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大坂夏の陣、忠輝のもとに出陣命令が下る。大坂城のキリシタン牢人部隊に、キリシタンに理解が深い忠輝の軍勢をぶつけようという、兄秀忠の底意地の悪い計画。さらに忠輝は、少年の日、城内の豊臣秀頼とある約束を交わしていた。煩悶する忠輝。そして、父家康と兄秀忠の暗闘。風雲児・忠輝を描く全三巻完結。
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隆慶一郎最後の長編「捨て童子・松平忠輝」。上中下全三巻の下巻。
読み終えてまず感じたことは、隆慶一郎は秀忠のことが嫌いなのではないか、いや嫌いだろう、ということ。「花と火の帝」と同様に悪役に配置された秀忠。彼の悪辣さが酷い。まずは秀忠を悪役にすることを決めてから書いているのではないか、と思うほどに彼への嫌悪が高まるばかりです。
家康が「捨てよ」と命じたことで、忠輝の自由闊達な性質が育まれる環境が整い、彼自身の素質もあって古今稀に見る快男児へと成長。
秀忠のことが嫌いだと思ったように、快男児がとても好きで書きたくてたまらんのだな、とも思う。
権力に阿らず、他者を権威で区別せず、自分の心が決めたことに生きる。
「一夢庵風流記」の前田慶次も「死ぬことと見つけたり」の斎藤杢之助も同様の快男児でした。
己の心に定めたことに恥じない人間であれ。
隆慶一郎を読んだ後は、いつも思う。そして、その言葉に顔向けできない、ただ憧れを口にするだけで、同じ立場にいると勘違いしている自分を見つけて悶々とする。
秀忠が執拗に忠輝に対して嫌がらせじみたことをしてくるのは、性根の明るさがあまりにも違うからではないだろうか。嫉妬や羨望。それを認めたくないから、か。
秀忠よりの自分がいる。憧れの存在を見つけると同時に、拒絶したい存在がくっきり浮かび上がってしまう。
己の心の裡と向き合ってしまうのは辛い。
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わりと面白く読み進めることができた。
秀忠が悪役になりすぎのような気はしたが。
以下、2017年11月3日記述。
忠輝は家康から勘当されたあと、93歳まで、諏訪の高島城で過ごしたようだ。
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徳川家の人々はそれなりに本になってる気がするけど、将軍以外は全然って気がしてて、今回は全く誰やねんて感じなわけで。
とは言えそんな人を本にするくらいだから、流石に相当にな傾奇者って言うか花の慶次ばりに漫画で破天荒。まさかこの手の本でこれとはね、とやや驚きつつ。
でもまぁけっこう楽しげで、ワンパンマン的な無敵っぷりの主人公は、やりたい放題だから弱くて悩むみたいなのよりは爽快。
しかも歴史の流れも一応史実を抑えてるみたいだから、知的好奇心も満足されて、ね。
しかし柳生宗矩ってのは大概の本ではロクデナシ扱いで可哀想過ぎる。今回は更に将軍秀忠もゴミ扱いで、今後ウンチクを語る際には覚えておこうかな。
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陰陽師と聞いて
安倍晴明 ではなく
芦屋道満が いいねぇ
大山祇神社に奉納されている
頼朝の鎧、弁慶の長刀を見て
そのものよりも
これを作った「名もなき匠」は
だれだろう
と思ってしまう人は
ぜひ ご一読を
いつものことながら
たまらなく 面白く
たまらなく 爽快に
させてもらえる
隆慶一郎さんです