投稿元:
レビューを見る
前提が随分と違うことをきちんと踏まえた上で読めばひとつの視点、世界観として示唆に富んでいるように思う。印象としては話のできる人だと思う。前提に大きく隔たりがあるので物騒な話と決め付ければ安易に退けることもできるだろうけど、こういう視点や世界観も視野にいれることは大切だと思う。
投稿元:
レビューを見る
イスラム教信者からすると、非信者はどうせ地獄に落ちるんで啓蒙する必要ないんだけど、そこは親切心で教えてくれている、というイスラム教の「感じ」が伝わってきて面白かった。
投稿元:
レビューを見る
【由来】
・
【期待したもの】
・
※「それは何か」を意識する、つまり、とりあえずの速読用か、テーマに関連していて、何を掴みたいのか、などを明確にする習慣を身につける訓練。
【要約】
・
【ノート】
・
【目次】
投稿元:
レビューを見る
この国の統治権力に正当性がないように現在のイスラーム社会においても正当性のない政治が行なわれていることを知る。だが本来のイスラム教は知れば知るほど冷静で平和でプレーンなものだった。
イスラーム法は法律ではなく法である。善悪と存在がアッラーによって保障されている。そしてアッラーとは自然界と人間界を貫く普遍原理である。そのアッラーへの信仰の上に人は暮らす。つまり自然法が信仰によって強化されている。ただ単にそれだけの話なのだ。そして法が時の統治者によって変えられることもない。これほど当たり前で単純な政治システムはあるだろうか。イスラム法の上に時代に合わせて法解釈が積み上がるだけである。元が寛容で精緻なだけ、そういった解釈も寛容に作られる。イスラム教に抱くイメージと違う。神に馴染みのない日本人には重要な視点を与えてくれる本だった。
投稿元:
レビューを見る
中東の専門家としての外から目線のイスラームではなく、ムスリムとしての内から目線の著者が、イスラーム法学者の立場からジハードの解釈含め、この世界はどのように解釈すべきなのか、をイスラーム教を知らない人(異教徒や無神論者等)向けに、わかりやすく解説した著作。
投稿元:
レビューを見る
イスラム教でもキリスト教でも、その他多くのどんな宗教であっても我々日本人はそれを正しく知らないと、受け入れ難いものとして壁を作ってしまう。そもそも日本という島国で外界から遮断されてきたからなのか、昔ガラパゴス携帯(ガラケー)と呼ばれていた日本独自仕様に陥った様な、自分たちの仲間意識を大切にする様である。だから、外部からやってくる思想・信条には中身を知ろうとせずに、「よくわからないもの」として進んで触れよう知ろうとはしない。一方、音楽や食べ物、映画、ファッションなどについては、これまた確たる嗜好は無いのかと思うくらい、柔軟に世界の流行を取り入れて熱狂的にハマっていく。宗教の世界はそうした受け入れやすくわかりやすい見栄え、聴こえ、味わいなどとは異なる、精神世界の話だ。よって余程の興味や、現状の生活とは異なるもの(フェーズとでも言うべきか)への憧れや尊敬が生まれない限り、その扉を開くのは難しい。
近年イスラムの中でも過激派グループが起こすテロのイメージと混同されてしまう事で、益々イスラーム世界を解らないことに起因する恐怖感や抵抗感が生まれてしまった。雑誌やニュースは物事のある一段面のみを切り取って、あたかもそれが全体の様に見せるから尚更タチが悪い。極端な事を言えば、日本人が箸を使ってご飯を食べるからと、インド人が手でナンを食べるのを否定するだろうか。そんな事はない。美味しいカレーを食べるという明確な目的があれば食べ方をしっかり学びそれに習う事ができるし、それだけを見て不衛生だからと否定したりせずに済むのだ。知る・知っている事の重要性は高い。
本書はそうしたイスラーム世界観を知り、相互に理解し合える土壌となってくれる。何故イスラームの人々が聖戦を叫ぶのか、そして行き過ぎかもしれないテロに結びついてしまうのか。そもそもイスラーム社会に暮らしていくにはどの様な習慣や規則があるのか。そして彼らが崇拝するものとは何か、死後の世界観などあらゆる角度からイスラームを見る事ができる。
そして現代イスラームの課題となっているカリフ不在問題と何故カリフが必要なのか、イスラーム国のバグダーディは本物のカリフになり得るのか、カリフ成立の背景から、あらゆる角度からこの問題に踏み込んでいく。
投稿元:
レビューを見る
イスラーム 生と死と聖戦
著:中田 考
紙版
集英社新書
良書、わかりやすいテキストだと思いました。
世界第2位の宗教人口を誇るイスラム教、第1位は、キリスト教で23億、ついで、イスラム教が18億
日本では、イスラム教に関する情報があまりにも少ない。世界を理解するためには、キリスト教と同様、イスラム教もおなじくらい理解する必要がある
筆者は、東大文学部イスラム学科の1期生で、イスラム教徒、カイロ大で哲学博士、いろいろ物議をかもした方であるが、どうして日本はこういう人を
大事にできないのか、と思いました。
気になったのは、以下です。
