裁判の後に犯人探しをもう一度やるとはね。最後のほうに意外な真相がぽろぽろ出てくるけど、裁判のシーンが一番良かったかな。
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ニューゲイト監獄に送られたヘスターの絞首刑を防ぐため、真犯人を突き止めようとファラリン家を調べるモンク。だが、手がかりは皆目つかめない。さらに頼みの綱である法廷弁護士ラスボーンは、スコットランドで裁判が開かれるため、ヘスターの弁護人として法廷に立つことができない。窮地に追い込まれたヘスターを救う手立ては?
そして裁判を経て明らかになる事件の真相は?
解説=若林踏
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歴史ミステリの力作です☆
19世紀後半のイギリス。
看護婦のヘスターは、濡れ衣を着せられて逮捕されてしまう。
スコットランドでの裁判なので、有能な弁護士のラスボーンも、公式に担当することができない。
元警官で私立探偵のモンクは事情を探るが、なかなか真相は見えて来ない‥
ヘスターを愛する二人の男達は?
上巻では、当時の雰囲気や事情をたっぷり書き込み、ヘスターが窮地に追い込まれていく展開でした。
後半はかなりアクティブに、どんどん事実が明かされていきます。
当時の上流の女性たちの、礼儀や偏見に押さえつけられているようでいて意外に行動的な面も明らかに。
かのナイチンゲール女史も、ヘスターの人柄の証人として出廷、まわりを圧倒します。
三人で捜査に当たるというシリーズなのですが、この三人の微妙なバランスも読みどころ。
男二人はかなり愛情を自覚し始めた様子。
率直で勇敢なヘスターは、飾り気がなくて美人というほどではないけど外見もまあ悪くはなさそう。
何よりも他にない個性で、忘れられない存在になっていくようです。
ヘスターは教養があって優しいラスボーンには好感を抱いていますが、すぐぶつかるモンクのことは喧嘩友達ぐらいにしか思っていない。
モンクのほうは、ヘスターは気が強すぎると思っているし、自分に記憶喪失というハンデがあるため、積極的にはなれないでしょう。
でも傍目には‥何となくお似合いに見えているかも?
読み応えのある展開の作品でした。
続きも楽しみにしています!
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ウィリアム・モンクのシリーズ4作目。
勇敢な看護師ヘスターが殺人容疑で裁判にかけられます。
絶望的な状況の中ヘスターの無罪を信じで奔走する敏腕弁護士ラスボーンと私立探偵モンク。
アン・ペリーの描写は本当に素晴らしい。事件の謎や人間関係から、そこへ時代の空気感や主要人物の性格まで、違和感なく、魅力的に描かれています。
結末も気になるのは当然だけど、とにかくその過程が面白い。かのナイチンゲールも登場します。本当に胸のすくようなシーンですよ。
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記憶喪失の元刑事モンクと、看護婦のヘスター、弁護士ラスボーンのシリーズ。
エディンバラからロンドンへ老婦人の付き添いにやとわれたヘスターだったが、列車の中で婦人が急死する。
ヘスターは、殺人犯として捕らえられ裁判にかけられる。
19世紀末のイギリスの上流社会を丁寧に描いているのが魅力シリーズなのだが、ヘスターいなくて大丈夫なの??って思った。
モンクもラスボーンも有能なのだけど、常にヘスターが得てくる情報によるところが大きかったのに、そのヘスターが身動きとれない状態になるなんて。
しかも、エディンバラでの裁判になって、ラスボーンは弁護ができない。
四面楚歌の状態でどうなるとはらはらしてたら…。
人間、常日頃の行動がやっぱり大事だよねと思うよ。
で、やっぱり三人揃って、というかヘスターがいてこそ物語が動き出す。
事件そのものは、なんとも後味の悪いものだった。
ストレスって、とことん人間を歪ませるんだね。
で、三人の三角関係(?)みたいなのが、じれったく微妙になっているのが一種の清涼剤でした。
いやあ、この慎み深さがくせになります。
じれったいが、まだまだこのままでいてほしいです。
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シリーズ邦訳、第4弾。
1巻目を読んだ時から大好きで、ずっとずっと翻訳を待ち焦がれているのだけど、ようやく4冊目。
翻訳者の方、ありがとうございます!
ヴィクトリア朝が舞台なこと、モンクの記憶喪失、ヘイリーの凛々しさ、2人+1人の恋愛未満模様など、好きなポイントはいくらでも。
また、事件はちゃんとその巻で解決するものの、肝心の設定はじりじりと亀の歩みなので、その辺のやきもき感がハンパない。
ミステリーとしてもご立派。そうきたか、というハラハラドキドキが、最後まで続いてくれる。
ナイチンゲール登場には、もちろんフィクションだけど、思わず拍手したくなったよ。
ヴィクトリア時代に、これほど整然とした裁判が開かれていたかどうかは知らないが、面白いからもっとやってください。
とにかく、続きを! ぜひ!