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漢方は全くの初心者で、入門書になればと思い購入。
診療所での外来も経験するようになり、「それでも困る」というしつこい症状を抱える患者の診療で漢方がオプションにならないかと勉強中です。
おそらく医師・医療職を読者対象に書かれているはずなのに、一般の方にもわかる言葉遣いと説明で、途中からは面白いエッセイを読むように一気に読み終えました。漢方の診療の教科書やマニュアル本ではなく、日本で漢方医学が辿った歴史から科学論まで話が広がって行きます。それを通して漢方医学とはどんな考え方なのか、どう使っていけばいいかが伝わってきます。著者自身が漢方だけでなく、西洋医学としての膠原病を専門とされており、ニュートラルな立場からの発言であることに好感を感じます。
「方法」と「作法」の章(第9章)が印象的で、私自身が西洋医学の実践をしながら、そのときに感じている感情・直感的なものを見直す契機になりました。爽やかであたたかい読後感があり、初心者だけれども気楽に漢方を実践していこうと思える、良い意味での開き直りがもらえる本です。
結果として漢方が好きになる本で、とてもおすすめです。
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題名だけを見ると漢方の手引書かと思いきや、漢方の総論的な考え方を述べられた本。歴史から含めて、わかりやすい例えも述べられ、すごく読みやすい本であった。見えない世界に治療を行う漢方は、私どもの行っている精神医学と共通の考えと悩みがあり、いたく共感する部分が大きかった。巻末付録のツボ押し講座はすぐに使えるツールで早速やってみようと思った。
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西洋医学は、死なないけれども治らない病気を苦手としている。意志である著者は、そういう病気をかかえた患者さんたちの前で困り果て、自己免疫疾患を専門にしつつも、漢方医学の研鑚の旅へと乗り出した。著者が見出したのは、慢性疾患との付き合いのなかでは時間を味方につけるのが重要であるということと、漢方は臨床における作法である、ということである。長期的な時間軸を見据えたスケールの大きな治療論と、触診などを重視した細やかな臨床技術が不思議に溶け合って、これからの医療のあり方を指し示してくれている。(宮地尚子)
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漢方医学は、局所でなく全体を診る、全人的医療である。この「作法」を西洋医学にも利用できれば、より良い患者関係が結べ、巡り巡って患者の体調が良くなるのではないだろうか。
そういう意味で、漢方医学の考え方は心療内科や膠原病、ターミナルケアに向いてるのだろうと考えた。もちろん漢方は慢性疾患だけに有効というわけではなく、「インフルエンザに対する麻黄湯」みたいに急性疾患でも有効である(ただ、これは漢方医学の本質からズレるのだが)。
残念なことに、科学とは遠い位置にあるために「ニセモノ」と捉えられがちな漢方医学。しかし、その「作法」を学べば、より良い医療を実現できるのではないか。
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西洋医学と東洋医学、中医学、日本漢方、養生術、セックス医学まで、「人間が健康であること」「生き続けること」のため腐心してきた様々な手立てにフラットに触れることができます。
医療の話ながら、問題解決のスタンスを学ぶような気持ちにもなる本です。
「全体的」と「局部的」アプローチ、目的を明確に設定した「方法的」アプローチと、目的を強く意識しない「作法的」アプローチについては、個人的な反省もあり、示唆に富みます。
病気と縁がない方にもお勧め。いや、病気になったら、こんなこと言っていられないかもね(笑)
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同じ著者の『病名がつかない不調とどう付き合うか』を読んで、こちらの本にも興味を持ちました。
医療に限らず、世の中は科学的な見解でなんでも簡単に答えが手に入ると思いがちですが、実際にはそうではないことがよくわかります。
漢方の本でありながら、それを盲信しないように、ところどころでそのメリットとデメリットも書かれているところに好感が持てました。