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絶望の幼年期を過ごした男。 生き延び、数々の犯罪に手を染めていく。
男を突き動かしているものは何か。
心を殺し続けた男が最後に見せる思いは、驚くほどに純粋だった。
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もうね、なんというか「貫井」と書いて「りふじん」と読む、そんな感じですよ。
このラストの展開に思わず「嘘でしょ!?えっ!?そんなバカな!?」と目を剥いてしまいました。でもこの結末を「バカな!?」と思えるのは、自分が本当の意味での真の絶望と、その絶望の中でひと筋の光に救われたことがないから、なのだろう、とそう思う。
理不尽な、あまりにも理不尽な人生だったけど、もっと他の道もあったのに、とも。彼の人生の中で何度も別の道を示してくれる人もいたのに。差し出されたその手を振りほどいてしまうほど、彼にとって「絶望の中の光」は大きな存在だったのでしょうね。
求め続けたものが希望とは言えない光であっても、その人生が理不尽に埋め尽くされていたとしても、彼が最後に必死に守ろうとした、その思いが辛い。
でも、彼に言いたい。それは間違っている、と。あなたが守ろうとしたものはこの結末を決して喜ばない、と。「お前に分かるものか」と言われるだろうけど、それでも言いたい。「明日を見て生きようよ」と。記憶を封印して生きていこうよ、と。
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終盤に至るまで、主人公・峰岸晄の行動理由がはっきりわからなかった。おそらく、親の愛情を知らずに育ったがために形成された人間性によるものかと思っていた。
しかし、本当の理由が明かされたことで、その推測の浅さを知ることになった。
人間はどんなに絶望的な状況に置かれても、「我が心に差す光」の存在があれば生きていくことができる。
そして、それを失うと「無温の世界」を生きることになり得る。ということを峰岸晄に教えられた。
「我が心に差す光」は、人それぞれ違う。そして、それを他人がはかり知ることができない、ということも胸に刻んでおかなければと思った。
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読後はやはり、やるせなさで一杯になった。読み始めから暗くてしかたなかったが、読み進めていくうちにきっと主人公は救われるだろうと予想しながら読んでただけに辛かった。もう、猫のために半生を生きたようなもんじゃない。颯太が出てきた時にやっと、こうは、友達が出来てまっとうに生きれるかとおもったのに…しかし、トラスケと、こうの場面は読んでて涙が止まらなかった。たった1人の友達。闇の中の一筋の光。クズ親のせい復讐にしか生きられない、こうが憐れで。けれど、最後、慎司との回想場面で、友達って言葉に救われた気がした。トラスケだけじゃなかったんだね。友達は。
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重いっすね。まあ、帯に“全編を覆う『無温の世界』”と書いてあるだけのことはある。ちょっと受け入れ難い結末ではあるけれども、こちらの望みどおりにはいかないか…。って感じかな。でも嫌いじゃない作品。
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貫井作品の1ファンであり、重い作品も何度も読んできた僕でも、本作はかなり覚悟して手に取った。ここまで境遇に恵まれない主人公は初めてだからである。
親の愛情を知らずに育ち、父は殺人犯で、母は死に、当然のごとくいじめに遭い…帯だけでたくさんになるような設定だ。物語は、主人公の晄(こう)が14歳のときから始まる。彼の人生は既に諦観に支配されている。不良たちにいちいち逆らうのも面倒臭い。
予想したほどの辛さ(十分辛いが)はなく、16歳、19歳と進み、晄はいわゆる闇金で働いていた。彼がこんなに肝が据わっていることに驚く。並行して語られる、幼少時代のエピソードに絶句する。晄の行為は、第二、第三の晄を生む…。
21歳。今度は不動産に関わっているらしい。晄が、何らかの意図を持って罠に嵌めようとしているのはわかるが、ターゲットと晄の関係や目的などは、この時点ではわからない。あまりに鮮やかな手口。金儲けがしたいわけではないらしいが…。
25歳。前の章の大仕事と比べると嫌がらせレベルだが、その執拗さに恐れ入る。晄が誘った青年は、晄に似ているようで似ていなかった。彼は晄を案じていたし、晄もわかっていた。せめてきっぱり縁を切るのが、晄なりの義理なのか。
そして29歳。晄の目的は最終段階に入っていたが、重大な誤算が生じる。何たるタイミングの悪さ。読みながら、おいおいと突っ込んでしまった。そして読者はようやく知る。晄が拠りどころにしてきた、心の底の光とは。そんなことかよと、誰に言えるのか。
クライマックスの展開には、ええーっ!と、茫然とせざるを得ない。晄の心の底の光に比べれば、その程度の優先度だったのだ。そうとしか言いようがない。あんまりじゃないですか貫井さん…。これから読む方は、心して読んでいただきたい。
