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太平洋戦争で野戦病院に収容された兵士。激しい戦闘シーンはない。戦ってない、でもこれも戦争。戦争のごく一部。兵士の虚しさ、疲れ、諦めなど反映しているからか激情がなく淡々としている。
短い話だが、描写は迫力や心揺さぶられるほどの感情を持つことはないけど、詳しくて新人賞をとり芥川賞候補にもなったのはなるほどと。戦争以外を書いた時どうなるかな?
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召集令状が来て兵隊さんになった末にこんなことになろうとは、だれも思わなかったんじゃないかな。
日本人の我慢強さを再認識した。
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芥川賞候補作(受賞したのは九年前の祈り)
戦争を知らない世代が描く戦争もの。
最前線で戦うというより怪我でそこを外された兵隊達がクローズアップされている。
『九年前の祈り』よりは好みだが何か鬼気迫るような感じがしなかったのが、残念。
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指の骨 戦地にて、苛まれゆく心
2015/3/4付日本経済新聞 夕刊
話題の小説だ。戦争を知らない世代が描く「戦争小説」として、注目された。第152回芥川賞候補にもなった。
とにかく描写が巧(うま)い。小説を構成している要素は様々あるが、文章力に申し分がなく、描写や比喩が卓越していれば、それは純粋な意味で、すぐれた小説なのではないか。そんな気にさえなった。
太平洋戦争末期。「赤道のやや下に浮かぶ、巨大な島。その島から南東に伸びる細長い半島」。ここが小説の舞台だ。主人公は怪我(けが)をし、野戦病院に入り、そこを出て、さまよい歩く。丁寧な心理描写が嫌味にならない程度に書き込まれる。主人公は、戦争への疑問に苛(さいな)まれ、徐々に気力を失っていく。
この小説をめぐって様々な議論がこれから起こるだろう。すでに賛否両論、ある。戦後70年という区切りの年にリリースされるという時期的符合も拍車をかけるだろう。
戦争を描くこととは何か、何を描けば戦争を描いたことになるのか。原初的とも言える問いに、この小説は私たちを立ち返らせる。それだけの力を持った小説であることだけは確かである。
(陣野俊史)
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図書館から借り出してみたら、意外と薄い本であるのには少々驚いた。前半を読んだところでは、いかにも調べて書きましたと言わんばかりの旧軍隊の呼称とかが出てきて鼻白むし、文章表現も世評ほどのものは感じず、途中で放り出そうかとも思った。まあ、薄い本だしと、最後まで読み続けたら、終盤は素材の厳しさもあって少しは読むスピードが上がってきた。補給路も考えず、現地調達(つまり略奪)をむねとした日本軍の末路の悲惨さは、インパール作戦等の戦記や小説で読み尽くしたところがあるので、さほどのインパクトはない。日本軍が戦地で、おのれの兵隊に対して何をしたかということの「歴史認識」もない人たちには、戦争の酷さを知るのには2時間もあれば読めるので、短くてちょうどいいのかもしれない。しかしそれだけの本でしかない。日経記事の推薦文を書いた陣野俊史という自称・批評家に騙された気分になった。若い人は「失敗の本質」を読んだ方がよほどためになる。
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エンタメ的な要素もあって、個人的にはとても読みやすかった。
この題材でありながら、少し笑ってしまうような場面も。
部分的に現代的な表現もあって、
たぶん意図的にやってるっぽい。このへんに妙な魅力を感じる。
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ある兵士の回想。幼なじみと踏んだ戦地、九死に一生を得て過ごした病舎での日々、負傷兵達との交流と死別、そして退却行軍への参列。
手榴弾を抱える手、死に向かう覚悟、水晶の目、カナカを描いた10枚の鉛筆画
戦争を知らない世代が描いた、戦場の生と死、それを見つめる普通の個人。生きようとする日常と、隣り合わせにある死の観察。同列の平坦さで語られる、大袈裟でなさがより実感を伴ってやりきれない。
