紙の本
よくまとまってます
2016/01/14 13:27
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:しまんちゅ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ストーリーが現在と過去を繰り返し、しかも少しずつ近づいている中で物語の背景や登場人物の心理状況などが克明になっていくので一気に読み進めてしましそうになる。根っこの部分にはドッキリにこだわった仕掛けが満載で伏線も絶妙。2度読みしたらさらに面白かった
投稿元:
レビューを見る
読み始めは、時代が行ったり来たりで、空いた時間に少しずつ読んでいると、訳が分からなくなって、挫折しかけました。
積読になりかけたのを、休みの日にじっくり読んだら、おぉ〜積読にしなくて良かった(^.^)
解説を先に読む派と後から読む派がいますが、自分は後から派。
何も事前知識がない所から、ものがたりに入り込みたい…
できれば、全体のページ数も知りたくない。(後どれ位で終わるかの目安になるから)
本書も、後で解説を読んで正解。何も知らない方が入り込めるし、読後の感想も、人によって捉え方が違うと思いますが、満足しています。
投稿元:
レビューを見る
企みに溢れたミステリだった。映画化もされているから知る機会がある人もいたであろう。新人の作家が出てきたと喜ぶべきだし物語も驚きに満ちていた。途中まであの彼女はどうした?男二人の関係性は何なんだと混乱もあるけど、ラストの種明かしで解決する様は素敵だ。切なかったなぁ…。
投稿元:
レビューを見る
プロポーズ大作戦のドッキリの内容は何となく予想できたけど、こんなに悲しい結末だなんて。
でもそれをただ悲しいだけで終わらせなかったところがいい。
---
ドッキリを仕掛けるのが生き甲斐のマコトと、それに引っかかってばかりの俺は、小学校時代からの腐れ縁だ。30歳になり、社長になった「ドッキリスト」のマコトは「ビビリスト」の俺を巻き込んで、史上最大の「プロポーズ大作戦」を決行すると言い出した--。一日あれば、世界は変わる。男たちの命がけの情熱は、彼女に届くのか? 大いなる「たくらみ」を秘めた第25回小説すばる新人賞受賞作。
投稿元:
レビューを見る
にわかに周囲で話題となったので読んでみた。
読みやすいようでいて内容が掴みにくいのは、時間が行ったり来たりするせいか。読み返すほどの深い内容でもなくサラサラ読み進んで、話の展開に驚いたが涙は流れなかった。もう一回読むかというとたぶん読まないかな。
投稿元:
レビューを見る
ドッキリストのマコトとビビリストのキダちゃん。幼馴染みの二人は30歳になり、マコトはキダちゃんを巻き込んで史上最大の「プロポーズ大作戦」を決行すると言う。
青春爽やか系のお話かと思いきや、なんて哀しいお話なの…。読み終えて何日か経ってもまだ胸が痛い。
ドリーミーな展開なのに、途中から読めてくる結末が切なすぎて、間違いであって欲しいと何度も思って、確かめるのが怖くて、でも読まずにいられないからページをめくる手は止まらなくて…。
登場人物たちの抱える寂しさは、愛情が満たされることなく育った子供が抱える根源的な寂しさ。愛されて育った人には決して分からない。
だからこそ、3人の繋がりの深さが強調されて、この結末に至るのだけれど。
ちょっと描写がくどい部分もあったけど、すごく余韻が残る良い本だった。
*以下引用*
「なあ、俺たちはさ、そうやってガツガツ生きて、なんになるんだろうな」「さあな」「生きる理由ってのほ、必要なのか」(p80)
「そんときゃ潔く死ぬさ。俺はな、生きている必要がなくなったら死ぬんだよ、きっと」「必要か必要じゃないかは、誰が決めるんだよ」「神様的なヤツだろ」「さっきいねえだろ、と言ったばかりだ」「いねえだろうが、いてくれたほうが楽だ」「なんでだよ」「誰にもぶつけようの無いことでイライラするときに、好きなだけ文句が言えるじゃねえか」(p100-p101)
「でも、若いっていうのは、そういうことだろ。歳取ってよ、嫁さんとかガキが出来ると、大人になっちゃうわけよ。お前はさ、生きる理由が必要か、って聞いてたな」「はい」「死ねない理由が出来るんだよ、そうするとさ。若さから卒業して、なりたくも無かった大人になってることに気づくんだ。若者の狂気だ、無駄死にだ、と言って、結局命を懸ける、なんてことは思いもしない大人にさ。過去に、なんだかわからないけど無理矢理命を懸けなきゃ生きている気がしなかった時代があっても、だ」(p103)
「俺やお前が理解できなかろうが、世間がバカだと誹ろうが、死ぬ瞬間に、俺はやりきった、ってそいつが思うんなら、それは無駄死にでも犬死にでもねえと思うよ」(p104)
