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1年の時に先輩から紹介されて、買ったのだが、そのまま積読になっていた本。
卒論を書くにあたって基礎的な知識を網羅したいと思い、掘り起こしてきた。
本書は、昨今世間で吹聴されている農業の誤解を解くために書かれた。
例えば、皆さんは以下のような誤解を持っていないだろうか。
「農地が減っているので農業が衰退している」
「農地法が構造改革を阻らんでいる」
「日本の農業は高付加価値生産に特化すればいい」
こういった偏見がある方はぜひ読まれるといい。
本書のキーワードは農業の分化。
日本の農業は、半世紀を経て様々な形態に分化してきた。
それぞれ特異の性質・問題点がある。さらには地域によってその形態はさらに多様化する。そして、そのような形態・条件に即して政策・制度が練られている。
よく心ないメディアは一般的な経営知識を持ちだし、政策を批判し、先に述べたような短絡的な提案・提起をする。
しかし、日本の農業は非常に複雑であり、奥深いものなのだ。
ページ数は少なく、非常に分かりやすい。
というのも、著者は読む人に最後までしっかり読んでもらいたいという思いがあり、あえて内容は薄くしてある。
冒頭の「はじめに」からは著者の熱意を感じる。
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勉強にはなる。ただ、論旨は賛同出来る部分もあれば、真っ向からぶつかる部分もある。
日本農業を「農家の分化」という切り口から見ているのは面白い。
都市近郊の集約型農家(ハウスや畜産)が発展するにつれ、地代が上がる一方で、「お荷物」の水田小作料が下がり、水田集約が進むりというパラドックスは興味深い。
一方で、「土地集約によるコストダウン」の呪縛から解放されていない感は否めない。減反政策をしっかり噛み砕き、需給面からのアプローチを考えなければ、いくら大規模コメ農家が増えても解決しないのでは…?
なかなか面白い一冊、読みやすくて良い。
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農家の分化:「農家は皆同じようなもの」ではないということ。
農業構造の分析に必須の考え。均質な農家が一様に水田作を続ければ構造改革は進まない。担い手による高収益作物一辺倒では耕作放棄地が発生する。