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新聞の書評で興味を持って読んでみた。最初は短編集かと思うほど章(?)ごとに話がバラバラでよく理解できなかったが、我慢して読み進むうちに、同じ場所をめぐる色々な時代の話で、それぞれも関連していることが見えてくる。
それはそれで面白い気もするが、正直言って難しい小説だった。純文学のようでもあり、風俗小説のようでもあり、戦争、テロ、人種差別、人権、スキャンダルジャーナリズムなど、世の中の問題や世相をこれでもかと盛り込んでいる。アメリカ文学っぽいなあという気はするが(著者はインド系英国人らしいが)、十分消化できなかった。
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オカルトに対する忌避の感情は、どこから生まれるのか。本書を読んで唯一といってもいい脳の反応は、その問いに対する答えを求めようとする時だけであるように思う。オカルトという言葉を実は宗教に置き換えても同じことであるとも思うのだが、そこに歴然とした差を認識する人もまた多いことも理解している。その説明出来るような出来ないような差について本書は描いているとも言えるし、何も語っていないとも言える。要するに、ここには解りやすいプロットやテーマのようなものはなく、深く感動するような物語があるわけでもないのだが、妙に気持ちがざらつく感じが残るのである。
オカルト的なものの手強さは、思考停止状態の人間に思考を強要する時の手強さということ。あるいは、存在の証明が出来ないことが、非存在の証明ではないとする、二律背反から抜け落ちた論理の手強さと言ってもよい。この考えることを止めさせ、やたら、感じなさいとか、信じなさいとか、言い寄って来るの者の放つもの、それが忌避を呼ぶものの本質だと自分は思う。その対象が神と呼ばれるものてあろうと高い文明を持つとされる宇宙人であろうと違いはない。
神は自らを助くる者を助く。その言葉の中の神の役割を、触媒のようなものだと考えるか、救済者として捉えるか。そのことばかりが頭の中をぐるぐると巡って止まない。
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またしても木原善彦さん訳。
訳文もさることながら、作品紹介のコンシェルジュとしても信頼しているところがあり、なんとなく選んでしまう。
で、今回も例外なく楽しい読書でした。
『民のいない神』というタイトルの真意は、「神から生じたものは全て、神を見つめ返すときにのみ生を得る」という一文に集約されていると考えてみる。
神々はそこにいる。が、多くの人間は神を見つめることもない。すなわち「生を得る」こともないままだ。
本物の宗教体験に突き動かされて、というより、親族や歴史のしがらみから受動的に信仰を選択し、他を排除する人々。
在米イラク人たちの複雑で奇妙な信仰のあり方。神の介入する隙もない、人間たちのグロテスクな社会。
現代はいまだ生を得ていない者たちで溢れる「民のいない」砂漠だ。そこで思いもよらない奇跡を体験した人間は、神を見つめ返せるのか?
というようなことを考えながら読んだ。
不可解なことも多く、いろいろ考察とか読んでみたいけど、日本語のものはあまりネットとかには無さそうだった。
とはいえ、本書は謎解きを楽しむ作品とも違うような気がする。むしろ“不合理ゆえに吾信ず”っていう心構え、神話的想像力みたいなものを必要とする小説だと思った。
個人的には、イラク派遣の模擬演習のために作られた虚構の村ワジ・アルハマムの章が忘れがたい。中東の少女がナイトビジョンで米軍人たちのゲームのような視界を追体験するシーンに言葉を失う。
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豊崎由美さんが来福し、rethink booksでイベントをやった際に『ゴールド・フィンチ』関連でお薦めいただいた。
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白水社エクスリブリス「民のいない神」読んだ https://hakusuisha.co.jp/book/b206384.html 面白かった!前半はどういう話なのか全く判らずもやもや読んでたのが中盤から俄然おもしろくなり猛スピードで読み終わり、最初に戻って読み直したほど。これだから読書ってわからない。訳は最近気になっている木原善彦さん(おわり
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評価が高かったので期待していた。読んでみると先住民とか宗教とかマイノリティとかよくある話を詰め込んでみました本。
出てくる人の誰にも共感できないのだが、女性の登場人物が全員貞操観念低めで短絡的な行動しがちなのは疑問。