電子書籍
何とも切なく、胸が締めつけられるような懐かしさ
2016/04/25 16:56
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ネコのももちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
私がこの作品を最初に読んだのは、まだ電子書籍なんて夢の時代の30年以上前、中学生の時だった。主人公が当時の自分と同じ世代だったこともあり、主人公や他の登場人物の心の痛みがダイレクトに伝わってきた。今長い年月を経て再読してみて、この作品が全く古くさくなく感じられ、あらためて良書だと思った。
電子書籍
いつまでも手元に
2020/11/20 22:32
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:qima - この投稿者のレビュー一覧を見る
中学生のときに読んで、救われた本です。以来、何度も何度も読み返しています。その後、何回目かの引っ越しで手放してしまったけれど、電子書籍で持ち歩けるようになってうれしいです。
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何度読んでも打ちのめされる。特に表題作「さようならアルルカン」と「妹」は私にとって痛いほどの真実。そして自分の幼児性と立ち向かわざるを得なくなる「アリスに接吻を」と「誘惑は赤いバラ」も珠玉。主人公を"あなた"とする文章を初めて読んだ。
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1977年、第10回「小説ジュニア」青春小説新人賞佳作入選作。
「さようならアルルカン」
ラノベの片鱗はちっともなく、少女向けの純文系。
まわりの人とあわせるために道化役(アルルカン)の仮面をつけてしまう女の子二人の話。
そうなの。
女の子って、どこか自分を演じてる、ってとこあるよね。(のりピーはいきすぎとして)
それも大人になっていく過程で。とても無理をしている形で。
それを楽に、自然体になっていけば、立派な大人ってとこかな。
繊細な少女の心を描いた、素晴らしい作品。
「アリスに接吻を」
鏡に見とれる女の子。子どもから大人への体の変化、心の変化。
自分が子どもと見られるもどかしさ。かといって大人になるのも不安。
親せきのお姉さんは結婚し、クラスメートは教室でキスをして。
自分は、兄の友達からからかわれている、という状態。
すごいね。こういうことってあるよね。
「妹」
これは、、、すごいダークでした。
なんか救いがなくて、氷室先生もコメントに困ったのか、あとがきでも触れておらず。。。
姉に対する屈折した気持ち、父からの愛情がないと思ってしまう気持ち。
これも、多少なりともあるよね。少女視点の家族の物語。
「誘惑は赤いバラ」
幼なじみの女の子同士が仲良すぎて、自立したほうがいいんじゃないか?って話。
男の子と付き合うのはしんどくて、女の子同士のほうが気楽で楽しいよね、でもそれじゃ大人になれないんじゃないか?ってこと。
無理矢理お酒を飲んだり、男の子と付き合ったりする、友達の女の子がよかった。
高校生のBFの試合を見に行って、お姉さんたちにからかわれてシュンとなるところも。
みずみずしい青春だなあ。
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ジャパネスクでおなじみの氷室先生の初期短編集。
アマゾンのユーズドの価格がすごいですが、100円であったので読んでみました。
表題作をはじめ4つの短編が載っていますが、70年代に書かれているので
かなり「丘の家のミッキー」を思い出す部分も。
表題作は特に昔を匂わせます。
子供をマニュアルに当てはめ、そこから外れる子はその子の言っていることに
一理あっても除外しようとする…
椎名誠先生の自伝的著書「犬の系譜」で、飼い犬「パチ」を先生が勝手に
「ポチ」に添削していたという憤慨ものな話を思い出しました。
自分のころや今はもう少しおおらかだと思いたいですが…
とはいえある程度社会に順応するのも必要であり、
学校はそれを学ぶ場所でもあるわけで…
なんともいえない気持ちになりますねぇ。
この話がダントツよかったです。
併録「アリスに接吻を」と「誘惑は赤いバラ」は10代前半の背伸びが
甘酸っぱいほど出てます。
その背伸びが子供っぽく見えることには意識が回らないのが微笑ましい。
微笑ましいと思うようになったら年をとったなですが…
大人にならなきゃと奮起しないと成長できない場合も、
勝手になってしまう場合もあり、難しいところであります。
もう1本の「妹」はすごくしんどかった。
大好きな「文学少女」シリーズの暗い部分だけ切り取ったような話でした。
愛し方・愛情の表現は愛を受けていないと上手く表現できないのに、
憎しみ・嫉妬は教わらなくても出てしまうせつなさがとても辛い。
そういう意味でも不器用さで逃げず親父さんがまずは一歩踏み出してほしいもの。
本編でも「優しい言葉が1つだけでも欲しかった」とあります。
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氷室先生の作品は結構読んでるのに、これは未読だった。なんで、今まで出会えてなかったんだろう、と後悔。4編を収録した、初期の短編集。どの物語も、「少女」というものの本質を鋭く突いている、と思う。書かれてから30年近く時が流れているけれど、古さはない。
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文学系の短編集。普通にありそうな女の子たちの、心の繊細さを綴っていくような内容。
『さようならアルルカン』は、皆に誤解されがちな女の子が、自分から道化(アルルカン)になってしまう話。
彼女の図書カードを追っていくとかはなんか好きだった。
『アリスに接吻を』は、『あなた』って、こっちに話かけてくるような文書がじわじわくる、鏡視点の話。
『妹』は姉へのコンプレックスが、思いも寄らない結末を招く話。
『誘惑は赤い薔薇』は子供っぽい自分を捨てようと、背伸びする話でした。
ぶっちゃけ、普段読まない真面目系なんで、好みではなかったなぁ。
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表題作の、ぐさぐさくるやりとりがたまりません。
正反対のようで、お互いを分かっている、というとこがツボ。これ一本で長編書いてくれても…、似たような作品はあるのでしょうか。
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高校生の時に読みました。
表題作と「妹」は厳しく、せつないストーリーでした。
特に「妹」はきつくて、涙なしには読めなかった記憶があります。願っても願っても愛を与えられず、すれ違う……。
このあたりの描写は、同作者の「シンデレラ迷宮」や「ヤマトタケル」と共通するものを感じます。特に救いのなさに関しては、「ヤマトタケル」の方が共通項が多いかな?
「妹」は印象強い話でしたし、何度も読み返したので、本を手放した今もストーリーはしっかりと覚えています。表題作よりも、私はこちらが好きでした。
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実家の片付けをしていたら氷室冴子作品をゴッソリ発掘。
四半世紀ぶりに再読してみました。
初版は昭和54(1979)年!40年も前とは。。
最初期の四短編を収録。表題作は作者が大学3年時に書いた「小説ジュニア(雑誌コバルトの前身)」の公募作品。
表題作は自意識過剰で、周囲に持て余されがちな文化系少女たちの葛藤と矜持を描く。
二篇目「アリスに接吻を」は14歳という、大人でも子どもでもない年代の少女心理を、珍しい二人称で描いた作品。語り手は大人になった本人かな?
三篇目「妹」は、母を亡くし、歌人の父、美しい姉と暮らす少女の物語。古式ゆかしい少女小説の佇まい。妹属性へのこだわりは氷室作品の重要なファクターですね。
ラスト「誘惑は赤いバラ」は、中高一貫校に通う少女が主人公。異性よりも親友との時間が大切、それでも異性は気になって、、みたいなテンポの良い語り口で展開される物語。
内省的な前三作と比べると、元気なストーリーで、後々の「白書」シリーズや「雑居時代」に繋がっていく感じ。