紙の本
あんこを背景に語られる偏見と差別
2020/07/05 12:20
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投稿者:hideton - この投稿者のレビュー一覧を見る
障がい・病気には思うところがあるので、内容に興味を持って手に取ることになりました。
物語の重要なキーワードのハンセン病については、聞いたことはある程度の認識でした。
調べたら、日本での新規感染はほとんどなく、すでに過去の病気となりつつある様子。
ただ、昔のことだから、知らなくていいわけではない。おそらく、この小説がなければ、ハンセン病について調べることはなかったはず。
物語としては、自分の期待値が大きすぎたようです。最後に知人のおばあさんが語るシーンでは、少し肩透かしをくらい、気付いたらそのまま終わってた感じでした。
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投稿者:あおたいがー - この投稿者のレビュー一覧を見る
元ハンセン病患者だった高齢の徳江と、前科者で希望もなく生きていたどら焼きやの店長伸太郎の話。
徳江の人生は壮絶で、人生の後半で外にでられても偏見にさらされ傷付いていく。
でもそんな徳江が千太郎を救おうとしていた、その想いをもてるのがすごいことだと思う。
千太郎がその後どうなったかわからないけれど、前向きに生けていければいいと願う。
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2015.5.3
あん。どら焼き食べたい。目の前のことを一生懸命する。その現実の中で自分がどう生きるか。
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映画公開前に読んでみようと手を出しましたが
あんの香りが漂ってくるような
ほっとする本でした。
人は苦しみの中でも生きていく力があるんだと
気づかされる本。
少し生きることに躓いたとき、また読んでみたい。
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待ち時間に、一気に読んでしまったけど、じっくり読めば、もっともっと感動が、ジワジワ伝わってくると思う。
明るい話ではないのに、心が暖かくなる本。
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踏まえるべき事実をきちんと押さえた上で、その中で生きていく人間を、共感的に描き出しているので、読んでいて気持ちが良かった。「踏まえるべき事実」というのは、書くとネタバレになりかねないけれど、どこか他人事のように感じてしまっている歴史的大事件。正直、自分のしらなさ加減がショッキングだった。そういう意味でも、読んで良かった本だ。
が、小説としての出来は今ひとつ。前半は快調だけど、後半になると説明調の内容が多くなって、テレビの報道特集を見ているようになってくる。確かに、それだけ説明する必要があるのだけど、小説としてはやや残念。またふたりの主人公の両方に謎を設定して進めすぎているのも難。せめて男性のほうは、もっと早く事情を知って共感したい気持ちになった。
映画は、すごく観たくなった。厳しいないようだとは思うのだけど。
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たとえばまだ子どもと言ってもいいくらいの年で、重い病に冒されてしまったとして。その後の人生すべてを病とともに過ごさねばならないなら、自分はいったい何のために生まれて来たんだ、と思うだろう。
もしその病が癒えたのに、偏見や差別という新たな苦しみの元で生きねばならないのなら、なおのことその人生っていったい何だったのだ、と。
ハンセン病の患者さんが自由と権利を取り戻してからまだ日が浅い。人生の全てを奪われ虐げられてきた彼らの声が聞こえたような気がする。
「運命なんて、簡単に言わないほうがいいよ」と言っていた徳江が、生まれて来たことに意味があるのだと、そう思えたことが救い。
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久しぶりに本屋さんで出会ったドリアン助川さんの小説
5月30日に公開する映画になるそうですよ
とても読みやすい文章と構成で
さくさくと読めてしまうんだけど
徳江さんの存在や言葉に何度も立ち止まります
千太郎の正直なやさしさに胸がいたくなります
意外な展開に、辛い気持ちをもったまま
最後まで、「幸せになって」の祈りの気持ちで読み進めました
映画も、よさそうですね
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和菓子を作る工程と言うのは、とても魅力的
ついつい引き込まれてよだれが出そう
そしてとても楽しくてどんどん読み進むが…
昔の感染症による後遺症による差別や苦悩
とても良いお話だけれど、色々なことを考えて気楽に感想が書けない…でも最後には心に温かいのが残ります
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こういう話だとは知らずに読みました。
おばーさんとちょっと過去のある若者の話しなのかと。
突然横から入ってくる、「病」の話し。
伝染る、伝染らない、そして見た目。
世の中は事あるごとに、境界線を引きたがる。
越える、越えないではない、何か別のない何かを感じるそんなお話。
ただ、ちょっと簡単過ぎる気もしました。
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町の小さなどら焼き店に働き口を求めてやってきたのは、徳江という名の高齢の女性だった。徳江のつくる「あん」は評判になり、店は繁盛するのだが…。壮絶な人生を経てきた徳江が、未来ある者たちに伝えようとした「生きる意味」とはなにか。深い余韻が残る、現代の名作。