正義とか勇気とか悲劇とか、わかりやすいテーマでないから読みやすくはない。でも個人的にはだからこそ読めた。茶番感が少しでもでてしまっては読み進められなかった。得るものがあった確信はなくとも、苦手な戦争ものでも読んで後悔はなかった。救いのない物語に違いないけど、たぶん絶望を描いただけのものでもないからかな。
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戦争を描いた作品。受賞はならなかったものの、芥川賞候補作です。戦争というと空襲や原爆を思い浮かべることが多いかもしれませんが、これは南方戦線の話です。戦っている場面より、野戦病院とその周囲の話が多いくらいで、野戦病院の一種長閑とも言える描写は、このまま戦争が終わってくれたらいいのに、との願いを抱かせます。しかし再びやってくるのです。野戦病院は絶海の孤島とも言うべき非日常の楽園でした。戦争という理不尽な日常に叩きこまれ、死んでいった若者たちが、あの当時どれほど多かったのだろうと思うと、胸がつぶれるような気持ちです。とくに野戦病院からあとの戦争は、何と戦っているのか、戦いであるかどうかも分からない、まるで死ぬのを待っているかのような戦いです。ここを凌いで運よく帰国できたとしても、見聞きしたことは絶対に語らないだろうと感じました。その意味でも、この作品は読まれる価値があると思います。描写も素晴しく、情景が目に浮かぶようでした。
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リアル。淡々と戦場が描かれて、情景はなるべく浮かばないように読むのが大変。これはもっと世に読まれるべきだ。
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戦争を知らない世代が書いた戦記物、芥川賞候補作ということで、かなり話題に上った作品。
ボウルやイレギュラーという言葉に違和感を覚えたのが、少々残念。
しかし、ボルネオの密林に放り込まれたような描写力は素晴らしかった。また、タイトルになっている指の骨のエピソードもよかった。
今後は等身大の作品を読んでみたい。また、一人楽しみな作家が出てきた。
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戦地でのある兵士の姿。
次々斃れてゆく仲間。ある者は敵兵の銃弾で、またある者は病によって。
野戦病舎での暮らし、地元民との交流、ささやかな愉しみ。描かれるのは、兵士というより、ごく普通の青年の日々。「普通」でないのは、そこが戦地であるということ。
数千、数万の兵士達にも、それぞれに出自があって想いがある。当たり前だけど、こうして描かれるとそれを一段と強く感じる。
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1979年生まれの方が書いた太平洋戦争。
南方の島で野戦病院に収容された日々がたんたんと書かれています
誇張された表現ではなく冷静に描写してあり、文章が読みやすく、すごい表現力だと思いました。
次はどんな作品を書くのでしょう♪
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戦地での、ある兵士の姿。
次々斃れてゆく仲間。ある者は敵兵の銃弾で、またある者は病によって。
野戦病舎での暮らし、地元民との交流、ささやかな愉しみ。描かれるのは、兵士というより、ごく普通の青年の日々。「普通」でないのは、そこが戦地であるということ。
数千、数万の兵士達にも、それぞれに出自があって想いがある。当たり前だけど、こうして描かれるとそれを一段と強く感じる。
takada
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同世代の人が書いた南方での陸軍の悲惨な末路を書いた本。評判いいと聞いて読んだけどグロテスクな描写が続くだけで時系列も人間関係もよーわからんかった。
実際、そんなもんやったんかもしれんけど。。
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太平洋戦争の一兵卒の話。戦略の話は抜いて、純粋に戦争に参加した人の目線で記されている。あまりに悲惨、それをある意味受け入れた人の目線で。幼い子供がいる、天職をもつ、ほのかな恋心をもつ、様々な周りの人の想いを受け止め、帰ろうとするが。。
悲惨な話が静かに美しく綴られ、とても面白かったです。「少年は戦場に旅立った」と背景は似ていますが、作品としては別の味わいですね。