投稿元:
レビューを見る
まさに純文学。
古典のように美しい言葉や表現と、現代的で軽い文章が混在していて、最初は少し違和感があったけれど、読んでるうちに気にならなくなった。敢えての表現なのか、そういう文体なのかは謎。
ふたりの芸人の日常を一貫したテンポで綴っていて、人間の「生」を覗きみるのには丁度よく、早いペースで読み進められた。ただ、後半いろんなことがぼんやりし過ぎてるのと、基本的にイイヒトしか出てこないのが少し残念だったかも。
独特の視点なのか意図的なのか、感情的なシーンさえさらりとしていたので、のめり込む…というより、さらりと受け流しつつ見守るって感じの時間だった。読後感は悪くない。
投稿元:
レビューを見る
妹が図書館で借りてきたので、私も読む。
ちょっと難しい表現で書かれていたので、読み進めるにあたって少々大変かもしれません。
あらすじは一人の芸人(徳永)が主人公で、ある先輩芸人(神谷)に出会って、その人を師匠と慕って、その交流の話です。主人公はその先輩からいろいろ学んでいきます。芸人の厳しさも書かれています。売れたからと言って、最後まで芸人として最前線に立てられるわけじゃないんだと思いました。
神谷さんは終止お笑いに対して、ものすごくまっすぐに取り組んでいるけど、お笑い以外がどこか抜けているというか、感覚がずれているところに憐れみみたいなものを感じます。世間の感覚とのすり合わせがもう少しうまく出来ていれば売れたのかなぁと思ったりします。神谷さんからたまになるほどと思う発言があります。
最後らへんの神谷さんは憐れみを感じてしまいます。又吉さんはこんなこと思いつくんだなと驚きます。終わり方もそこで終わるんだと思いました。
投稿元:
レビューを見る
このタイプの小説は初めて読んだかもしれない。
入りから文豪の匂いをプンプンさせて導入に至り、
そこからは少し停滞するかと思いきや、小さな山を盛り込んでやがった。
ちくしょーと思っていたら終盤にかけて物語に引き込む筆致には、作者の顔なんてもう忘れて、文学として楽しんでいる自分がいた。
こんな結末ありかよっ!って思ったけど、読後感で余韻に浸ると、こういう終わり方がこの人の作品なんだ、これでしか成立しなかっただろうって思えてきた。
一作では判断しかねるけど、もっとたくさん作品を世に出して欲しい作家の一人だと思う。
投稿元:
レビューを見る
2015年39冊目。
不器用なほどの生真面目さ、愛すべき滑稽さ。
漫才の世界で出会った徳永と神谷、そして筆者の文章から溢れ出ていたもの。
「勇ましい者はいつも滑稽だ(小林秀雄)」
まさに、勇ましくあることとは何かを思い出させられた気がした。
同時に、数カ所で普通に声に出して笑わせてもらった。
ファンタジーに逃げず、大衆に媚びず、ただ切実に人生と文章に向き合ったのではないかと感じる。
再びこの本に浸りたいと思う。
投稿元:
レビューを見る
15.08.23〜15.08.29
徳永 主人公。漫才師
神谷 漫才師。神谷の師匠となる
共感至上主義の奴達って気持ち悪いやん?共感って確かに心地いいねんけど、共感の部分が最も目立つもので、飛び抜けて面白いものって皆無やもんな。阿保でもわかるから、依存しやすい強い感覚ではあるんやけど、創作に携わる人間はどこかで卒業せなあかんやろ。ー神谷 P32
だから、唯一の方法は阿保になってな、感覚に正直に面白いかどうかだけで判断したらええねん。ー神谷P34
ピエロが夏場に本当は暑いからこんな格好はしたくない。と思っていた場合、これは自分自身の模倣にたってしまうと思うねん。自分とはこうあるべきやと思って、その規範に基づいて生きてる奴って、結局は自分のモノマネやってもうてんねやろ?ー神谷P71
神谷さんから学んだことは、「自分らしく生きる」という、居酒屋の便所に貼ってあるような単純な言葉の、血の通った激情の実践編だった。ー徳永P132
投稿元:
レビューを見る
最初の数ページだけ、見たことがあるけれど、お笑いのために生きている人間だけではないということが容易に分かった。すごく読みたい。
投稿元:
レビューを見る
【笑いとは何か、人間とは何かを描ききったデビュー小説】 売れない芸人徳永は、師として仰ぐべき先輩神谷に出会った。そのお笑い哲学に心酔しつつ別の道を歩む徳永。二人の運命は。
<特設サイト>
http://hon.bunshun.jp/sp/hibana
投稿元:
レビューを見る
2015年3月11日、図書館で『文学界』を予約して借り『火花』を読む。予約は3人待ち。
---------------------------------------------------
又吉は優しい。
特に、先輩芸人が巨乳になって現れたとき、主人公が発した言葉を読んで、そう思った。
読書好き芸人ということで、太宰とかいっぱい読んでるっつーのは聞いていたが、自分で小説書くとは。
純文学的っぽい文章表現が時々出てきて、ん?と、引っかかった。
いったい純文学とはなんだろうか?
これは純文学なんだろうか?
小説としては笑えなかった。
ナマの言葉として人を笑わせることと、文章で人を笑わせることは、まったく別のことなのだ。
ただ、先輩と飲み歩いたり、先輩んちに泊めてもらったり、先輩の彼女んちに行ったり、そういうことは、まあ、あるよね。
文章だけなら『生きていてもいいかしら日記』のほうが遥かに面白かった。
でも、これ読んで、芸人としての又吉のことは好きになった。
--------------------------------------------
2015年7月
後日、この本が三島賞にノミネートされて落選。
「そりゃーそうだろう」と納得。
候補にあがっただけでも驚きだ。
ところが、後日、芥川賞にノミネートされ、さらにビックリ。
「そういう小説なのか?コレ?」
だって、この小説は、大衆文学であって、直木賞タイプじゃないか。
これのどこが芥川賞候補なんだよ????
