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突然崩壊した高校の校舎。その瓦礫の下に生きながら埋もれてしまった生徒や教師たちが、極限状況の中でこれまでの人生を振り返ったりと、真摯に様々な事象と向き合う様が心を打ちます。
それだけだとよくあるパニックムービー的な作品になっちゃいますが、本作が特異な存在感を示しているのは群像劇の中核に居る「北野直人」の存在かな、と。
本作は各章、それぞれ主人公格に割り当てられた人物たちが、北野の存在をきっかけとして必死に生き延びようとします。境遇は違えど、話の中心にいるのは決まって「北野直人」という存在。
ふと思い出すのは、あとがきでも言及されている「桐島、部活やめるってよ」。
群像劇の中心にいる特別な人物という設定。その点で似ているなー、と読んでいる時は思いました。
ただ、発表されたのは本作の方が先だとか。また、本作の北野直人は確実に実在しているという点で全然別ものではありますね。
終わってみれば、最終的な印象は「桐島〜」というよりも(それが正しいかは分かりませんが)映画「ディープインパクト」的な作品だったように思います。単純に考えると不幸な境遇になってしまったように思われる境遇の北野直人が、ポジティブに将来に臨む姿に安堵を覚えながらの読了。
本当に何気なく手に取った作品でしたが、期待を大きく上回る面白さで大満足でした。
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何だろう(^ ^;
感動的なヒューマンドラマなはずなのに、
今二つ感情移入できなくて...(^ ^;
割と淡々とした文体や、登場人物のキャラのせいか、
今ひとつ「深みが足りない」印象なんだよなぁ...(^ ^;
高校の校舎がいきなり崩れる、という話は
充分インパクトがあるはずだし、
登場人物たちの「事故にいたる前」も描けている。
短編集だが、一話ごとのミステリ要素も丁度いいし、
全体を通して一つのストーリーが浮き上がるのも、
基本だけどきちんとしていると思う。
が、この「緊迫感の無さ」は何だろう(^ ^;
たぶん「ガレキの外」「救助する側」を描くと、
緊迫感はもっと醸し出せるのだろうが...(^ ^;
それをすると「短編集」が成り立たないし...(^ ^;
「屋上ミサイル」とか大好きだっただけに、
ちょと残念な読後感(^ ^;
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いつも真っ直ぐな作品を書く山下氏。
今回は表紙のイラストからあまり期待せず読み始めたのに、前半からすでに引き込まれてしまった。
崩壊した校舎の中で瓦礫に埋もれながら救出を待つ間、さまざまな人が自問自答をするという構成で、特異な環境下ならではの素直な心理描写が秀逸。
全編を通して登場する北野君の真っ直ぐな格好良さに参った。
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突然崩落した学校の校舎。
瓦礫の下にいる生徒や先生が救出されるまでの連作短編。
余り期待せずに読んだのだけれど、意外にも面白く引き込まれた作品でした。
途中、あぁもうダメか、と悲しくもなったのですが
、やられたなぁ。
何日も身動きがとれない状態、想像しただけでおかしくなりそう。かなりの恐怖。
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突然崩壊した校舎の下敷きになった、生徒に教師。様々なシチュエーションで生き死にの狭間を行き来すると言うのはあまり見ないかなと思ったのだが、対象が若い人向けっぽいからか短めというか短い。双子の兄弟、一年口聞いてないならその契機になった日はもっと書かないと分からないし、和解までめっちゃ早い。いじめられっ子は胸糞案件だけど、その後がどうなったのか気になる。親が闘病中の子や恋人のエピソードはボリューム的にちょうどよかったかな。ただ恋人片方書くならもう片方…
全編通してある人物が出てくるが、井坂作品っぽいなぁ。ここは。いやまぁ、これが好きで読んでるようなものだし…
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サバイバル感はないけど瓦礫の下で人間の本質があらわれる - 山下貴光「ガレキノシタ」 ★★★☆☆
サバイバル感は0です。
どうして倒壊したとか、どうやって脱出するとかは主題ではないので期待しないこと。
極限までに追い込まれた状況において、人間の本質を描いていく。
基本的にいい奴ばかりです。
なお、このジャケットはイメージがあわない。