「でも、どんな話でも映画ってのは終わっちゃうんだよね。」~中略~「なんかもう、終わっちゃうのが嫌で。~中略~エンドロールが流れてくると、涙が出るんだ。涙が止まらなくなって、体が重くなって、やる気がなくなって、死にたくなるわけ」~中略~「現実に戻るのが嫌だったのかもね。」~中略~「そう。本当に何もかもが終わって、エンドロールが止まる頃、あたしはようやく立ち上がれるようになる」「なんでだ」「やりきった感があるからじゃないかな。誰かの物語の中に二時間くらいだけ入り込んで、同じ時間を生きて、同じ感情を抱いて、一緒に笑って、一緒に泣いたわけじゃない?あたしは傍観者に過ぎないのかもしれないけどさ、それでも映画の世界が終わって、自分だけが現実に弾き出されるのって辛いんだよね。だけど、もうほんとに物語がすべて出し尽くすのを最後まで見て、何もかもが終わったら」~中略~「あたしはあた���の物語を生きなきゃ、って気になるんだよ。生きなきゃ、って」(p122-p123)
「忘れられることが怖いからさ、最初っから近づきたくないんだよね」(p148)
「完璧主義者ってのはさ、結局は欠陥品だ」「欠陥品?完璧主義なのにか」「だって、人間なんて元々不完全で、完璧なんてものはこの世にないんだ。それなのに、理想どおりのきれいな人生じゃないと我慢できない。完璧に、完璧に、と追求してさ、不完全さを容認できないせいで、結局は完璧じゃなくなるんだ」(p211)
「嘘は時に便利だが、真実に比べると脆弱だ」(p225)
「俺は、自分の人生を生きるのが、面倒だ」(p239)
「クリスマス・イヴってのは、クリスマス前日の日没から、日が変わるまでの間だ」(p256)
「一日あれば、世界は変わるんだよ」胸が、ズキリ、という痛みを覚えた。二日あったら、宇宙がなくなってもおかしくない。俺は思わずそう続けた。(p277)
投稿元:
レビューを見る
「ドッキリスト」を自称するマコトとそのマコトに「ビビリスト」と呼ばれる幼馴染のキダ。マコトはキダを巻き込みプロポーズ大作戦と称する計画を進める。その顛末を描く青春小説。
小説の構成はバラバラの時系列を少しずつ見せていくというもの。それを最後にどうまとめるのか、
それぞれのエピソードのピースが綺麗にハマるのか、少し心配しながら読んでいたものの、しっかりと最後に向け収束し構成力の巧さを読んでいて感じました。
そういう意味ではバラバラの時系列の書き方は成功しているのですが、一方で登場人物のかかわりをもっと濃く書いてほしいな、と思ったり、
時系列のとび具合のため、全体的に読みにくさを感じてしまったのが少しもったいなくも感じました。
作品のメッセージはとても心に響くものがあります。印象的な場面としてはマコトとキダがヨッチという女の子と共にヨッチを昔いじめていた男に会いに行く場面が思い浮かびます。
その行動原理にあるのは「忘れられるとなかったことにされてしまう」という思いです。いじめっ子に限って自分がやったことを覚えていない、というのはよくある話ですが、
マコトはそれを「悔しい」と思い行動を起こします。そしてこの「忘れない」「忘れさせない」はこの小説の大きなキーワードでもあるのです。
読後の切なさは新人作家さんの作品ながら、とても心に迫るものがありました。上述したように、粗削りに感じた部分もありますが、次の作品も読んでみたい、と思わせるには十分すぎるほどのデビュー作だったと思います。
第25回小説すばる新人賞
投稿元:
レビューを見る
「ドッキリスト」のマコトと「ビビリスト」のキダの幼馴染みの二人が決行する史上最大の「プロポーズ大作戦」。大切な人の為に大切な事を為す。「一日あれば世界は変わる。二日あったら、宇宙がなくなってもおかしくない」という名言が心に熱く響く、第25回小説すばる新人賞受賞作。
時間軸が目まぐるしく変わり、一体どんな結末を迎えるのか予測できない。各時代の伏線がラストに集まるさまは、見事の一言。これからが楽しみな作家さんです。そして私も映画のエンドロールが始まった途端に席を立つ人は嫌いです。
投稿元:
レビューを見る
前から、気になっていたタイトルに手に取ってみた。
どこにでもいそうな二人の高校生の会話、明日はまたこんな風に、だらだらと続くのかと… 思いきや、思いがけない展開と深い内容に目も見張った。主人公三人の、特に、マコトの存在感、鮮やかで一途で、飄々としていて…だから、最後にぐっと泣かされる。
世界という映画があるとするなら、エンドロールの片隅にちょっと残るだけの、大衆の一人にすぎない彼らが、大切な人のために、本当に真剣に自分をかけて生きる姿が、とても愛しかった。
要所要所に出てくる映画のタイトルとそのシーンがストーリーにからんでいて、映画好きにはたまらないかもしれません。
投稿元:
レビューを見る
ストーリーに散りばめられた伏線はどれも見事なオチあり。確かに2度読み間違いなし。次作が楽しみです〜。
投稿元:
レビューを見る
読みました。三回読みしました。
重症の中二病のよっちんに心地よい小説でした。
しっとりとした絶望感と拭いがたい虚無感、そして満ち満ちた倦怠感
自分の生活を言い表すならそんな言葉に収まります。
そんなただれた中年に効く良書でした。
「一日あれば、世界は変わる。二日あったら、宇宙がなくなってもおかしくない」
visual系音楽をしていた時「存在苦」がテーマだった…この街は自分の存在を歓迎も拒絶もしない.
