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赤い髪の女は、でていった亭主のことを語る。亭主に何かしら万引をするように強要されたこと。船乗りだった亭主が突然缶詰工場を始める準備を始め、女の大嫌いな海産物を詰める仕事をさせたこと。そして、エビを売った金を持って出ていったこと。しかし、女には亭主がいつか戻ってくるという自信が合った。(『桟橋より』)
1ページ目を読んで、こりゃ芥川賞の人だなと思ったら、デビュー作で芥川賞をとっている人らしい。一言でいうと、読みにくい。
読みにくい理由はいくつか有って、ひとつは登場人物が絡むわけでもないのにたくさん出てくること。その登場人物が、その場にいない別の人の話をそれぞれ人の話を聞かず、多くは寓話としてすすめること。そして、往々にして指示代名詞がなく、前と後の文の関係が曖昧なことなどであろう。
『桟橋にて』『首のない鹿』『あいびき』の後半3作は比較的そのわかりにくさもなく、ストンと落ちる内容では有った。読みにくいけどさ。
高校生などで背伸びして読んでみようというのなら、ちょっと別の作品にしたほうが良いだろう。読書嫌いになりかねないので。
男性女性で言えば、女性向けかな。