晄の心は、誰にも開かせることができなかった。ただ一つの存在を除いて。
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心の底の光が何だったのか、分かりませんでした。
何故その人をターゲットにするのか、理由が明かされるのが最後になっているのは何故なのか分かりません。
また、その理由付けも弱く、その人にたどり着いた経緯もかなり省略されていていましたが、大事なポイントだと思うのですけど、残念です。
時系列で話が出来ていますが、いろいろあって、うまく繋がって読めませんでした。
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あまりにも悲惨な境遇を生き抜いた一人の少年。彼は長じるにつれ、さまざまな犯罪を計画し、実行していく。その目的がいったい何なのか、というのがメインの謎ではあるのですが。
……うわあ。この結末にはもう絶句するしかありません。彼が孤独と絶望の底で救いを求めた「光」がいったい何だったのか。そして何のために復讐しようとしたのか。その真相はあまりにも悲しくて、やりきれなくて。
こういう事件は現実にも少なくないだけに、暗澹とした気分になってしまいました。
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なんの為に手を汚すのかが分かって物凄く悲しくなった。
動機は逆恨みに近いので唖然とする。。。
子供は親を選べない。
だから親になる資格審査とかマジであった方が良いと思った(¯―¯٥)
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貫井さんらしいと言えばそれまでなのだが、重苦しいんですけど・・・。ラストに何か光が見えるのではと思っていたが、それも打ち砕かれた。主人公の晄は満足したのかもしれないけれど。
晄は幼い頃から母子家庭で育つが、母親が育児放棄気味で孤独に唯一の友人の猫と過ごす。餓死寸前までになり、母親も死亡。従兄弟の家に引き取られる。学生時代は耐えて過ごすが、唯一の理解者であり晄に好意を寄せる美しい怜菜がいるのが救いだ。社会に出て過去の復讐に生きるが、その目的を達するために怜菜まで失う。復讐の原動力が昔の唯一の友達だったのも話の暗さを増す。話は良くできており面白いが、いかんせん・・・
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久しぶりのレビュー☆
貫井徳郎の読後感のだるさがクセになる。
今回も異常な人生を歩んできた主人公の復讐物語が、最悪な結末を期待させます。
免疫のない方にはオススメしません、三日くらい体調崩すかも(笑)。
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2015.3.4.追いかけている貫井さんの新作。それぞれ唐突で脈絡なく思える晄の犯罪がずっと不思議でわけわからなかったが、最後になっては〜?っと思った。私はは〜?っていうリアクションが嫌いで日常絶対日常使わないのだが、読み終わった後アタマに浮かぶのは、は〜?しかなかった。そういう意味ではこのリアクションは優れているなあと変な感想を持った。どうしてこんなにコネ繰り返した動機が必要なんだろう。子供ならわかる。成長してこれはおかしいでしょう。何より一番わからないのは最後の救出場面、なんでいっぺんに済まさないの?人の心を育てられなかった晄の設定ということなのかもしれにいけど、二度手間になることはわかるでしょう。中途半端にせず心配ならそれから突入すればいいじゃないかとおもった。奇をてらっている…としか思えなかった。大好きな貫井さんなのに、また、残念。なぜ、共感を覚えないか最近読んだ作品と比較してわかったように思う。作者は、申し訳ないがご自分の作品の材料として主人公の生い立ちを利用しているとしか思えない…と感じさせてしまうところが弱いのではないだろうか。
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普通の人にとっては「は~?」な動機でも、それが唯一の光だったんだからしょうがないじゃん。それしか光と思えるものがなかったんだから。悲愴感を覚えても、不思議には思えない。
ハッピーエンドやん?
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今一つこのストーリーに集中出来なかった。無責任な母親に育てられというよりほとんど存在を無視され地獄を見せられた日々。その母親はあっさり死に至る。後は復讐劇だが、いまいちな感じだ。その理由が最終章にあったが、それもいまいち。このところずっと期待して読んでいるが、なかなか期待以上はない。以前のような作品を期待したい。ひょつとすると自分の嗜好が変わったのかも知れない。
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図書館にて。うーーん。なんだか最後がちょっと残念。でも、主人公の人生を数年置きに設定して書いていたので、合間、合間の空間を想像しながら読めたのはよかったかな。