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いわゆるドラマティックな大仕掛けがあるわけでなく、
わりと静かに淡々とハザードが進行していく。
これが妙にリアルで怖い。
ほんとに蚊に刺されると一瞬ドキッと
したりしなかったり。
なんか盛り上がんないな~
と思ってた前半が嘘のよう。
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埼玉郊外で新種の日本脳炎から起きたパンデミック小説。
パニックものというより原因究明の方が比重が高い。
解明しようと奮闘する医師が、アメリカの生物兵器の持ち出しという推測がでてきたときにはかなり冷めたが、そこで着地しなくてよかった。
長かったけれど楽しんで読めた。
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一度は制圧したはずの日本脳炎がなぜか近年になって復活し、法と制度の狭間で奮闘する保健センター職員面々のホラーサスペンス・ヒューマンドラマ。
2009年に新型インフルエンザが流行し大騒動になったが、それを予見するかのように執筆されていたのが驚きだ。
はるか昔に制圧したはずの病気が今になって流行した場合、「業務経験のある者がいない」という不安。非常に共感する。
保健センターの若手職員・小西はどこにでもいる小役人という感じで別に仕事に燃えているわけでもないのだが、パンデミックを迎える時には使命感を持って業務にあたっていた。
ワクチン認可までは大変な道のりだ。役所が法や前例に縛られて、突発の事態になった時に身動きが取れない組織だというのは非常によく分かる。そして、このような予測できない非常事態になった時に、真っ先に住民を守らなければならない組織であるというのも。
激務の中ひそかに予防接種事務を進める永井係長、マスコミを利用してワクチン認可の打開策を見出す鵜川医師、肝っ玉のある堂元看護師、クールな東城保健師、どこにでもいそうな登場人物にリアリティがある。
人体実験が行われたインドネシアのブンギ島の描写もとても読みやすかった。話がしっかりしているので文章を読んでいるだけでイメージがしやすかった。ウイルスを媒介するオカモノアラガイとコジュケイの描写がとても不気味だった。
後半の部分は、続きが気になって寝るのも忘れ一気に読み進めてしまった。ラストシーンはホラー小説にありがちな感じではあったけれど、その終わり方で良かったと思う。
中身の濃い、とてもいい本に出会ったと思う。篠田さんの他の本も読んでみたいと思っている。
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看護師である房代が勤めるの夜間診療所に、
光をまぶしく感じ、花のにおいを感じ、熱に浮かされ、
痙攣を起こしながら倒れる。。。という患者がやってきた。
その時は、日本脳炎と診断されたのだが、
徐々に、同じ症状の患者が増え、死者も増え始める。
撲滅されたはずの伝染病が、なぜ今頃蔓延するのか?
疑問を持った房代たちは調査を始め、恐ろしい事実に突き当たる。
一体、原因は何なのか、なかなか解決しない物語に、
もどかしさを感じつつも、夢中させてくれる物語でした。
蚊により、伝染していくというのが、なんだか、現実にありそうで、
この本を読んでいる数日間は、蚊に神経をとがらせてしまいました。
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ひさびさの篠田さんの小説読んだ。
予防接種に関する様々な考えを取り込んだお話で、緻密な描写、だんだん広がってしまう不幸、面白かった。
ありえないけど、ありえそうというところが篠田さんの文章ですね。
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8月-13。3.0点。
埼玉県のある市で、日本脳炎に似た症状が。
爆発的に増え、診療所や役所では問題に。
感染、死亡が増えるが、対策は分からず。
危機感がじわじわ伝わるが、スピード感はあまり無いかな。
ラスト近くの100頁は、展開早し。
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感染が広がる様子、人々の反応、それらの生々しい記述に背筋が凍った。いま自分は医療の進歩の恩恵を受けて安全地帯にいると思っていたが、今日の平穏が明日も続くとは誰も保証できないのだと気付かされた。
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新型コロナの影響を受けパンデミックものが読みたくて購入
それ系はそもそもすきで色々読んでるつもりですが、なかなかこれは微妙
これでなくともという感じ
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局地的に流行する謎の病とそこでそれぞれの役割を全うするきっとどこにでもいるだろう人たち。
スーパーヒーローみたいな人は一人もいないのが逆にいい。
この時期に読むからこそ、病に対する人々のパニックやそれによってうまれる弊害がものすごす身近にリアルに感じられた
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★★★
今月2冊目。
これはまさにいまんとこコロナと戦っているが、この本は98年に書かれた物で現代と似ている。
ネタバレだが、ウイルスを研究していた病院から悪徳産廃業者に注射器などが渡り、山の中に産廃から貝にウイルスが取り込まれ、貝を鳥が食べ、鳥の血液を蚊が吸う、その蚊が人間に刺し日本脳炎が発祥。ちょーこええっす、長いけどよくできてました
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ある地方都市で日本脳炎と思われる感染者が発生した。
その原因となったものは何なのか?
今年のコロナ渦で話題になったのと、前から読もうと思っていたが、電子版しか入手困難だったのが文庫版が再販されたので、購入。
期待していた程、ショッキングな内容ではなかった。
それにしても、一部地域での自殺者の増加については、ウイルスとの因果関係が全く書かれていないため、違和感が残るのが残念。
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なぜ舞台となった昭川市で新型日本脳炎が蔓延したのか? なぜそれがインドネシアのブンギ島と繋がるのか?
謎は解けた。でも話が淡々と進み過ぎ?
物語としては、クライマックスを感じることなく終わってしまった。
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新型日本脳炎ウィルスによるパンデミックを描いた25年前の作品です。今現在の新型コロナのパンデミックを短期間に凝縮して描いた様な予言書的な話で、随分昔のフィクションでありながら、今現在の状況と、この先の経過を描いている様で複雑な気持ちになりました。
やはり人類を滅ぼすのは目に見えないウィルスなのでしょうか?!
コロナ終息を祈るしかないです。
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じわじわと忍び寄ってくる不穏な緊張感がたまらなかった。
面白い本を書く作家さんに出会うと単純にテンションが上がる。それがミステリー作家じゃなくても。
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パンデミックという語より、バイオ・ハザードという表現が、リアルに感じる世代です。
90年代に書かれた点よりも、驚いたのが、政府等の体制側、現場の対応が、現在の新型コロナ禍と殆ど変わっていないこと。SNSで情報が拡散する社会になっても、有益な対策は見い出せず、打ち出せず、医療現場は逼迫し、感染は拡大するばかり。
25年後の2021年現在、この状況で五輪開催をしようとしているなんて、小説と現実が逆転しているように感じる。
篠田節子氏のスリリングでリアルな構成と筆致が、物語を加速させ、一気に読ませる快作。ラストはタイムワープした現在なのでは……。