おかしくねー?それ?
と思っていたら、なんと!
芥川賞受賞!!!!!!!
ウッソーーーーーーー!と、ひっくり返った。
これは何か別の力が働いてる、といぶかしんだ。
それくらい意外だった。
意外すぎ。
こんな小説で芥川賞がゲットできるんだったら、太宰や、島田雅彦や、村上春樹の立場は一体どうなる?
と、思ったが、だからといってムカついたか?と言われれば、そんなことはない。
むしろ「又吉が受賞できて良かった」と思った。他人事なのに素直にうれしかった。
なぜ?
これは、又吉の性格の良さからくるものだと思う。
実際、又吉が芥川賞を受賞したことによって、出版不況は、ほんの一時でも、改善されるわけだし。
受賞直後に、出版関係の会社の株価も上昇したほど、又吉の影響力は大きい。
又吉が推薦本にオビを書けば、売れる。
そもそも、実力の伴わないこの作品に、芥川賞を送った作家たちにしたって、彼らの本は売れないけど、又吉が推薦してオビを書けば、売れるんだから。
村上龍の『コインロッカー・ベイビーズ』みたいなくっだらない三文小説だって、又吉が推薦すれば、売り上げが伸びるわけだから。
そりゃー、推薦するよねー。
つまり、誰にとっても、又吉が芥川賞を受賞することは、うれしいことなのだ。
--------------------------------------------
8月3日の時点で図書館の『火花』の予約数は890人待ち。
2015年7月30日 子供に本屋へ『火花』を買いに行かせた。当初は売り切れで買えなかったけど、23日後には買うことができた。
小学生の子供に、夏休みの読書感想文の宿題で、これを読ませた。
子供でも読める内容だし。
難しい漢字が多いので、お父さんかお母さんが隣にピッタリくっついて、読み方を教えたり、辞書で調べさせたり、難しい表現や覚えるべき漢字を学習ノートに書き出させたり、しながら、読ませた。
途中で、子供の学習ノートに「勃起」と書かれていて、ひっくり返った。
子供に聞いたら、お母さんから読み方を教えてもらった、って。
たしかに、話の途中で、神谷さんのつきあってる女性が風俗で働いていて、その話のときに「勃起」が出てくる。
よく読むと「キャバクラ」も出てくる・・・。
・・・でもまあ、良いか、と思って、最後まで読ませた。
そこまで危険な話でもないし。
小説を読む、ということは、多かれ少なかれ、セックスの話題が出てきて当然だ。
勃起やキャバクラについても教えた。
大事なことだし。
それにしても、いつの間にか子供も、芥川賞受賞作品を読めるようになったんだなーと思うと、うれしかった。
ここから、又吉の推薦本へと読書の世界を広げていって欲しい。
遠藤周作『沈黙』とか、安倍公房とか、カフカとか、大江健三郎とか、ポール・オースターとか、読むようになってくれたら、うれしいな。
そして、オレも、まだ読んだことのない「又吉おすすめ本」を読んでみたい。
投稿元:
レビューを見る
流石芥川賞と言わせる作品
ストーリーはともかく、表現は細やか
時代設定は特に語って無いが多分イマドキなんだろうけど、昭和の退廃的な香りがする
すご又吉君らしさを感じさせる一冊です
ちなみにこの本は初版本でまだ賞のウワサの無い時に買ったのですが何故か読んだのが今という…
投稿元:
レビューを見る
泥の中に手と膝をついて必死に這い進んでいく芸人界の日々。その中でいっとうきらめいていた火花のものがたり。
先輩芸人とメールをしているとき、文末で交換する自由律俳句がいちいち素晴らしい。
投稿元:
レビューを見る
予想した以上に面白くて、途中からは一気に読み切った。最初こそピースの又吉のイメージとダブっていたが、途中からはそんなこと忘れて読み耽った。
投稿元:
レビューを見る
前半のテンポに比べ後半はスピード感がある。青春であり、切なくシュール。徳永は又吉、神谷さんはじゅんいちダビッドソンが思い浮かんだ。
投稿元:
レビューを見る
芸人さんの、お話でした。読み終わってまずこの一言が思い浮かびました。
努力した芸人が売れっ子になったわけでもなく、逆に人気者が没落していくわけでもなく、ずっと頑張りながらも冴えないままの芸人の物語です。芸人として劇的な変化は訪れず、状況の起伏はあまりありません。だからこそどう話が進んでいくんだろう?と気になって、どんどん読み進めてました。
そのなかでも、徳永と神谷さんの会話から、色んな思いが溢れていました。量が多くて掬いきれなくて、もう一度読み直したいとすぐ思いました。
再読しました。とにかく素直で純粋で憧れました。スパークス最後の漫才は心が動かされて、目頭が熱くなりました。一度目より、この小説がもっと好きになりました。
投稿元:
レビューを見る
話題の本だからという理由で選択。
お笑い芸人のストーリーという事で、あまり興味は涌かなかったが、人間の本心の表裏を突いたような、細かい言葉の描写は好き。わりと寡黙な風に見える著者の心が覗けたようで、なかなか面白かった。
結構サクッと読めて、読み終えてスキッとする感じありです。
投稿元:
レビューを見る
すーっと入ってきて、
すーっと消える、
わたがしのような小説。
残るはずの甘さが残らない、
味のないわたがしのような小説。
ぼちぼちよかったよ。
蝿川柳は割と好き。