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◆ 過去と終わりに向かって 男は旅立った ◆
分厚い二冊を一挙に読んだ。
一昼夜の 特別な体験だった。
男が列車に乗って広島まで行く。それだけの話。
ヒロシマはシノシマでもある。原爆がからんでいる。
時空が分解され渦巻くように集約していく。
三人の登場人物 相馬鼎、萌木素子、相見綾子の名前は 実在の人物以上に ぼくの中に残った。
日本文学最良の財産のひとつ。
持ってる本の数だけ読んだ作品。
というか、出たすべてを購入してると思う。
この文庫は、まだ出てるんやろか?
もともと河出書房新社の普及版で読みました(これには時刻表とカレンダーが栞としてついていた)。
感動のあまり、発作的に古本屋に駆け込んで初版本を買ってしまった。
その後に文庫が出た。
あと福永武彦全小説、それを元にして発行された福永武彦全集にも入っています。全部持ってます。
もしこの作品が新刊で入手できないような状況が発生することがあるならば、日本文学って何?って気もしますが。
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福永武彦のいちばんの名作と紹介されて、読みました。
いくつものテーマと、いくつもの時空と
死とか愛とかのテーマの下に、最も大きく広がる原爆。そして全体の根底を流れる、うすくて広いまた他のテーマと…
とても複雑だけれどこの形で描くことのできる福永武彦はやっぱりすごい。
何度も読み返してもっと考えなくてはいけないと思っています。
こんな素晴らしい本が絶版というのはもったいなさすぎる。
もっと多くのひとに読んでもらいたいです。
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「島」という絵を通じて相馬が知り合った女性-広島で被爆し心と体に深い傷を負った芸術家・素子と彼女と暮らす美しく清楚な綾子、双方に惹かれてしまった彼の許に二人が広島で心中したという報せが届く。これは一日の物語であり、一年の出来事であり、一生の話であり、一人類へ与えられた悠久の啓示でもある。文学史に燦然と輝く、著者を代表する長篇小説。