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著者は2014年の春までの約半年間台湾に長期滞在した。その時の見聞を著した本である。韓国留学の経験もある著者と私には共通点がある。10年間韓国旅行ばかりして、最近台湾旅行もしてきた私と比べれば、ちょうど彼は「big私」ということになろうか。そのためか、とっても共感する所や、次回台湾旅行に役に立ちそうなことが多く書かれていた。再び言うが、著者はbig私なのである。あくまでも旅行者の視点でこの本は書かれている。
本の構成は三部から成る。台北見聞記と、媽祖(マーツ)巡礼、台南ブラ歩きである。
台北で詳しく描写されている龍山寺から西門町を経てさらに台北駅の北側の辺りは、まさにこの前の旅で私が集中的に歩いたところ。私の見聞がいかに浅いものだったかを、まざまざと見せつける。龍山寺前の公園のような一画の賑わいの秘密、寺の屋根にある装飾は「せんねん」ということを初めて知る。私たちが飲んだ華西商店街の北側にある青山宮の物語。西門町の歴史、迪化街の物語。第三部の台南のブラ歩きも素晴らしく、次回旅行時に持ち歩くか、出発前に読んでおきたい本になった。
著者はいうまでもなく、映画評論家である。いろんな台湾映画人、作品が出てきて、その意味でも非常に参考になった。
特に「海月七号」と「セデック・バレ」を監督し、「KANO」をプロデュースした魏徳聖(ウィ・ダーシェン)の評価については、ほぼ同意する。「KANO」についての長い紹介と評論がある。これが「セデック・バレ」と対の関係にあること、自己回復の物語であること、前半で水は暴虐を尽くし、後半ではそれを制御すること。日本の植民地統治に様々な部分で異議を唱えながらも、それを内面化する過程を描いたこと。いい評論だった。ただし粗筋の紹介で、決定的な事実誤認が幾つかあった。訂正を希望したい。
学生の立法院占拠、媽祖巡礼の記事は読み物としてドキドキし、楽しかった。現代台湾が、まさに歴史を生きていることを知った。次回の旅行は、少しでもその残り香を嗅いで来たいと思う。
2015年4月23日読了
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台湾紀行とあったので、台湾暮らしの軽いエッセイを想像して読み進めたところ、まったく最初の予想と違っていた。
街の成り立ち、映画、媽祖信仰、、とても深く学術的なお話が含まれておりすべてがとても興味深い。
私がいままで見聞きした、台湾の本や映画のお話がでてくると少しうれしく、より台湾への好奇心が刺激される。もっともっと台湾を知って、再び読み返したら今回理解できなかったところもまた理解できるようになるかしら?自分が楽しみ♪
とくに魏徳聖KANOの深読みじゃない?と思えるほどの観かた、媽祖の進香日記が面白かった。(媽祖が日本にもあるとは!?と驚きで、大久保の比較的新しい媽祖も見に行きたいと思った)
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映画評論家である著者が台湾に長期滞在した経験をもとに書いた紀行。台湾は政治的に微妙な立ち位置にある。この本からもそれが垣間見れる。
東日本大震災の時に台湾が日本に寄付した金額が世界最高額だったことを知っている人はどれくらいいるだろう。この本で台湾という国を知って欲しい。
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実体験に基づき書かれた本は面白い。まそ巡礼の話が印象的。それにしても、まそ様は神ではなく実在の人間だったのか。。。新大久保のまそ廟にも行ってみたい。
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興味深く読めた。
日本とも関わりのある媽祖の話、胸を打たれた太陽花学連、尊く過酷な進香日記…。
台湾映画や詩歌などについてもいろいろ触れてあって興味が湧いたので、手始めに知人にも薦められていた「KANO」を観た。とてもよかったのでKANOの部分を読み返したら、記憶だけで書いているのか内容がちょっと違っている部分があって若干萎えてしまった。ネタバレにならないように敢えて間違えて書いたのかな。まさかね(笑)
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すぐ隣の国なのに、その歴史も含めて台湾のことなどほとんど何も知らないということを再確認させられた。だいたい、「本省人」と「外省人」の違いすら知らなかったのである。
少なくとも、旅行のガイドブックなどを読むより、台湾のことを深く知ることができることはまちがいない。