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これはまさに戦争の地獄。内容としてはドンパチ戦うものではなく、戦いから弾かれてしまった軍人が気が狂うほどの状況をとてもリアルに描いている。
戦争映画なんかよりもとても生々しく、ここまでの描写を文字で表現できることに感心した。
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[これは戦争なのだ、これも戦争なのだ]そしてこれが戦争なのだと思う。あの時の日本軍の戦争なんだ…。実際に戦って亡くなった人よりも餓死で亡くなった戦死者が6割にものぼるという現実。
一兵卒の目から淡々と紡がれた何かもかもが欠乏している戦地での有り様は戦うことよりも生きること生き残ることの惨たらしさをまざまざと見せつけてくる。
祖父は南方に出征しマラリアに罹って内地に送り返された。今にして思えばそれはとても幸運なことだったんだな。もっともっと話を聞いておけば良かった。
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太平洋戦争のパプアニューギニアで負傷した一兵士の記録。
実際の戦闘シーンは多くありません。前半の多くは野戦病院。十分な医薬品もなく、戦傷や風土病などで亡くなっていく兵士たち。悲惨だけど、銃声もなく一時的な平和にどこか空白感が漂います。後半は長く悲惨な敗走シーン。敵兵に遭遇することも無く、ただ病気や飢餓で次々に路傍に打ち捨てられて行く兵士たち。
感情は動きます。しかし昂じない、激さない。どこか冷静。悲惨さを静かに受け入れ、淡々と描きます。その客観性が深く染み込んできます。
若い作家さんが、なぜ戦争をテーマにした作品を描いたのか。「反戦・平和主義」と言った思想性では無さそうです。たまたま知った戦争の悲惨に興味を持ち、それを表現したものだと思います。
読み応えたっぷりの中編でした。
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太平洋戦争での日本兵の戦没者・約230万人のうち、一説では6割ほどが病気や餓死などの戦病死と言われています。充分な食料も持たずに遠征。補給線も貧弱で食料は現地調達。反撃を受け侵攻に失敗すると食糧不足に陥る。直接的な餓死だけでなく、食料不足から体力が低下したための発症・病死が多い。
さらに言えば。。。
民間人(110万人)を含めた死者数は日本全体で310万人。これに対し日本軍占領下のインドネシアでは、飢饉と強制労働によって約400万人が死亡したそうです(国際連合の報告)。