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東北の実情のレポートとしては有益。しかし、タイトルの元になったナオミ・クライン『ショック・ドクトリン』のレベルまでの掘り下げや、改善策の提案といったところまで手が届いていると、なおよかった。
評価は厳しめにしていますが、普通に一読の価値ある本です。今野晴貴『断絶の都市センダイ』と合わせてどうぞ。
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ショック・ドクトリン。
「惨事便乗型資本」。
「外」から「内」から、「創造的復興」の名の下に行われる被災者の支援とは関係のない、企業の「経済」につながる「復興」。
東北メディカル・メガバンク構想。
3世代コホートのゲノム解析の目的も知らされずに、遺伝子収集が行われている現実。
カジノ誘致、水産特区、大型ショッピングセンター(これは功罪がある)など。
いったい誰のための復興なのかというのが、読後感に残る。
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http://lib.s.kaiyodai.ac.jp/opac/opac_details.cgi?amode=11&bibid=TB10075760
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ショック・ドクトリンとは惨事便乗型資本主義、つまり、戦争、津波といった大惨事、ときにはそれらを意図的に招いてまで、そこから経済的利益を挙げようとする過激な市場原理主義改革のことだそうです。カナダのジャーナリスト、ナオミ・クラインのルポ「ショック・ドクトリン 惨事便乗型資本主義の正体を暴く」(2007年、邦訳は2011年 未読)が30ヶ国語以上に訳され、世に広く知られるようになりました。
「復興の大義名分が風化しないうちに、仙台空港を生かしたカジノをはじめとする新たな取り組みを行う必要がある」
カジノ推進シンポジウムにおける、早稲田大学教授戸崎肇のこの発言が、すべてを物語っています。この人にとって、復興は大義名分でしかありません。また、「風化」という言葉を何と冷酷に使うことか。
「創造的復興」「日本の再生なくして、被災地の再生なし」
響きはいいのですが、実はこうした文言は、被災者のための復興予算を、復興とは関係のない「創造」や、「日本の再生」の旗印の下、被災地と無関係のことに流用するために周到に考え出されたものでした。本書は、「創造的復興」原点の地である神戸から東北へ続く道筋を辿りながら、最も不幸な人すら商売道具にしていくこの国の官僚、経済人の様子を、抑制された筆致で報告していきます。
家族や愛する人、生まれ育った家、職場等、すべてを失い、失意のどん底にいる被災者を実験の材料とする医師(第1章 被災地の遺伝子研究)、未曽有の大災害を千載一遇の商機ととらえる政治家(第7章 被災地カジノ協奏曲)、本書は扱っていませんが、被災地の真の意味での復興に大きくブレーキをかける東京オリンピックも、本質的には同じ発想で呼びこんだものでしょう。
人間の冷たさ、醜さをあらためて見せつけられ、読んでいてやりきれない思いになりますが、事実と向き合うところからしか、未来の希望は生まれないでしょう。
福場ひとみ氏の「国家のシロアリ」ともども、是非多くの方に読んでもらいたい本です。
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東北メディカル・メガバンクなるプロジェクトで、被災地でゲノムのデータを収集しているっていうのは知らなかった…。Webサイトも見るからにお金がかかっていて、ここに多額の復興予算が使われているのかと思うとガックリする。
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復興の下に計画される、地域や住民の望む形からはかけ離れた行政による理想と営利企業のエゴの押しつけ。
自然災害によって更地になったのを“理想の”街を創る絶好の機会とばかりに蹂躙していく。
ショッキングな内容でした。
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ショック・ドクトリンについて、興味があり手に取った。
東北が震災もまたショック・ドクトリンとリンクしていたのか。
災害が起きると、復興という名の元、弱社を食い物にする市場原理主義者達が押し寄せる。そこは実験場になったり、不都合な法を通したり。
東北大学が、日常医療と商品券1000円と引換に被災民のゲノムデータを収集していた事に驚きであった。
災害が起きると、政府や、大企業の動きをしっかり監視しなければならないことを教えてくれる。
暗躍する知事までの話が、書かれていたが、同時に裏で通過した法や、もっと上の内閣の思惑も本来はつながるはず。そこまで調べて書いて頂けると本当はよかった。