・インジャーアッラー 神の御心のままに、自分の力でできるだけがんばるが、人間の力の及ばないところは神のお力添えそのままに という言い訳であり、謙虚な美徳とあり
・剣かコーランか 正しくは、剣か、税か、コーランか。税を収めれば無理やりイスラム教に改宗しなくても、子々孫々まで永住権がえられます。
・イスラムテロは、ジハードとはいいがたい、第一、イスラム教は、自殺を禁止している
・イスラームは、地域や民族を超えた普遍宗教であり、ムスリムには、国籍も血統も関係なく、誰でもなれます。
・ムスリムになるには、アッラーを信じるだけでいい。入信名簿もなければ、報告義務もない。だから信徒の正確な数はわからない
・ジハードとは、自分の弱い心を乗り越えるという意味がある。これを、「大ジハード」という、一方で、武力による戦闘は、「小ジハード」という。一般には、ジハードとは、小ジハードをいう
・ジハードとは、異教徒に対する戦いであり、ムスリム同士の戦いはジハードとは言わない
・イスラーム法とは、神の定めた掟のことである。イスラーム圏はイスラーム法の枠組み内で、多文化、多民族、多宗教が共存する広大な法治空間のことをいう
・神の決めた掟、イスラーム法は、アラビア語で、シャリーア、という
・シャーリアは、神の啓示の記録であり、①クルアーン(コーラン)と、②ハディーズの2つがある。
・クルアーンとは、最後の予言者であるムハンマドの言葉をまとめたもの
・ハディースとは、ムハンマドの言行を弟子たちが書き留めたもので、7300以上のハーディスがある
・イスラームは、5つの行為からなっている。①信仰告白(ラーイラーハイッラー、ムハマンドゥンラスールッラー)、②礼拝、③ザカー(浄財)、④ラマダーンの斎戒、⑤メッカ巡礼
・イスラーム法学、フィクフ。5つの範疇がある ①義務行為(しなければならない)、②推奨行為(したほうがいい)、③合法行為(してもしなくてもいい)、④忌避行為(しないようがいい)、⑤禁止行為(してはいけない)
・イスラームにおいて、ムスリムでなければいかなる義務の生じない。異教徒は、5つの範疇の外にある。ただし、イスラームを侮辱するようなことを行ってはならない
・ハラルとは、許可という意味です。ハラルのマークは、イスラーム的にOKということです
・クルアーンの中で、��世で死んだあとに天国で生きているとされるのは、実は、殉教者だけです
・イスラームには、人間に対する罪と、神に対する罪とがある
・神に対する罪とは、神だけが赦すという権利関係なので、人間はそれには関わらない。神に逆らっても、そもそも他人が非難するようなことではない
・政教分離とは、キリスト教世界で、王権と教会、カトリックとプロテスタントの宗派間対立を調停するためのもの、イスラームには、政教分離という考えはない
・政教分離をすれば問題が解決するというのは、現代の迷信だ
・ムハンマドは最後の預言者で、神の法をもたらしているもの、最後の預言者なのでムハンマドの教えは1000年たったいまでも、変わることはない
・ダル・アル=イスラームとは、イスラーム圏という意味、ムハンマドとその後継者たちが最初につくった、イスラーム国家という意味です。
・イスラームでは、神は1人、法はひとつ、預言者の1人なので預言者の代理人であるカリフもまた1人しかいない。
・1924年最後のカリフが退位したのち、現在までに、カリフが存在しないことが自体が、イスラーム法上の一番の問題である。
・カリフの再興、ダール・アル=イスラームの復元ができるかどうかが、イスラーム世界の抱える最大の問題です。
・人間が人間を支配するのはいけない、国家も民族も、人間が人間を支配するという不正を隠蔽するためのベールにすぎない。
・イスラームには教会もなければ、公会議もないし、教皇もいない。モスクとは教会ではなく、単なる祈る場所のこと、だからなにもない。
・メッカの方向に向かって祈るのも、人々がばらばらに祈ると収拾がつかなくなるため、クルアーンにメッカにむかって祈れと書いているからだけ
目次
序章 イスラームとジハード
第1章 イスラーム法とは何か?
第2章 神
第3章 死後の世界
第4章 イスラームは政治である
第5章 カリフ制について考える
終章 「イスラーム国」と真のカリフ制再興
解説―自由主義者の「イスラーム国」論~あるいは中田考「先輩」について
ISBN:9784087207644
出版社:集英社
判型:新書
ページ数:240ページ
定価:760円(本体)
発行年月日:2015年02月
発売日:2015年02月22日第1刷
発売日:2015年02月22日第2刷
投稿元:
レビューを見る
実際にムスリムであるイスラーム学者の著者がわかりやすくイスラームについて解説してくれる本。イスラーム世界がいわゆる西欧的な「近代国家」の仕組みとは異なっていること、カリフの不在とISの解釈についてなど、ムスリムの立場からの見解は参考になった。いま騒がれている中東あたりの地域だけでなくムスリムは世界中に数多くいると思うけど、カリフ不在やイスラーム法について多くのムスリムたちがどう考えいるのか?は気になるところ。