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何も知らないできてしまっていた。
ハンセン病という病気と共に生きてきた人々のこと。
感染源がわからないということで、
家族と離され、療養所の外の世界と隔離されて
長い長い間出られなかったこと。
親から付けてもらった名前まで、取り上げられたこと。
この本は職場の読書友から薦められて読みました。
目的を持てずに生きているどら焼き屋の店長千太郎と
あん作りを教えることになる徳江さんの物語。
想像力に乏しい私から見ても、
時に過酷だと思う人生を、ひたむきに生きる人たちに出会います。
さらりと書かれていますが、徳江さんの人生もまた
どうしてそこまで…と思わずにはいられません。
徳江さんが千太郎さんに出す手紙が沁みます。
苦しんで苦しんで、死の恐怖や痛みや
世間の偏見に傷つけられ
崖っぷちの切羽詰まったところをみた人ではないと
感じられない生きる意味。
こんな自由にどこへでも行けて何でもできるのに
心が狭く腹黒くてどうしようもない私でも
生きる意味があるんだよと包まれる一冊です。
なぜ自分とは違う他者が受け入れられないのか。
心が狭い私のテーマの一つでもあるのですが…。
この物語は力まず、自然で正直な感覚で描かれています。
千太郎さんが、自分の中の偏見を感じつつも
療養所を訪ね、人間としての徳江さんに
どんどん心を寄せていくところがとても好きです。
最後の終わり方も、とても好きです。
きれいごとだけで終わらせてない所が、
とっても素敵だと思いました。
無知な私はまだまだ知らなければいけないことが
沢山あるなと感じます。
知ったからといって、何ができるわけではないですが
知ると知らないのとでは大きな差があることが
まだまだ沢山後ろに控えてますね。
もうすぐ映画が公開されるとか。
活字が苦手な人にも、「知ること」が広まっていく。
いい映画になる気がします。
私もそんな一つを知れたこと。読書友に感謝です。
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映画がめちゃくちゃ良くて、劇場を出たその足で本屋に買いに行った。樹木希林さんの演じる徳江さんは、小説の通りとってもキュートだった。
病気を知る、という物語であることはもちろん、それだけじゃなくて、徳江さんという素敵な女性についての物語だとおもった。
ほとんど映画の感想ですが追記→rinpippi.hateblo.jp/entry/2015/06/07/025950
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さて、次に読む本はどうしようかと思い、本棚にセーラー服姿が並ぶのが良いかと思い、この本にしてみる(と言っても、送られてきた本は、映画の写真のカバーになっていたんだけどね)。
あちらの“アン”は赤毛のアンで、こちらの“あん”はどら焼きの餡。
朝日の青いbe「逆風満帆」に河瀨直美のことが連載されていて、オリジナルで撮ってきた彼女が初めて原作物を手掛けたという、その元本がこれということで興味を惹かれる。
中年男が店長を務める流行らないどら焼き屋に、少し様子がおかしい老女が「働かせてほしい」とやって来る。彼女はあん作りの名人だった。彼女のあんが評判になり、店は行列が出来るほど人気になる。しかし彼女は訳ありで、噂が元で客足は遠のき、その内、彼女は自ら姿を消す…。
記事にあるのは、こうしたベタなストーリーで、これをどう見せるのかなぁと、これまた興味をそそられる。
本を読んでみれば、重たいテーマでした。
実際にそういう人に会ったことがないけれど、この本にあるような容貌や体の特徴がある人にあった時、もはや過去の病気だと分かっていても、分け隔てなく接することが出来るかと問われれば、かなり自信が無い。
この本は、罹病した人たちが病気と闘うこと以外にも過酷な人生を送らされてきたことをしっかりと伝えながら、そうした歴史や扱いについて声高に論じるではなく、どんな人でも、人間として生まれて来て、それぞれに生きる意味があることだけをしっかりと押さえる。
重たい話を扱いながらある種の諦念をもって暗くならずにお話が進むのが良い。
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線路沿いから一本路地を抜けたところにある小さなどら焼き店。千太郎が日がな一日鉄板に向かう店先に、バイトの求人をみてやってきたのは70歳を過ぎた手の不自由な女性・吉井徳江だった。徳江のつくる「あん」の旨さに舌をまく千太郎は、彼女を雇い、店は繁盛しはじめるのだが…。偏見のなかに人生を閉じ込められた徳江、生きる気力を失いかけていた千太郎。ふたりはそれぞれに新しい人生に向かって歩きはじめる―。生命の不思議な美しさに息をのむラストシーン、いつまでも胸を去らない魂の物語。
「BOOKデータベース」より
ハンセン病について、詳しく知らなかった.学ぶ機会もこれまでなかった.この本を読んで改めて調べて知ることになった.感染力は弱く、だいぶ前から完全に治る病気と分かっているにも関わらず、それまでの歴史から誤解を受けている病.日本の患者は年間1人いるかいないかということだけれど、海外ではまだ患者が多くいる国もある.
そんな病にかかっていた徳江さんが作る「あん」が、どら焼きやの千太郎の心に明りを灯し、中学生ワカナの心を溶かす.
徳江さんも40年も前に完治していたにもかかわらず、外に出ることができず、教師になりたかったという夢もかなえられなかった.チャレンジしてダメだったのと、可能性が最初からないのは意味が全然違う.
それでも、誰でも生きる意味がある、塀の中で暮らす毎日でも得られるものがあると思える強さは、乗り越えてきた人にしか分からない境地なのだろうと思う.
映画も見てみよう.