1時間幾らで切り売りして生活してる底辺労働者は仕事が終われば誰からも必要とされない存在。
タイムカードを押した瞬間、世界から「不要品!御役目御免」と宣告。
存在理由がないと不安になる欠陥品だから。
「あたしは、死ぬ必要がないから生きてるし、生きている必要がなくなったら死ぬんだよ、きっと」
「私たちには無限の未来なんかありません。明日が来るっていう保障なんか、どこにあるんですか」
「完璧主義者ってのはさ、結局は欠陥品だ」
「欠陥品? 完璧主義者なのにか」
「だって、人間なんて元々不完全で、完璧なんてものはこの世にないんだ。それなのに、理想通りのきれいな人生じゃないと我慢できない。完璧に、完璧に、と追及してさ、不完全さを容認できないせいで、結局は完璧じゃなくなるんだ」
「死ねない理由ができるんだよ。そうすると若さから卒業して、なりたくもなかった大人になっていることに気がつくんだ」
「(映画が)終わったら?」
「わたしはわたしの物語を生きなきゃ、って気になるんだよ」
「生きる理由が必要な人、もいると思う。生きる理由があった方が、人生は充実すると思う。でもさあ、生きる理由は必要条件ではなく、十分条件なんだよね、きっと」
「よくわからねえ」
「生きるということに理由が必要なんじゃなくて、みんな自分が生きていることに理由をつけたいだけなんだよ。安心できるじゃん、その方が。」
「あたしたちは、やっぱりちょっと、何かが欠けている」
「何なのかわかんないけれど。少なくとも普通にパパママがいて、愛情をうけて育ってきた人とは微妙に違う。心の中に少しだけかりっと欠けているところがあるんじゃないかなってさ」
「お茶碗の端っこがちょこっと欠けていたら気になるじゃん。」
「さみしい、ってのはこういうことなのか。
世界がゆっくりと進む中、俺は同じ円の中を、ぐるぐると走り回っている。どこにも辿り着かない。何も生み出さない運動を惰性に従って続けている。世界がどんどん遠ざかって行くのを感じながら、懸命に同じ円周上を回り続けている。それはとてつもなく無意味で、無価値で、さみしい。」
世界は、不完全なものが不合理に動くことで回っているからだ。
「プロポーズ大作戦の作戦」という計画と時間軸が入り乱れて描かれる物語。
<ヨッチ>(奇しくもよっちんの呼ばれ方のひとつでもある)とマコトとキダ。
10年かけて「失った」ものを世界から忘れられないように刻み��ける復讐劇。
投稿元:
レビューを見る
ある意味?青春小説。真相は途中からだいたい予想がつくが、マコトがそこまでやるとは思わなかったし、残されたキダちゃんの最後の選択は閉じた世界を最後まで守ろうとするちょっと切ない選択だった。
投稿元:
レビューを見る
ドッキリ仕掛け好きとその被害者のビビリの二人組が主人公。なんとなく愉快な内容を予想していたが、どんどん暗い影を感じさせる流れに。そしてなんともさみしい結末が。すっきりしない読後感になってしまった。
投稿元:
レビューを見る
一気に読み切ってしまいました。結末やある程度展開が読める部分もありますがそれも含めて伏線が分かりやすく回収されてて読み応えがありました。
世界の片隅で、それぞれの人々がそれぞれの人生を歩んでいる事。小説内でも主人公達が問いかけているテーマが心に刺さり、自分の周りの人日の人生を尊重しようと思えました。
投稿元:
レビューを見る
感想が揃うことはないだろう、という解説の通り、色々な捉え方ができる終わり方でした。
私は、少し切なくてさみしかった。
主人公である城田ちゃんと、腐れ縁のドッキリストの澤田マコトと、そして転校生ヨッチとの出会い。
忘れられるのが怖かったヨッチが、城田ちゃんとマコトに出会って救われたように、城田ちゃんもマコトもヨッチに出会って救われてたんだろうな。
プロポーズ大作戦の本当の意味が、途中でうっすらわかってくるんだよ。それに気付いていながら先を読まなきゃいけないのが辛かった。
城田ちゃんの言葉や行動はヨッチとの思い出で成り立っていて、マコトの気持ちもずっとヨッチにあった。
指輪…受け取ってもらえたのかな。
澤田マコトは、これからどうやって生きていくのかな。