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本書は著者の講演録である。
この本で著者の以下の2点の言葉が印象的でした。
一点めは、
中学でも、高校でも、ほぼ明治時代の条約改定あたりまで。
その先はほとんど教えていない。
理由は2つある。
ひとつは説明しにくい歴史であること。
二つめは、大学入試での出題頻度が非常に低いこと。
そんな理由で日本の近現代史は途中で終わってしまう。
自分が生まれた国の歴史を勉強しなくていい。知らなくていいなど、世界中どの国を
見渡しても、ただの一国もないはずです。
二点めは、
著者の歴史観。
ここ150年間の近世と近代を舞台としたどこかしらを書いているうちに、
人間の社会の本質的な変容に気が付いた。
科学は経験の累積によって確実に進歩をとげるが、
人類が科学とともに進歩していると考えるのは、重大な錯誤である。
人間は時代ととも進歩ではなくて変容し、あるいは退行しているのだと
謙虚な認識をもたなくてはいけない。
浅田節が炸裂した講演本で歴史熱が沸々と湧き出る良い本である。
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あとがきで判明しますが、講演録かよ!!笑
どこにも書いていないから、いったいこの本は何を目的としてどのような文脈で書かれたのだろうか?と、しかしまあ浅田先生の歴史話は楽しいからいいか、とライトに読みながら進んでいったら、最後に書いてありました(笑)。別にいいとは思うのですが、なんとなく自分は(とくにハードカバーの本には)まえがきが欲しい系の人間なのだと思いました。
感想は「浅田先生の小説を全部読みたくなったな」という感じだったのですが、これもご本人が自作のブック・ガイドです!とあとがきで言っておられたので、ほんとにそうだったんだ‥と思いました。笑
個人的には、江戸時代に焦点をあてた、参勤交代や藩や家にまつわるエピソードがおもしろくて好きです。浅田先生の一貫した歴史へのまなざし、姿勢が、とても素敵なので安心して読み進めることができます(新聞広告のアオリ文がまじで煽りになってしまっていてどんな方向性の著作なのかと一瞬心配しました)。
図版も入っていてこの字数なので、新書のほうが売れただろうになぜハードカバーにしてしまったのだろうと不思議です。内容的にも新書向き、というか、ちくまプリマーあたりから出して欲しかったなと思いました。装丁は鈴木成一デザイン室ですが、こういう装丁にしてしまったのも謎でした。とくに今回の内容は中高生でも楽しめるもので、むしろ中高年の方が読むには易しすぎるきらいもあると思うので、もっと若者を意識したデザインにして売り方を固めたほうがよかった。幻冬舎なのでそういった(ある意味教育的な)売り方は期待できませんが、やはり残念です。浅田先生節のライトな歴史論、早く文庫化して多くの方に手にしてもらいたいです。しかし今この時こそ、たしかな日本論、日本史論というもの世間は求めていると思うので、数年後に文庫化しても遅いと思います。
幻冬舎の全てが悪いとは思いませんが、好きな作家でたまにこういうもったいない作り方、売り方をやられると本当に脱力します。
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日本と中国の近現代を舞台に小説を編む著者のファンとしては、読んできた作品群を回想し、それらを一連の歴史として整理できる有り難き一冊。自分の立ち位置を直近の過去から知らしめてくれる。さらに、未来を見据える視点さえ示唆してくれる。刹那的で個人主義を貫く現代人。自分の時間もカネも自分のためにだけ費やす姿勢なら、少子化から脱却できないし、いずれ老いる自分を支える者はいなくなる。日本の「運命」に対して、常に今を生きる者が責務を負っている。
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日本の江戸時代と戦争時代について理解が深まる。
特にロシアとの最後の千島列島から先での勝利したところは、初めて知った。
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受験範囲に石器時代を入れるより、近現代史を入れるべきだと強く感じた。あまりにも知らないことが多すぎる。
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中国が長い歴史の先人達の教え、思想を捨て共産主義国家を誕生させたにも関わらず近隣の日本で論語に傾倒することに疑問があったがこの本で清王朝最期の時代に欧米列強国に植民地された背景を知り納得できた。イメージと違う歴史感を知る事が出来た。
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歴史と史実は違う。歴史とは起こった事実の捉え方。
じぶんの幸不幸は過去からつながっている。歴史を学んで自分自身の座標を考える。
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浅田次郎さん講演録。自分がテーマにしている幕末から明治、中国などについて、近代史の裏側、内情について、語った講演記録を取りまとめたもの。自作の小説の解題みたいな部分もあるので、作品のファンはかなり楽しめるはず。
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江戸時代から明治維新とその同時期の中国の
歴史に関してのいろいろな雑学というか
歴史上のトピックスや、その時代の本当は?
みたいな内容の本。
それなりに面白かったです。著者の本は割と好きです。
自衛隊出身だったんですね・・
『角筈にて』『鉄道員』『ラブレター』『見知らぬ妻へ』などの短編が印象に残っています。
あとがきに書かれてある内容が気に入りました。
”科学は経験の累積によって確実に進歩をとげるが、人類が科学とともに進化していると考えるのは重大な錯誤である。人間は時代とともに進歩ではなく変容し、あるいは退行しているのだという謙虚な認識をもたなければ、時代小説どころかほんの一昔前の舞台すらも正しく描くことはできない。たとえば、戦争というものなどは、その重大な錯誤と認識の不足のせいでくりかえされると思われる。”
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日本の歴史を昭和から遡って語られている。しかも、その出来事がなぜ起こったのかや現代の事実がなぜそうなったのかが分かりやすく書かれている。日本史の授業も昭和から遡って江戸時代まででもいいんじゃないかと思う。浅田次郎の言う通り、なぜ歴史を学ぶのか今一度考えた方が良いかと思う。
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一つ一つの章の内容はとても興味深いものでしたが、全体に脈絡がないというか、一冊の本として内容がまとまっていないのは、講演録だから仕方ないのかもしれませんが、物足りなかったです。それならいっそ、浅田さんの著作の裏話とかメイキング的なものに徹した内容のものが読みたい!と思いました。
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浅田氏は小説も面白いが、エッセイもウィットに富んでいて面白い。いつもJAL機内誌の「つばさよつばさ」を楽しみに読んでます。歴史と史実の違いは、難しく小説は面白く書いてあるので現実との区別は必要ですね
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小説だから伝えられる歴史や考え方がある。
意識しないところに歴史や文化の影響が強く残っている。
歴史や慣習に囚われず,しかし,歴史や慣習の上に現在があることを認識すること。
「個の利益より衆の利益。現在よりも未来。」の価値観は刹那的にならず,苦しいときに希望が持てる生き方だな。共同体感覚というアドラーの言葉を最近よく使うが,大切なことは洋の東西を問わないな。
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日本人として知っておきたいことがたくさん書かれた本です。
浅田次郎さんの作品が好きで手に取りましたが、まだ読んでいない著者の作品を知る本にもなりました。
読んでよかった。
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近代史について、日本の江戸〜、中国の清朝〜第二次世界大戦頃までを中心にまとめてある。よみやすく分かり易いのは、講演録だからだと、あとがきを読んでわかった。ただそのために話の重複や時系列がとんでて整理しにくかったかも。浅田次郎の歴史小説は中国しか読んでなかったから、参勤交代を描いた一路含め読んでみよう。読了日 2015